[ビアバー]2023.1.18

麦酒倶楽部ポパイ。クラフトビールの聖地と呼ばれる店の逸品料理を味わいに行く  

クラフトビールの聖地。

こう表現すると、人それぞれ思い浮かべる場所があると思います。その中で東京・両国で1996年から全国の地ビールが飲める店として営業する「麦酒倶楽部ポパイ(以下、ポパイ)」を挙げる人は多いのではないでしょうか。

日本の小規模ブルワリーを創世記から支え続ける同店。ビールを最高の状態で提供してくれることは周知のことですが、料理も魅力的です。

今回は料理にフォーカスして「ポパイ」を紹介します。

洋食居酒屋から始まったポパイ

料理を紹介する前にポパイについて触れておきたいと思います。

現在は70Tapのクラフトビールを提供しているポパイですが、1985年のオープン当時は「洋食居酒屋ポパイ」という名前でした。

店名の由来は、創業者の青木辰男さんがほうれん草料理にこだわっており、親しみやすい店名にしたい思いから。その後、1996年にクラフトビール専門店としてリニューアル。当初は8Tapでスタートしました。その後、セラー(冷蔵庫)を設置やTap数を増やして現在の形になります。

カウンター席前に広がる壮大なビールサーバー。席の前にはリアルエールを提供するハンドポンプのビールサーバーもある。

しかし、「ポパイ」の最大の特徴は、多くの種類が飲めることではありません。

「ただ、樽でビールを提供するのではなく、各ビールのガス圧を調節して、品質の良い状態でお客様に届けています」と教えてくれたのは2代目代表取締役の城戸弘隆さん。

提供するビールが持っているポテンシャルを損ねることなく、魅力を最大限に味わうことができます。

「ブルワーが一生懸命造ったビールのポテンシャルを落とすことなくお客様に届けることが専門店の務めだと考えています」と城戸さんは思いを話します。

ガス圧はビアスタイルで目安を設定。ヴァイツェンやフルーツビールのような口当たりが軽いものは強めにし、スタウトやアルコール度数が高いものは弱めに設定しています。「あとは実際に飲んでみて調整しています」と最終的には実際に口にして決めていると言います。

「ポパイ」2代目代表取締役の城戸弘隆さん。城戸さんも長くポパイを通じて日本の小規模ブルワリーを支えてきた1人。

さらにホースの長さや太さ、重力など様々な要因を踏まえて提供しています。

これは「先代の青木が味を決めるのはセッティングが8割、サービングが2割という考えからです」。最高の状態のビールを提供するためには、注ぐ人がビールの味を想像できないと注ぎ方を決めることはできないと言います。そのため、「ポパイ」ではビールのことを正しく理解したセラーマンのみがサービングしています。

ラインナップは、レアリティのあるビールや流行のビアスタイルを追うのではなく、自分達で飲んでみておいしいと感じたもの。「提供するビールの判断は、正しくビアスタイルの特徴を捉えているかですね。それとコミュニケーションがとれるブルワリーさんです。意見交換をしっかりできる方たちとお付き合いさせていただいています」と城戸さん。

「クラフトビール業界を発展させたい」。ブルワーの意図を理解して提供し、飲んだ人の感想や自分たちが感じたことをフィードバックする。本音を語り合うことで一緒に業界をレベルアップさせていきたいと思いを語ります。

店内風景。スポーツ中継を流しているので、スポーツ好きにもお勧めのお店。

料理にビールを使ったメニューが充実

ビールに目が行きがちな「ポパイ」ですが、料理も充実しています。メニューは、青木さんが考えたメニューを中心に提供。そこに最近はフレンチの経験を積んだシェフが考えたメニューも加わってきています。

一部の料理ではビールを使用しています。ビールは料理に使用すると肉が柔らかくなる、風味が残り味に深みが出ると言われていますが、「ポパイ」では「料理との相性が良くなる」という理由から入れています。「一見ビールと合わない料理でも少しだけビールを使うことで相性が良くなるんです」と城戸さん。

中でも一押しのメニューは「牛肉のビール煮」。ラガー系のビールをふんだんに入れています。

しっかり煮込まれた牛肉は箸で軽く解せるほどほろほろ。肉の甘味と旨味、甘さが控えめのデミグラスソースが絶妙に調和する逸品です。また、付け合わせのポテトとデミグラスソースの相性もよく、食べ終わる時にはソースが無くなり、お皿がきれいになってしまいました。

ビールで煮込んだ効果か柔らかくなっている。全体的に解してパンに挟んで食べてみたい逸品だ。

合わせるのは「國-KOKU-バーレーワイン」。飲むのが惜しくなるくらいきれいなルビー色をしたバーレーワインです。モルトの甘い香り、りんごのシロップ漬けのようなアロマ、そして、果実感のあるフレーバーが楽しめます。アルコール度数は10%ありますが、さらりとした飲み口なのでスムーズに喉へと流れていきました。

合わせてみると、「國-KOKU-バーレーワイン」の甘さが引き立ちリッチな気分を高めてくれました。ビールと料理の味の強さもちょうど良かったです。

「國-KOKU-バーレーワイン」は、赤ワインと見間違えるほどきれいに澄んだ色合い。「牛肉のビール煮」との絵はフレンチレストランのよう。

20時まで指定のビールを頼むとハーフサイズの料理が無料!

そしてもう1つ注目したいのが「王様セット」です。

これはオープンから20時まで指定のビールをオーダーするとハーフサイズの料理が無料になるサービスです。

お客さんにとっては嬉しいサービスですが、お店には厳しいのではないでしょうか。

「数字だけみたら厳しいですね。だけどこれはwin-winなんです」と城戸さんは笑いながら言います。

王様セットは、青木さんが考案したメニューで、お客さんが3杯ビールと2品の料理を味わってもらえたら満足して店を後にしてくれるという考えからきています。

「王様セットを3つ頼むと3杯のビールと3品の料理が味わえます。これだけで先代が考えた満足度をクリアすることができます。それと、例えばハッピーアワーで数百円を引いてビールを飲むならそれと同じくらいの原価の料理を提供した方が満足度も高くなる考えもあります」

確かに最終的に支払う金額が同じならビールに料理が付いている方が満足感はあります。しかもハーフサイズなので食が細い人でも利用しやすく頼みやすいです。

お店にとっても店内が満席でオーダーが立て混んでいるときに、王様セットがあることでメニュー数が一定数に絞られるのでキッチンも作業がしやすくなると言います。

提供スピードも上がることで、お客さんはストレスなく食事を楽しむことができるメリットが「王様セット」にはあるのです。

セットで選べるビールは、「飲んでみてほしいもの、自社のビール(両国麦酒研究所)など私たちが勧めたいものが中心になっています」。

今回、「王様セット」でお勧めしたいのが「やきそば風スパゲッティ」。モチモチしたパスタ麺に香ばしいソースが特徴です。見た目は濃い感じですが、食べてみるとあっさりしたソースに飽きずに食べられる家庭的な味わいです。

こちらに合わせるのは、「YOKOZUNA(アメリカンスタウト)です。ローストのアロマと軽い酸味やローストの苦味があり、コーヒーを飲んでいるような感覚のスタウトです。

合わせてみると、酸味が軽く引き立ち、ローストの香ばしいフレーバーが華やかに感じることができました。

ローストのアロマとフレーバーがお好きな人には試してほしい組み合わせです。

「やきそば風スパゲッティ」と「YOKOZUNA」の組み合わせは、香ばしさという共通項が生み出すペアリング。お勧めの組み合わせを参考にしながら自分好みのペアリングを見つけるのも楽しい。

まずは足元を固め、その後にクラフトビール業界発展の手伝いをしたい

1994年の地ビール解禁からもうすぐ30年。日本の小規模ブルワリーを見続けてきた「ポパイ」。今後はどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

「2店舗目の出店やブルワリーの規模を拡大、クラフトビール業界を発展させるお手伝いなどチャレンジしたいことは山ほどあります。だけど、先ずは先代から受け継いだ『ポパイ』をしっかり守っていきたいです」

新店舗という言葉が出てくるとは予想していなかったので驚きました。あくまでも将来やれたら良いレベルの話ですが、ビールの取り扱いに長けたお店が増えることは飲み手にはありがたいことです。

ぜひ、ポパイに行って、クラフトビールについて語り合いながら、多様なビールとおいしい料理を味わってみてください。

〈キッチン・ホールスタッフ募集中〉

「ポパイ」では、スタッフを募集しています。将来、クラフトビールが好きな方、将来お店を開業したい方など一緒にお店を盛り上げてくれる方を募集中しています。

詳細はこちらをご覧ください。

◆麦酒倶楽部ポパイ

住所:東京都墨田区両国2-18-7

電話:03-3633-2120

FAX:03-3633-2341

営業時間:月曜~土曜 15:00〜23:00(Food L.o 22:30  Drink L.o 22:45)

定休日:日曜日

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ/ビアジャーナリスト

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
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【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
●テレビ神奈川「News Link」
<ラジオ>
●TBSラジオ「鈴木聖奈LIFE LAB~○○のおじ様たち~」
●JAPAN FM NETWORK系列「OH!HAPPY MORNING」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ(2019年2月11日号、2020年12月28日号、2022年12月12日号) ●DIME(2019年4月号)●GetNavi(2020年2月号) ●週刊朝日(2020年6月12日増大号)●食楽(2020 SUMMER No,116)●週刊大衆(2021年4月19日号、2021年7月12日号、2022年6月20日号)●BRUTUS(944号 2021年8月15日号)
<Web>
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