[イベント]2010.11.22

たかがビール、されどビール

ビールにジャーナリズムなんていかがなものかという御意見に対して、私のほうからも意見を述べさせていただこう。本当にビールが「たかが」なのだろうか? その「領域が狭すぎる」のだろうか?

確かに、ビールに対して未だに「始めにちょっと飲む食前酒、スターター」と認識している人が多いようだ。
そんな人に言いたいのは「損してるよ」という一言である。
そーゆー私も15年前までは「損してる」一人だった。ビールはピルスナーしか知らずに「ビール好きです」なんて言っていた。それは、子供用のビニールプールに浸かり、泳ぎを悟ったと語るようなものだった。お恥ずかしい限りだ。
今、ビールの世界は競泳用の50mプールにもトライアスロンの3km遠泳コースでもとどまるものではない。広さの限りが見渡せないのだ。どこまでも続く大海である。そしてその深さは未知の深海と言ってもいい。

もし、ビールにジャーナリズムがいかがなものかという意見に対して百歩譲るとすれば、むしろ「狭い」ではなく「広すぎて網羅できるのか?」といったものである。突き詰めるとペールエールジャーナリスト、ヴァイツェンジャーナリスト、ベルジャンホワイトジャーナリスト…、麦芽ジャーナリスト、酵母ジャーナリスト、ホップジャーナリスト…、ビアグラスジャーナリスト、王冠ジャーナリスト、ビアTシャツジャーナリスト…、ビール販売ジャーナリスト、ビール酒場ジャーナリスト、ビール販売ジャーナリスト…などが生まれてもおかしくはない。

確かに、ビールはフランクな酒だ。肩肘張らずに楽しむ酒である。「たかがビール」と言われることはしょうがない。いや、むしろそれはビールの素晴らしい特性だ。誇らしい。「たかがビール」でおおいに結構だ。しかし、「たかがビール、されどビール」である。未だに「たかがビール」で止まっている人は不幸者だ。さぁ、早くこっちにおいでよ。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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