[コラム,テイスティング]2017.8.9

初陣柚子と正面から向き合う~その1~

Rio Brewingエバーブルー初陣柚子初陣柚子ブロンド

始まりは新規開店したお店だった

 エバーブルー株式会社の経営するビストロ・カフェ ビアガーデン「RIO BREWING & CO. BISTRO & GARDEN」 舌の肥えた人たちが最先端の美味しさを求めて夜な夜な徘徊する街、六本木ミッドタウンにオープンした。既に日本のクラフトビアバーが何軒もあるだけではなく、自社の1号店(ベル・オーブ六本木)まで歩いて数分の距離。厨房には見慣れたシェフの顔。エバーブルー系列にある数々の店舗で腕を振るってきた小林洋介シェフ。彼はフレンチを得意としており、その盛り付けや味わいは繊細と称するのにふさわしく、しかもイケメンとあって彼のファンも多い。そのため、SNSではビールよりも彼や料理の写真が多いのではないかと思われるほどだ。そうか、六本木だからビジュアルと実力の双方を加味した人選か。鼻で嗤うような気持ちでプレオープンイベントに参加したが、そこで感動的な再会を果たした。初陣柚子だ。
 初陣柚子というビールは「食の邪魔をしない美味しさ」を基本的な考えとして産みだされたフラッグシップビール「初陣」の第2弾だ。最近ようやく落ち着いてきたIPAブームにこびへつらうような際立った苦みはない。だからといって軽いだけのビールではない。ドライホッピングのときに柚子の皮を大量に投入することで柚子だけではなく、オレンジやグレープフルーツなど柑橘の爽やかさが口の中に広がるが、飲み込むときには柚子の苦味が感じられる。汗をかいてはすぐ蒸発してしまいそうな湿度の高い屋外の暑さの中でも冷房の効いた室内でも爽やかに飲める。すっきりと飲める軽やかなタッチだが、喉越しだけではない。比較的モルトの甘みを感じにくいタイプだが、味わいに厚みがある。ピルスナーではないが、日本の食卓文化には違和感なく馴染んでいるような趣もある。これが常設されているという。巷では賛否両論ある「とりあえずビール」そんな気軽さで初陣柚子を注文したらあまりの美味しさにびっくりしてしまった。

初陣柚子は和食と合わせてナンボ、ではないのか?

 柚子の存在を抜きには初陣柚子を語れない。柚子という和の食材が故にフレンチとは合わせにくいのではないか?警視庁特命係係長の杉下右京さんを気取り「調べずにはいられないのは私の悪い癖」とRIO BREWING & CO. BISTRO & GARDENへ乗り込んだ。ポイントはいくつかある。ドリンカブルであるということは和食のような控えめな魚だしの味わいを妨げないことに通じるものが多いが、フレンチでは和食に比べるとだしの主張もやや強めに感じることがどのように影響するのか。醤油やみそのような味わいにネギや柚子のような薬味を加味することの多い和食に対してソースが多種多様なフレンチはどうだろうか。総合的な判断をしていくというのも大切なことだが、今回は初陣柚子のどこの特徴と合わせるか、にペアリングのポイントを絞って考え、フレンチのコースのようにメニューからピックアップしたものにひたすら初陣柚子を合わせることにする。
 まずはトマトのコンポート。今の季節、こんなさっぱりとしたものがビールに合うとは嬉しい限り。柚子とトマトの酸味がマッチするだけでなく、ディルと柚子の個性が協力して美味しさを醸し出す。ただ、玉ねぎのソースがかかっているのだが、それ単体では双方の味わいがぼけてしまう。玉ねぎのソース単体なら柚子をきかせていない初陣のほうが合う。初陣柚子と合わせるならよく具材とソースを絡めたうえでペアリングすることが必要。
 次にサラダ。グリル野菜と秋田きよら卵のサラダ仕立て。口に入れた瞬間、卵ってこんな濃厚な味だった?と考え込む。野菜もそれに負けない滋味深さがあるというのにどれもビールの邪魔をしない。トッピングのイタリアンパセリが柚子の爽やかさを引き立てる。卵のまったりとした、とろけるような食感を柚子の苦みが引き締めるので飽きさせない。思わず料理に没頭してしまいそうになり、慌ててビールを流し込む。これまた卵と野菜、ビールという無限ループが成立しそうなほど無心に食べ続けられる。伺ったときはグリーンアスパラの最盛期だったせいだろう。特有の甘みが強く感じられたが、これがまた初陣柚子の苦みとバランスが取れている。「茹でたアスパラと初陣が正解でいいのでは?」と結論を出しそうになった。パクチーとも相性がいいかもしれない。好きな方にはぜひ試してほしい。パクチーが苦手な私は絶対にやらないけど。

以下、初陣柚子と正面から向き合う~その2~へ続きます初陣柚子と正面から向き合う~その2~はこちらです。

今回ご協力いただいたお店
RIO BREWING & CO. BISTRO & GARDEN
住   所:東京都港区赤坂9-7-1 Tokyo Midtown
営業時間:11:00~24:00
電話番号:03-3403-0808
※曜日によってラストオーダーの時間が違います。詳細はお問い合わせください。
※メニューは取材当時のものです。予告なく変更になる場合がございます。

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川端 ジェーン

この記事を書いたひと

川端 ジェーン

ビアジャーナリスト

ベルギービールをこよなく愛しています。笑顔でビールを酌み交わせば世界平和は実現すると考えています。ビールが好きすぎてたまに他人と知人の境目がなくなってしまいます。ビールの美味しいお店で見ず知らずの人に話しかけていたら、それは私かもしれません。

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