[JBJA活動]2013.7.24

目白田中屋 ビール担当 北山義嗣氏インタビュー その3

BJA2期生の池田です。北山さんインタビュー、第3回にして最終回をお送りします。

宜しかったら第1回、第2回も併せご覧下さい。

第1回

http://www.jbja.jp/archives/5706

第2回

http://www.jbja.jp/archives/5780

前回は店舗の移転の話から商品やお客様に対する想いをお聞きしましたが、今回はもうすこし具体的に、温度管理や荷運び・梱包作業など具体的な仕事の話、そして今後のトレンドなどについてもちょっと伺っています。

北山さんは、校正を依頼すると、とにかく返信が早く内容が具体的かつ丁寧。こんなところからも人柄がしのばれます。そのあたりも楽しんでいただければうれしいです。

  入口の棚地下が喫茶店だった時代から残るショーケース。現在はシュークリームの代わりにビール。

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★温度管理①店内のセラー

-前は一階に店があって、地下が倉庫だった訳ですけど、いまはそこが店になってて。同じ階が冷蔵庫になってるんですか?

北:そうです。まず、ストックスペースとして、売り場の冷蔵庫、温度はそこまで下がってないからセラーですか、その裏側がウォークインになっているので、そこにある程度置けるのが第一。

-何度?

北:14℃です。温度設定を迷ったんですけど。

ビアスタイルごとに管理温度を変えるっていう構想もあったんですけど、そうなるとなかなかオペレーションが難しい。ちょっとずつ仕切った設備を整えるにもコストがかかりますしね。

そういったことをいろいろ考えた中で、降りてきた(移転した)ときに持ってたビールの割合を考えると、やっぱりベルギービールが大半を占めてたというのがあって。

そうなると、ボトルコンディションビールに合わせた温度が1番いいのかな、と。静かに、緩やかに熟成が進められる位の温度。

ちょっと弱いタイプのビールも、14℃くらいまで落としておけば、常温で管理するより遥かに劣化の速度も遅くなるのではないか、っていうのと、あとは温度変化をあんまり何回も繰り返すのも多分良くないだろうなっていうことは考えました。

そうなると、後付けの理由なんですけど、仮に店でしっかり冷やすと、お買い上げいただいた後、冷え過ぎたビールを沢山、この季節ですと炎天下に持ち歩くことになります。

-温度は変わりますね、確実に。

北:飲食店さんですと、お店によってはストックスペースも限られてる場合があるので、全部を冷蔵庫に戻さないかもしれない。そうすると、冷えたものが温まってまた冷蔵庫に入れるということが起こりうる。

そういうことを色々考えると、うちから14℃で持ち出して頂ければ、温度差が若干狭まるかな、ということで、温度を一つ選択しなければいけないんだとしたら、とりあえず最良の選択肢かな、という風に思ってるんですけど。

-なるほど。

北:そうなると今度問題になってくるのが、国産クラフトが明確に要冷蔵を指示してきてる、ていうのがあって。

国産と輸入で同じスタイルのものは一杯あるじゃないですか。本来であれば同じ製法のものは同じ方法で保管したいですんけど…ただ、造った方の指示に従ってお客様にお届けするのが僕の仕事なわけで、国産メ-カーさんが要冷蔵の指定をしていれば、要冷蔵でない管理をするわけにはいかないですよね。

-確かに。

北: もしかすると、輸入ビールの管理の方にも改善の余地があるのかもしれませんけど。ともかく造った人が指示した温度で管理することになるので、結果、売り場でもあれ(国産ビールの入っているオープンケース)だけちょっと雰囲気が違う(笑)。

-それであれが置かれてるんですね。

 田中屋オープンケース「あれ」。北山氏の作るPOPがケースの縁にびっしり貼られており、違和感なく北山ワールド。

北:オーナーの構想にはなかったみたいで、「国産クラフトだけ、もう少し低い温度で管理したいんです」って言ったら、「えっ、そうなの?どうしよう、じゃあしょうがないからこれ捨てないで持ってく?」て言われて。それであれを使うことになりました。

-面白い話ありますね(笑)。

★温度管理②バックヤード

北:あっち(入店してまっすぐの左側)に店のワインセラーがありますよね、その裏も(店側と)同じ造りのセラーなんですよ。

昔から、倉庫セラーで使っていたのを、半分を店のセラーとして造り変えたので。

裏にある残り半分のセラーがビールのメインの保管場所になっていて、そこも14℃での管理をしています。

そうなると、国産クラフトを仕入れた時はどうなるかというと、外にプレハブの二つドアの冷蔵庫がありまして、そこの冷蔵庫だけ冷蔵の温度にして、そこに国産クラフトを入れてます。

この冷蔵庫は、輸入ビールの入庫時に昇降機で少しづつ上げてると時間がかかるので、一旦これの空いてるスペースにに逃がして、時間があるときにメインの倉庫に移してっていう仮置き場の役割も果たしてます。けど、基本的には国産クラフト用です。

-贅沢ですね。

北:だから、コスト的に相当かかってる。本来はあんな値段で売ってる場合じゃないんですけど、ぎりぎりで頑張ってます(笑)。

★梱包

-発送とかもあるんですか?

北:あります。飲食店さんの他に、講演・セミナー用とかもあります。

信頼されてるっていう証なのかもしれないですけど、とにかくあいつに任せればそんなに変なものも集めないだろうし、必ず期限までに納品するしっていう。

 

有難いことなんですけど、その期待にこたえるのは相当な神経を使うんですよ。

 

僕の段階で間違いを起こす訳にはいかないので、繊細な仕事をしなきゃいけないですし。他の人がみたら、え、そこまでするの、って言うくらい神経質に荷造りとかしてます。

 

破損しないように、かなり慎重に梱包もしなくちゃいけないし、何回も本数の確認しちゃいます。

 

それをお任せできる繊細な神経っていうか、実直な性格を持った人とかを雇えればいいんですけど。

★テイスティング

-で、夜に試飲。

 

北:毎日のように相当な数のサンプルを頂いて、基本的に全部試飲するんですよ。

 

口にしないと全体像は解らないですけど、これまでの経験上、色とか泡の状態で大体味のイメージが浮かぶじゃないですか。

 

基本、一日一食、夜しか食べないんですよ。朝はコーヒーだけで、昼もそもそも休憩時間が取れないんですけど、食べると仕事する気がなくなっちゃうんで、いずれにせよ食べない。

 

で、夜試飲するんですけど、食事の後だとやっぱり、テイスティング能力が落ちる気がするので、空腹の状態で。

 

-はい。

 

北:で、試飲するのがインペリアルスタウトだったりする。味の問題ではなくて、ああ…って(笑)。

 

-濃厚なビール、今人気ありますもんね…

 

北:(微笑)ビールの好きな人だったら、テイスティングとかも楽しいんですかね?試飲も全部飲んで。

 

-うーん、個人的に美味い!って言ってるのと違いますからね…コメントを考えてカードを作って田中屋に貼るわけでしょう(笑)。ずいぶん違う気がしますねえ…

 

★やっときたイタリア、その先?

-いまイタリアビールが流行ってるんですかね?

 

北:10年位前から、イタリアのビールを輸入してくれっていろんなインポーターさんに言ってたんですけど、どこもやってくれなくて。…アメリカビールの時も最初はそうでしたけどね…。今年に入ってちょっと、お?って感じですね。

 

-今はどの位あるんですか?

 

北:30種類くらいかな。

 

-え、店にですか?

 

北:はい。この間料理通信さんの取材を受けたんですけど、イタリアビールを取り上げたいっていうことで。ライターの方も、現地のブルワリーにいくつも訪問されてる方で。

 

-イタリアビール、モレッティとかナストロアズッロとかしか知らなかった…今度買いに行きます。

 

北:イタリアビールは、今年中にかなり色々入ってきますよ。あまり言うと色々特定されちゃうので、色々と言っておきます(笑)

 

-最後に、北山さんの夢は?

 

北:BIGで6億円当てることです!!(笑)

 

-…(笑)

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 かなりのロングインタビュー、お付き合い頂きありがとうございました!

僕はもともと酒屋さんが大好きなんですが、改めてその仕事の一端に触れ、更に好きになりました。

また、北山さんの話を通して、仕事論としても、自分自身いろいろ考えることができました。

今後も、酒屋さんをはじめ、ビールに関わるいろんな方に話を伺ってご報告します。よろしくお願いします!

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この記事を書いたひと

池田 大輔

ビアジャーナリスト

ビールを造る人、売る人、飲む人に興味があって、突撃取材で話を聞くのが好きです。 取材を通して、ビールを楽しむシーンがもっと広がる楽しみを皆さんと共有できたら嬉しいです。

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