[テイスティング]2014.8.15

ビアポエム(11)シメイ・ゴールド 〜修道院ポップ

夏休み、修道院にポップ・グループがやってきた

もしもシメイが音楽なら。
シメイ・ブルーは真夜中に聴くジャズ。
シメイ・レッドは高揚感のあるロック。
シメイ・トリプルはファンキーなベースアンドドラム。
そして、シメイ・ゴールドは現代のポップだ。

シメイ・ゴールド

シメイ・ゴールド

定番カラー3色(ブルー、レッド、ホワイト(トリプル))に入った新メンバーは、ポップな音楽を奏でるゴールド。

ゴールドは不世出のビールだった。人々の噂にはのぼるが姿を見せない。そんなビールだったが、気まぐれなのか機が熟したのか、修道院から顔を出して挨拶をした。それが昨年(2013年)のこと。

シメイ・ブルーやレッドを知っているビール好きから見ると、このビールは軽く感じられてしまうかもしれない。
しかしこの軽さが魅力だと、最近、特に季節が春から夏に変わるにつれ思うようになった。
ゴールドはとても”軽い”。ベルギービールでは、”体重”別にランク分けするようなスタイルの呼び名があり、ゴールドは最も軽い「シングル」に相当する。「ダブル」、「トリペル」というような名前がついたビールを飲んだことのある方も多いだろう。その「ダブル」よりも軽いのが「シングル」。修道院内で、修道士たちが飲むアルコールの低いビールという位置づけで語られてきた。従って、小売りもほとんどされていない。

”体重”とは、専門用語で言えば”初期比重”のこと。ビールの主な原料となるのは水と麦芽であるが、麦芽を使う量が多いほど”体重”は重くなる。そして、”体重”が重いと、できあがるビールの味は濃くなるか、アルコール度数が高くなり、いずれにしても、飲みごたえのあるものになるのだ。

じゃあシングルなんて水っぽいんじゃないのと侮るなかれ。そもそも彼は重厚なパイプオルガンを奏でに来たのではない。民衆のためにポップを奏でにきたのだ。そのメロディーには、ウキウキするものがたくさん詰まっている。

・・・tasting
特筆すべきは、フルーティで、洋梨のような香り。レモングラスのようなハーブの風味もある。
味わいは軽く、涼をとるのにはうってつけ。シメイらしいスパイシーな後味も楽しく、リズムが良い。香って潤って、スパイシー。
シメイ・ブルーが真夜中に聴くジャズなら、こちらは現代的な電子音のポップ。
トラピストというより、コンテンポラリーなセゾンです、と紹介しても納得できる一品。

昨年の日本入荷から時間はたったが、改めてこの夏に再発見したいビール。
「修道院ポップ」が夏を楽しくしてくれる!

ベルギービール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

ニシバヤシ タツマ

ビアジャーナリスト/びあけん1級(2013,2015)

大学時代に自転車旅行でビールのうまさを知る。ほどなくしてベルギービールにカルチャーショックを受け、 世界のビールの虜に。ビールは大人の趣味の1つ。その一期一会を記事やビアポエムとして伝えていきたい。

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