[イベント]2015.8.30

今日、何飲む?『BEER CALENDER』刊行記念トークショー@下北沢B&B レポート

ビール(Beer)片手に本(Book)を愉しむ——大人だからこそ楽しめるコンセプトで、2012年7月にオープンした下北沢の『B&B』。そのコンセプトにまさにぴったりの書籍『BEER CALENDER』(ステレオサウンド)刊行記念トークショー「クラフトビールに溢れる東京。今日飲むべきビールとは?」が2015年8月29日開催されました。
富江xビール女子
パネラーは、著者でビアジャーナリストの富江弘幸さん(中)、ビール女子編集長の瀬尾裕樹子さん(右)、なな瀬さん(左)。たくさんの人たちにビールを気軽に楽しんでほしいと日々活躍する3名が語ったビアトークを一部ご紹介致します。

毎日のビールのえらびかた

あなたはこれまで何種類のビールを飲んだことがありますか?
ちなみに世界中で造られるビールのスタイルは100種類を越え、天文学的な数のビールが世の中に生まれ続けています。

実はそんなにアルコールに強くないと噂の?ビアジャーナリスト富江弘幸さんが、大好きなビールを365日毎日大切に飲みたいという気持ちから生まれた著書『BEER CALENDER』には、著者自身がすべてテイスティングした、すべて日本国内で購入できるおいしいビールを掲載。その日の記念日などの逸話にちなみ、その日にぴったりの365本が掲載されています。
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「元々、半分位は飲んだことのあるビールだったのですが、この本を執筆するにあたって各メーカーなどからビールを取り寄せて毎日3本位ずつテイスティングしました。一気にあちこちから届くので、ボクの部屋は180本位のビールで埋め尽くされました(笑)」(富江さん)

ゆったりと語る富江さんと、瀬尾さん、なな瀬さんとの和気あいあいとしたトークで、それぞれ普段どんな風にビールを選んでいるのかに話がすすみます。

「ぼくは普段はジャケ買いすることが多いです。お気に入りの酒屋さんに立ち寄って、気になるラベルのビールを3〜4種類購入して帰ります。」(富江さん)
「私もラベルは気になります!ビアパブのメニューにラベルデザインが載っていると、〝これがカワイイ!〟なんて選んだりすることもありますよ。」(なな瀬さん)
「ビール女子のサイトでおすすめなのが、ビールの銘柄を検索できる『ビール図鑑』です。まだ更新中なのですが、トップでランダムに掲載したビールをざっとみるだけでも、まるで本屋さんで見知らぬ本のタイトルに出会うように気になるビールを見つけることもできますし、名前や国別などの検索はもちろん、ラベルの色でビールを検索したりすることもできるので、うろ覚えで名前を忘れちゃったビールなんかも探し出すこともできるんです!」(瀬尾さん)

当日のおすすめビール

講演参加の皆様は、通常お店で提供されているサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」の樽生など以外に、3人のパネラーそれぞれのおすすめのビールなどを+300円で飲みながら聞くことができました。
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それぞれのおすすめビールは以下のとおり。
■富江さんのおすすめ:ベアードブルーイング『ライジングサン ペールエール』
オレンジやグレープフルーツのフレーバーが瑞々しいビール

■瀬尾さんのおすすめ:嬬恋高原ビール『嬬恋物語アイリッシュスタウト』
しっかりとしたコクが持ち味の濃厚なスタウト

■なな瀬さんのおすすめ:ブリュードック『パンクIPA』
グレープフルーツの香りとホップの苦味が印象的なビール

富江さん一押しの『ライジングサン ペールエール』は、著書の中でトップバッターの1月1日に登場するビール。ラベルには富士山の日の出が描かれ、ニッポンの〝初日の出〟として元旦にふさわしいビール。富江さんがクラフトビールにはまるきっかけになったビールでもあるそうです。

瀬尾さんは、以前、嬬恋高原ビールに勤務していた経歴もあり、そんな彼女の想いのこもったビールを紹介。ちなみに、ブルワリーのある嬬恋村は、第12代景行天皇の皇子、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征中に、海の神の怒りを静めるために愛妻「弟橘姫(おとたちばなひめ)」が海に身を投じ、その東征の帰路、碓日坂(今の鳥居峠)に立ち、亡き妻を追慕のあまり「吾嬬者耶(あづまはや)」(ああ、わが妻よ、恋しい)と嘆き妻をいとおしんだという故事にちなんで名付けられたとのこと。その逸話にちなんだ、愛を叫ぶイベント「キャベチュー」(9月開催)も年々盛り上がっているとか。

なな瀬さんは『パンクIPA』がきっかけでクラフトビールに目覚めることになったそうです。その登場は多くの人たちの度肝を抜き、世界中に影響を与えたこのビールは、会場でも一番人気で飲まれていました。ちなみに『BEER CALENDER』内では4月6日のスコットランドがイングランドからの独立宣言とも言えるアーブロース宣言を採択した日に掲載されています。

ビール女子xビール男子のビールの楽しみかた

ビールの魅力にはまった3人が、女子からはお薦めする本、そして富江さんからはラベルコレクションを会場で紹介されました。
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<ビール女子がすすめる本>
マンガ『もやしもん』8巻(瀬尾さん)
実は全員がこれを推薦したかったという、ビールファンはもちろん、全く知らない人も読み易くてはまり易い名作マンガ。8巻はビールに関するお話です。醸造業界では種菌のことを「もやし」と呼び、種麹を専門的に育てる仕事をする会社を「もやしや」とも呼ぶそう。もともと東京農大で微生物の研究をしていた瀬尾さんもはまる専門性と、マンガのストーリーの面白さは、全巻読んでも、この号読むだけでもとてもおすすめ。富江さんにとってもビール研究のきっかけのひとつでもあったそうです。

書籍『死ぬまでに飲みたいビール1001本』(KADOKAWA)(なな瀬さん)
出版元のカドカワさんには「中身もすごいですが、時に殺傷能力(?!)もすごいです」と紹介されたという、960ページ、厚さ5.5cmの本は、世界中のビールが1001本紹介されている、本体価格¥5000の結構マニアな?本。1001本のビールそれぞれがちょっとしたインプレッションどころではない詳細な情報込みで紹介されているので、富江さん曰く「価格は高いけれど、ビール1本あたりで考えたら約5円という、かなりリーズナブルな本だと思います」

<ビール男子がはまるラベルコレクション>
ビールをジャケ買いする富江さんは、ラベルをコレクションもしているそうです。
会場で紹介されたラベルを一部ご紹介します。

『ズウィンジー(Zwijntje) 』(ヴァン・スティーンベルグ)
豚のイラストがかわいいラベル。ブルワリーの隣が養豚場だということで、ビール醸造の残りかすを豚のえさにした縁で、豚のビールを造ってほしいということから生まれたビールとのこと。

『リキテンシュタイン』(ブリュードック)
2014年、ロンドンのテート・モダンで開催されていたロイ・リキテンシュタインの展覧会のために、ブリュードッグがテートとコラボして特別に醸造したもの。

『禁断の果実』(ヒューガルデン)
ルーベンス『アダムとイヴ』の名画をパロディにしたもの。果実のかわりにビールをもって、大事なところはホップの葉で隠しています。
こちらのページにはその他のラベルコレクションも紹介されています。

ちなみに、ラベルは水で簡単にはがれるものもありますが、剥がしづらいものはワインラベルをはがすエチケットを使うとはがしやすいそうです。また、ビアパブなどで気になったラベルはその場で剥がさせてもらうとか、ボトルを持ち帰らせてもらったり、またまたベルギービールなどの専門店ではお店の人に頼んで剥がしてもらうこともできるそうです。

2時間のトークショーは、あっという間に終了時間となってしまいました。。

富江さんの誕生日はシーボルトの誕生日と同じ2月17日。その日に紹介されているビールはシュナイダーの『TAP7 オリジナル』です。創業時のレシピ変わらず造り続けられているというビールは、どこか富江さんの人柄を表わしているような気がします。

ちなみに、最愛の奥様のお誕生日は、4月25日だそう。…さて、その日に紹介されているビールは…?
今日のビールに迷った時、あなたの誕生日のビールが気になったときに、ぜひ『BEER CALENDER』で一緒にチェックしてみてください!
(すてきなビールなんですよ♡)

■書籍『BEER CALENDER』Amazon 、全国書店などで発売中
■ビール女子web: http://beergirl.net 

■本屋B&B: http://bookandbeer.com

BEER CALENDERなな瀬ステレオサウンドビール女子富江弘幸瀬尾裕樹子

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK 2023』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、ぐるなびグルメサイト ippin キュレーター など

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