[イベント]2011.7.25

あの義援金は

 西条八十の詩の一節に
「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」
という言葉がある。
 渓谷に落としてしまった麦わら帽子の行方を想う詩である。

 先日、あるビア・イベントの会場でビア・ファンの方から「なぜJBJAは義援金を集めにのか?」という御質問をいただいた。他でもよく訊かれることがある。
 その件に関しては、以前のコラムで書いたので、こちらのアーカイブを御覧いただければ幸いだ。

 義援金というものは非常に難しい問題を孕んでいる。
 やや古い資料で恐縮だが、共同通信ニュースには、3/11の震災後「行き先不明」の義援金集めがおこなわれていると指摘されている。
 ニュースの一部を抜粋してみると
『(前略)国民生活センターには、義援金名目で現金の提供を求めるメールや電話、戸別訪問のほか、売り上げを義援金に充てると偽った商品購入の勧誘など、悪質な義援金詐欺の情報が寄せられています。
 募金先を決める際は、額の多寡に関わらず、個々人が抱く被災地、被災者への思いを託すのにふさわしい団体かどうかを十分見極めた上で、どのような人に、どのような形で役立ててもらいたいのかを意識してみるとよいかもしれません。(共同通信デジタル編集部記者)』
とのことだ。
「記事全文」
 他にも、義援金を集めたままどこにも配分せず着服するケースも多いと聞く。

 ビール業界では震災以降、数多くの健全なチャリティー・イベントや募金活動がおこなわれたことを誇りに感じる。
 いくつか具体的な例をあげると、4/10に横浜で開催された「春の集い」ではいわて蔵ビールと陸前高田に、4/17の「東日本大震災チャリティイベント Re-Fermenting Japan  復活日本 再醗酵」では日本赤十字社に、4/23にTYハーバーでおこなわれたチャリティー・イベント「復興支援イベント in T.Y.HARBOR」では「国境のない子どもたち」に義援金が送られた。
 また、ベアレン醸造所ではボランティアの方や各種団体の企業の協力をえて、被災された方々を無料でご招待する「山田町」チャリティビアパーティといった催しや岩手県災害義援金募集委員会への義援金活動をおこなっている。
 さらに、多くのクラフトビール醸造所の売り上げやビア・パブの売り上げから義援金が送られ、その報告はサイトなどにアップされている。(渋谷「ジ・オールドゲート」のサイトより

 しかし、義援金活動の中には、「集めた総額」も「送り先」もまったく公表されていないものもある。
 残念ながら世の中には「底に穴の開いた義援金箱」がある。穴の先は個人の懐だ。いわゆる「ぽっぽないない」というやつである。

 ビール・ファンのピュアな気持ちをダイレクトに届けるためにも、
『集まった義援金の総額、配分先や支援先、送金時期などが明確に表示されている義援金箱』
にお金を投じたいものだ。
 あなたの善意を有効に生かす方法は、いかがわしい義援金箱にお金を投じないという自衛策しかない。

 「母さん、僕のあの義援金、どうしたんでせうね?」と憂わないためにも。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※記事に掲載されている店舗のメニューや営業時間、イベント内容などの情報は予告なしに変更される場合があります。店舗のホームページやイベントの告知ページなどをご確認の上、ご来店・ご来場くださいますようお願い申し上げます。

日本ビアジャーナリスト協会 公式facebookページ

公式facebookページの右上にある「いいね」をポチッとしてくださいね。よろしくお願いします!

001藤原 ヒロユキ

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。日本外国特派員協会会員。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

このエリアに掲載する広告を募集しています。
詳しくはこちらよりお問い合わせください。