[イベント]2012.2.13

美味しいビールの悲しい風景

先日、新潟のガーラ湯沢に行った。
帰路の新幹線の車中でビールを飲もうと駅の売店を訪ねたところエチゴビールを発見した。
素晴らしい! 早速、ホワイトエール(ヘーフェ・ヴァイツェン)ラオホラガーを購入した。

レジで「カップとかありますか?」と訊いたところ「紙コップならあちらの棚に有ります」と言われた。
紙? う~ん…。 無いよりはマシかぁ。と紙コップ(1パック10個入り!)を購入した。

私は常々、缶ビールにそのまま口をつけて飲みたくないので、旅行にはアウトドア用のプラスチックカップを持ち歩くようにしている。
また、最近ではキヨスクで数十円だせばプラスティック・グラスを売ってくれたり、車内販売ではウィスキー用のグラスをくれたりする(本当はダメなのかわからないが頼めば大体はくれる)
しかし、今回は自前のグラスを用意していなかったし、紙コップしか買えなかった。

そんなわけで、今回はこの写真のような悲しい風景になってしまった。

香りと味わいはなんとか楽しめたが、ヴァイツェンとしての美しいカスミも味わえなかった。

そして、ここで改めて思いなおしたことは
「ガーラ湯沢駅でこのビールを買った99%以上の人は缶から直接飲んでいる」
ということだ。

ラックに直立して並べられていたヴァイツェンの酵母は缶底に沈んでいる。
これをそのまま缶から飲むと…。 始めは薄く終わりは濃く感じるはずだ。
また、缶から直接飲むとヴァイツェンのバナナや丁子の様な香りは、感じにくいはずだ。

この方法でこのビールを初めて飲んだ人はどう感じるだろう?
本来の味とは違ったものを「不味い」と感じられたとすれば、ビールがかわいそうだ。
逆に「旨い」と感じられても不本意だろう。
寿司を剥がし、まず上の刺身だけ食べて、そのあとにシャリだけ食べて、不味いだの旨いだの言われては、すし職人も黙っていられまい。

去年末から、『2012年はクラフトビールがくる』などと言われている。これ自体、奇妙な言われかただが、注目されることは喜ばしいことだ。
今後、多くの人がクラフトビールに新たにかかわってくることだろう。
造る人、流通させる人、売る人、飲む人。

今後、ブルワーは自分の造ったビールがどのように提供されているかに対してもっともっと口を出ししていいと思う。
流通、販売、提供に関して「このビールはこのように扱ってほしい」と要望していいと思う。
そして、もし、それが受け入れられなかった場合、その業者や酒販店や飲食店には卸す必要が無いと突っぱねていいのではないだろうか?
また、消費者もまっとうな管理や販売方法を行っている店といない店を見極めて購入する必要があるだろう。

今年「クラフトビールがくる」と言われているなか、「クラフトビールの敷居を下げる」という文言も使われ始めているようだが、果たして敷居とはなんなのか? 裾野を広げることと、守るべきことはなんなのか?
今後、真剣に考えていきたい。

~次週月曜日のコラムへつづく~


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001藤原 ヒロユキ

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。日本外国特派員協会会員。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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