[イベント]2012.10.12

「Beer Study Group ビール研究会」から、アメリカ・クラフトビール事情のゲストコラム

アメリカ、カリフォルニア州「Beer Study Group ビール研究会」のEmiさんから、アメリカビール事情に関する原稿をいただきました。
とても興味深い内容です。
*いただいた原稿では人口や国土、ビール年間生産量などが表になっていましたが、再現できず箇条書きなっています。御了承下さい。
*アメリカでは自家醸造は合法です。

では、以下、アメリカのビール事情に関しての原稿です。

はじめまして
この度、ビアジャーナリスト協会のご好意により、寄稿を掲載して頂くことになりました 「Beer Study Group 」と申します。私達はアメリカ合衆国カリフォルニア州在住で、自家醸造者としてビールを造り、またビール審判としてもビール審査会のお手伝いをしています。また当サイトでは日本の個人様を対象にビールの輸出を行うと共に、アメリカのクラフトビール情報や、ビールに合うアメリカの料理なども紹介させて頂いておりますので、お時間がある時にでも覗いて頂けましたら幸いです。

今回、何を書かせて頂こうかあれこれ楽しく迷いましたが、アメリカと日本を分かりやすく比較し、この国をより身近に感じていただければと、基本情報を含めた数字の比較をさせて頂くことにしました。

お気付きかとは思いますが、書き手としては素人でして、お見苦しい点などあるかと思います。何卒ご容赦頂き、また下記内容にご指摘などありましたら、ご教示頂けます様お願い申し上げます。

それではまず、アメリカという国のサイズについて。大きいというイメージがあるかと思いますが、実際はどのくらいなのでしょうか。日本と比較させて頂きたいと思います。
人口(2012年)
日本 127,520,000人
アメリカ 314,519,000人
ちなみに一位は中国 1,347,350,000人

アメリカは日本の2.5倍の人が住んでいるのですね。

国土
日本 377,930 平方キロ
アメリカ 9,629,091 平方キロ
ちなみに一位はロシア 17,098,242 平方キロ

アメリカの国土は日本の25倍!25倍の国土って、あまりピンときませんね。たまに世界地図を開いてみると、本当に日本は小さな国だと気づかされます。(インターネットで世界地図を見る際は、お時間がある時にでも、ぜひ world map と英語で検索してみてください。日本で作られた地図ですと、見やすく日本が中心になっていますが、英語の世界地図を見ると、日本は本当に端っこ。極東の小さな島なんです) 余談ですが、これだけ広いアメリカですから、もちろん英語にも方言があります。日本にも方言がありますよと言うと、あんな小さな国でどうして!と驚かれます。日本は小さな国ですが、山があり谷があり、地域というものがあって、、と説明するようにしています。

私はカリフォルニア州に住んでいますが、カリフォルニア州の大きさは423,970平方キロ。ということは、この州だけで日本はすっぽり収まってしまうのですね。(書きながら改めて吃驚)

それではいよいよビールの数字です。

ビール年間生産量 (キリン食生活文化研究所 2011年)
日本 5,629,566 キロリットル
アメリカ 22,545,817 キロリットル
ちなみに一位は中国 48,988,000 キロリットル

アメリカは日本の4倍、ビールを醸造しているんですね。

国民一人当たりの消費量(キリン食生活文化研究所 2010年)
日本 45.4 リットル 
アメリカ 78.2 リットル 
ちなみに一位はチェコ 131.7 リットル 

アメリカは日本の1.7倍。

文章でまとめますと、人口は日本の2.5倍だが、国土はなんと25倍もあるアメリカでは、日本の4倍ビールを醸造し、国民一人当たりが飲む量も、日本人の2倍近くある、ということになります。

それではここから、ビールはビールでも、クラフトビールに焦点を当てていきたいと思います。

上記醸造量の中で、クラフトビールのシェアは6%(2011年)。つまり、これだけブームと言われて
いるアメリカでも、実に94%は大手のビールということになります。
ビールの醸造所数は、2012年7月のデータによると、2126件。内訳は(http://www.brewersassociation.org/pages/business-tools/craft-brewing-statistics/number-ofbreweries

クラフトブリュワリー(ブリューパブを含む) 2075
クラフトブリュワリー以外           51

たった51社で、94%を占めているのですね。

それでは、2075件あるクラフトビールの醸造所に関して、州ごとに少し細かく見ていきます。下の地図は、州ごとのクラフトブリュワリーの数を図にしたもの(*)。色が濃い州ほど沢山のクラフトブリュワリーがあります。

左側の一番濃い州、CAがカリフォルニア州です。アメリカ全土でクラフトブリュワリーが最も多く、2011年の調査で、268の醸造所があると言われています。( http://www.brewersassociation.org/pages/business-tools/craft-brewing-statistics/breweries-percapita
日本には現在240のクラフトブリュワリーがあるとの情報を頂きましたので( http://www.beerstudygroup.com/news/differencebetweenjapanandus/)カリフォルニア州と日本を比べてみたいと思います。

         
面積:日本 377,930平方キロ / カリフォルニア州  423,970平方キロ
人口;日本 127,520,000人 / カリフォルニア州 37,691,912人
ブリュワリー数:日本 240箇所 / カリフォルニア州 268箇所

カリフォルニア州だけで、日本の国土とブリュワリー数をカバーしていることになります。人口は日本の方が圧倒的に多いです。 単純に人口で割ると、カリフォルニア州では、14万人に1件の割合でクラフトブリュワリーがあるのに対し、日本では53万人につき一件。こうしてみると、まだ醸造所が増える余地はあるかも。。?

それではアメリカでは、上記の地図に人口のデータを加えると、どうなるのでしょうか。

どうでしょう。だいぶ違ってくると思いませんか?カリフォルニア州はブリュワリーの数は多いけれど、人口も多いのです(現在アメリカで一位)。上記の図で色が濃くなった、OR(オレゴン州)、MT(モンタナ州)、VT(バーモント州)は、人口に対して醸造所の割合が多いことを示しています。オレゴン州、モンタナ州共に、3万人につき1件。バーモント州にいたっては2.6万人につき一件の割合です(http://www.brewersassociation.org/pages/business-tools/craft-brewing-statistics/breweriesper-capita

私は上記オレゴン、モンタナ、そしてバーモントのどの州にも未だ行った事が無いのですが、数字からビールがとても愛されている州だということが感じられます。一度ゆっくり、醸造所をまわる旅に出かけたいと思いつつ、いやいや、意外と他の州の数少ないブリュワリーの方が、驚きの高品質ビールを造ってたりして。。なんて、地図を見ながらあれこれと想像するのも楽しいです。

いかがでしたでしょうか?一言でアメリカと言っても、国土は大きく、州が違えば法律も違い、食文化もビール文化も違います。そしてもうひとつ知っていただきたいのは、まだまだアメリカはとても新しい国だということです。 禁酒法が終わったのはたった80年前のことであり、国民健康保険もまだ無く、肥満問題や貧富の格差など、問題が山積の国です。

しかし裏を返せば、たった80年でアメリカのビール業界はここまで復活したとも言えます。この復活の根底には、広大な土地と多民族から生まれるパワー、パッション、そして熱気のようなものを感じます。そしてこれが、人々を圧倒し、そして惹きつける、アメリカの魅力に他なりません。

アメリカのパワーというと、押し付けがましい、強引な感じを受ける方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれを覆す、興味深いエピソードを最後に紹介させて頂きたいと思います。

友人の会社は日本の企業ともお取引があり、日本の方をお迎えしたり、こちらが出張で行くことがありますが、ビジネスを円滑に進めるために、チームミーティングで日本文化を徹底的に研究しています。例えば食事に行き、こちらが払いますと言っても、相手の日本人の方が いえいえ、こちらが払いますと言った場合、何回 No(いえいえ、こちらが)と言われたら、それは遠慮ではなく、本当の NO なのか、など。

意外に細かいと思いませんか? アメリカ人は大きくてガサツ、繊細な味も分からない、というのは80年代のイメージに過ぎず、実は好奇心旺盛で、対象を見つけると、細部にわたって研究し尽くすのがアメリカ人だと私は感じています。そしてこの気質とパワー、そしてパッションこそが、アメリカのクラフトビールを美味しくしている所以ではないかと、私は思うのです。

ここまでお読み頂きまして、誠にありがとうございました。
機会がありましたら、是非このエネルギッシュで研究熱心なアメリカ人達の造ったクラフトビールをお試し頂き、またアメリカにお越しの際には、是非その州で醸造された地元産のビールをお楽しみ頂ければと思います。

日本のビール文化の発展に、微力ながらお手伝い出来ます様、南カリフォルニアから美味しいビールと楽しい情報を、これからもお届け出来るようがんばりますので、どうぞこれからもBeer Study Groupをよろしくお願い致します。

長くなりましたが、最後に、ここに書かせて頂く機会をくださったビアジャーナリスト協会の皆様に厚く御礼申し上げます。
 
Emi Eads
http://www.beerstudygroup.com
http://www.facebook.com/BeerStudyGroup

(*)上記地図は The Geography of Craft Beer http://www.theatlanticcities.com/arts-and-lifestyle/2012/08/geography-craft-beer/2931/
の記事からです。 この記事は人口以外にも、州ごとの教育格差や肥満度からもクラフトビールとの関連性を述べており、非常に興味深い記事でしたが、ここでは割愛させて頂きました。

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001藤原 ヒロユキ

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。日本外国特派員協会会員。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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