[テイスティング]2014.4.3

“赤星”に願いを。

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今や数少ない加熱処理ビールも発売当初は「生ビール」

明治10年発売。今年、御歳137歳になる老ブランド、サッポロ・ラガービール。通称、“赤星”。生ビール全盛の今、数少ない加熱処理を貫く頑固なビールである。サッポロビールのホームページには「現存する日本最古のビールブランド」と書かれ、ラベルにも「JAPAN’S OLDEST BRAND」と示されている。主に居酒屋など業務用で販売されているため、なかなか近所のスーパーやコンビニでお目にかかることはない。サッポロビールさんに問い合わせたところ、「一部のスーパーでは取り扱っています。酒販店に注文いただくと購入出来ます」との返事。さらに、「発売当時は、加熱殺菌の技術がなく生ビールでした。明治21年になり、低温殺菌技術をドイツ人技師のマックス・ポールマンから学んだサッポロ・ラガービールが発売されたのです」と、当初は生ビールであったことが判明。国産ビールの黎明期ともいえる明治時代、“赤星”もいろいろ試行錯誤していたのだろう。ちなみに、「発売時の原材料や味覚については、当時と比べると製造方法、原材料の品質が格段に進歩していることもあり、今のビールと比較は出来ません」とのこと。

改めて言うまでもないが、“赤星”はサッポロビールの前身である開拓使麦酒醸造所が初めて醸造・製品化した、サッポロビールの第一号商品。愛称の“赤星”はラベルの赤い星から。これは北極星をイメージした北海道開拓使のシンボル『五稜星』をデザインしたもの。ラベルのデザインは長い年月の間に何度と無く変わってきているが、この赤い五稜星だけは時代を超え、常に輝き続けている。

 

 

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130余年、日本人の喉を潤し、心を癒してきた。

クラフトビールや海外のビールが何かと関心を集めている昨今、たまにはオールドフレンドに会いたくなって、麻布十番の居酒屋「あべちゃん」へ。カウンターへ座り、早速、“赤星”と名物のモツ煮込みを注文。甘辛く濃いめに味付けされたモツと赤星の爽やかなほろ苦さが、しみじみと旨い。いい年した男が一人、カウンターでビールの中瓶片手に感じ入る姿が端からどう見えるかはさておき、旨いものは旨いのである。

焼き鳥、枝豆、冷や奴。赤星には居酒屋定番メニューが合う。奇をてらわず、料理も酒も内角低めの直球勝負ができる店に赤星が置いてあることが何よりもうれしい。

都内中心にありながら下町風情が残る麻布十番という場所柄からか、この店にはサラリーマン、業界人、女性グループ、オヤジと若い女の子の二人連れ(コンニャロ!)など年齢も職業も種々雑多な人々が集まる。みんながみんな赤星を飲んでいるわけではないが、ビールだ、チューハイだ、日本酒だとそれぞれジョッキやグラスを掲げ、愉快そうに笑っている。

「いいなあ、この雰囲気」。赤星は130年以上、こんな風景を見守ってきた。いい時ばかりじゃない。戦争や震災もあった。辛く厳しい時代もこうして日本人の喉と心を癒し続けてきたのだ。「偉い!国民栄誉賞!」とだんだん酔いが回り、好き勝手なことを考える。

「おい、じいさんビール、これからも頑張れよ」と声をかけると、「お前もな」と言われそうだ。

 


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この記事を書いたひと

すずきまさし

ビアジャーナリスト

コピーライター、SPプロデューサーを経て、現在、酔いどれライター。
旨いビールと静かな酒場を愛す。脂肪肝と痛風には注意中。

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