[ブルワー]2014.2.19

「モダンタイムス・ビール」の名前の由来は、映画ではない! って知ってた? 実にアーティスティックなビールをさらに詳しく紹介します。

2014年02月12日付の記事でも紹介されていた「モダンタイムス・ビール」。
このスタイリッシュなビールは、実にアーティスティックでユニークなチームから生まれている。
醸造所の成り立ちやネーミングの由来など、さらに詳しいインフォメーションが届いているので紹介したい。

サンディエゴはポイントロマ界隈の工業地区の一角に位置する、2013 年5 月に醸造を開始した新しい醸造所、モダン・タイムス。
同ブリュワリーは、Stone でソーシャルメディアコーディネーターをしていたビアギークであり、長年のホームブリュワーでもあったJacob McKean と、同じくStone で働いていたグラフィックデザイナーのAmy Krone、悪徳弁護士、非凡な醸造家達、昆布茶中毒の不動産屋、高価な建築家etc からなる最高のチームにより設立された。資金調達にはクラウドファンディングサービス” Kickstarter” を利用して、ブリュワリーとしては過去最高額の資金調達に成功した。

「モダン・タイムス」という名前はあの有名な映画ではなく、1851 年から1860 年代後半までニューヨーク州ロングアイランドに実在した、美しくも狂気じみたユートピア的コミュニティ” Modern Times” に因んでいる。そして、彼らのビールのほとんどは、実在した実験的ユートピアコミュニティか、あるいは架空のユートピア的コミュニティから名付けられている。そのネーミングからも伺えるように、アーティスティックかつどこかアウトサイダー的な世界観を持つ彼等。その魅力は、ブリュワリー/テイスティングルームやパッケージ製品のデザインにも現れている。
広々としたブリュワリー/ テイスティングルームの壁一面にはポストイットノート(!)で制作された巨大なマイケル・ジャクソンと猿のバブルス君の絵が飾られ、反対側の壁には一面にアメコミの表紙が飾られている。そのコミックも、よく見ると「ゴーストライダー」や「モービウス」などの一匹狼的なアンタイ・ヒーロー物がほとんど。
テイスティングルームのカウンターは膨大な量の書籍の上に載せられており、マーチャンダイズは本棚の中に古書と一緒に陳列されている。天井からはLED ライトと球状になった枯れ草で出来たシャンデリアがぶら下がっており、醸造所というよりはアーティストの隠れ家/ ネバーランドといった雰囲気。

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そんな彼等が作るビールも当然ながら一筋縄ではいかない。醸造チームはヘッドブリュワーに元Karl Strauss/Lost Coast のMattWalsh、そしてMonkey Paw の設立時からのブリュワーであったDerek Freese、元Ballast Point で、あのカレースタウト” IndraKunindra” のレシピを書いたAlex Tweet というメンバー。
香り高く複雑、風味豊かで飲みやすいビールづくりを心がける彼等だが、モロー博士の島よろしく、既存のカテゴリーのよいところをマッシュアップして新しいものを造り出すハイブリッドスタイルのビール得意とする。更に野生酵母ブレタノマイセス専用のタンクを持つ彼等は、最近サワープログラムも始動させた。
つい最近、サンディエゴのクラフトビールカルチャーの中心地として名高い30thStreet 沿いのノースパーク地区に新しいテイスティングルームをオープン予定であることを発表した彼等。今後も要注目であることは間違いないだろう。

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Blazing World -hoppy dank amber-
Style: amber ale/ipa
Abv: 6.8%
Ibus: 85
Final gravity: 1.011
Hop varietals: Nelson, Simcoe Mosaic
Malt varietals: 2 row, Pale chocolate, Munich
仄かにフルーティーなドライアンバーエールに最高のダブルIPA のようなたっぷりのホップ感というコンビネーション。ネルソン、シムコー、モザイクといったフルーティーな特徴を持つホップを大量に使用したこのビールは、色調はアンバーだがドライさが心地良く、巨大で複雑なホップの特徴をパンのようなモルトボディがしっかりと支える。

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Black House -coffee roasty stout-
Style: stout
Abv: 5.8%
Ibus: 40
Final gravity: 1.022
Hop varietals: Co2 extract
Malt varietals: Two row, Kiln coffee malt, Oats, Roasted barley,
Pale chocolate, Black malt, Biscuit, Crystal 60
Coffee varietals: 75% Ethiopian, 25% Sumatran
フルボディ、しっかりとしたチョコレートのようなフレイバー、強烈なコーヒーのアロマといったインペリアルスタウトのような特徴を持ちながらもアルコール度数は5.8% に抑えたオートミールコーヒースタウト。このビールに使用されているコーヒー豆は実際にブリュワリーでローストされている(コーヒーとして飲んだら美味しくないロースト加減、とのこと)。コーヒーのローストにまでこだわった結果、たっぷりのロースト感にチョコレートのようなフレイバー、エスプレッソのようなフィニッシュの、とても複雑で香り高い、風味豊かなビールに仕上がった。

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Fortunate Islands -hoppy citrusy wheat-
Style: wheat
Abv: 4.8%
Ibus: 46
Final gravity: 1.007
Hop varietals: Citra, Amarillo
Malt varietals: Wheat malt, Two row, Caravienna
ホップをたっぷりと効かせたIPA とイージードリンキングなウィート( 小麦) ビールの特徴を併せ持つ。大量のシトラとアマリロを使用したこのビールはマンゴー、タンジェリン、パッションフルーツなどを思わせるトロピカルなホップアロマが存分に楽しめる。ウィートモルトを60% 使用したことによるマイルドでナッティーなモルトボディ、4.8% と程よいアルコール度数、そして抑えた苦みがこのビールを素晴らしいセッションビールに仕上げている。

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Lomaland -bright rustic saison-
Style: saison
Abv: 5.5%
Ibus: 30
Final gravity: 1.009
Hop varietals: Chech saaz
Malt varietals: Pilsner, Wheat malt, Flaked corn
ハイブリッドというよりは原点回帰指向の複雑だがドリンカブルなベルジャンスタイルファームハウスエール。干し草やペッパー、穏やかな日光のような香り、ドライでクラッカーのようなボディ、軽くホッピーなフィニッシュは食事との組み合わせもバッチリ。
Lomaland という名前はブリュワリーの位置するサンディエゴのポイントロマにかつて存在した美しくも狂ったユートピアコミュニティであり、ポイントロマの最初の定住者であった” Lomaland” に由来する。

Modern Times BEER ( モダンタイムズビール)
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モダンタイムス・ビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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