[JBJA活動]2014.2.18

麦酒について淡々と勉強する 歴史その5

こんばんは。酒屋好きの池田です。もう少し書いたら、石神井のいせやさんについて書くつもりです。

前回までです。
第1回
http://www.jbja.jp/archives/7931

第2回
http://www.jbja.jp/archives/7947

第3回
http://www.jbja.jp/archives/7977

第4回
http://www.jbja.jp/archives/7984

1回目で取り上げた参考書のほか、最近はこちらも参考にしています。

明治期の多摩川流域におけるビール業の研究(1996年)
http://www.tokyuenv.or.jp/wp/wp-content/uploads/2011/04/7ed560d8716f63f75707bacef810e35c.pdf

牛込先生にもいつか話を聞いてみたいですね。

★明治初期の醸造所跡地めぐり
 上記の資料に載っている1880年(明治13年)9月のビール醸造数のトップ3の所在地を追ってみました。

 ちなみに、醸造量は「石」であらわされていますが、1石=180.39Lです。もともとは人間が1年に食べる米の量が「1石」とされており、その1石が入る容積を換算しているようです。
この「石」はおそらく年間醸造量をさしているのだと思います。

1位 金沢三右衛門(384石)=69.3KL 
現在のビール免許ぎりぎりクリアですね。このビールはもう少し経つと「桜田ビール」と呼ばれ、東京のトップブランドになります。

 南金六町四番、現在の博品館の場所でビール販売をスタート、間もなく現三井ガーデンホテルの場所に売店を移した三右衛門氏が、今度は醸造に参戦、桜田本郷町に12年に開いた「醗酵社」(第2回で取り上げました)は、早くも13年に移転します。移った先は紀尾井町清水谷。

 醸造量が増え手狭になったこと、またもとの場所の水質に問題があったということで移転しています。いい水が出るんでしょうか。行ってきました。

 丸の内線、南北線、JR中央線が止まる四ツ谷駅で降りて、上智大学方面へ。通り過ぎたところで(かなり広い)敷地沿いに坂を右手におりて行きます。すると見えてくるのが右手にホテルニューオータニ、左手に清水谷公園。この一帯が紀尾井町です。この「清水谷公園」の上あたりが醸造所でした。現在は普通のビルですね。当たり前ですね、そうですね。

DSCN1712

 ここは昔から「清水谷」と呼ばれていたそうですが、来てみると本当に谷です。昔は井伊家の中屋敷があった場所で、霊水(清水)の湧き出る地として知られていました。ビール造りに好適な水があったわけですね。ここに150坪(約500平米)の醸造所を開設します。

 しかし、井伊家って言ったら井伊直弼とかですよ、そんな家の土地をドーンと買っちゃうというのは豪気な話。その当時ビールはどれだけ儲かったのかと想像を逞しくしてしまうところですが、金沢家は古くから商家として活躍した家系。財力の裏付けはあるのです。

 現在は公園になっており、池がありますが、現在の池は人工的なもののようです。

DSCN1709

 ちなみにここは大久保利通が暗殺された場所としても知られ、記念碑があります。事件が移転のわずか2年前、1878年(明治11年)というのも何とも味わい深いところ。ビールの発展にも寄与し、博品館のきっかけとなった内国勧業博覧会、それを推し進めた大久保利通が清水谷で暗殺され、そこに東京随一の醸造所が生まれるのです。奇しき縁を感じます。

 ここは本当に谷で、大雨の際など大丈夫なんだろうか、と心配になりますが、すぐ脇に江戸城外堀があり、流れ込むことで安全が保たれていた、のかな?

2位中西二三郎(360石)=64.9KL
 この人については、醸造量の割に、さっと調べても何も出てきません。困ったものです。
判っていることは、例の博品館から我らが三右衛門氏が移転した後に同じ場所に入居したこと。なんと、ビール醸造を行っています。

 その一方、ここで始める前から有楽町三丁目一番地でも醸造を行っていまして、そこで作ったビールを第2回内国勧業博覧会に出品しています。この三丁目一番地は、現在でいうと

DSCN1658

ニュートーキョー数寄屋橋本店です。

 ニュートーキョー自体は1937年(昭和12年)の創業ですから、直接関係はないはずなのですが、機会があれば復古ビールとか企画してみてほしいです。

3位 白井貞幹(100石)
 この方は、桜田ビールが後に「東京麦酒」に名称変更した際に社長になる方のようなのですが、新橋と全く関係なくなるので割愛。ほぼこの辺だろう、というところまでは行ったんですけどね。ちなみに小川町3丁目、ヴィクトリア本店の隣あたりです。

さて、話が長くなりました。次回にはやっと銀座ライオン周りの話ができるでしょうか。

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この記事を書いたひと

池田 大輔

ビアジャーナリスト

ビールを造る人、売る人、飲む人に興味があって、突撃取材で話を聞くのが好きです。 取材を通して、ビールを楽しむシーンがもっと広がる楽しみを皆さんと共有できたら嬉しいです。

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