[イベント]2013.11.18

チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.1 チェコのホップ 歴史と種類

2013年11月12日、チェコのホップ協会代表であるZdeněk Rosa氏にインタビューいたしました。予定時間をオーバーし、たっぷりインタビューすることができましたので、内容を数回に分けてレポートいたします。

ROSA氏3

Photo by 奥村 剛

Rosa氏はBohemia Hop Co.,Ltd.のBoard Chairman、Hop Growers Union of Czech Republic(チェコ・ホップ生産者連盟)の代表、チェコの農業連盟(農作物全般)の代表も務められています。

 

<vol.1 チェコのザーツホップ 歴史と種類>

私たち日本人にも親しみ深いザーツホップ。日本の大手ビールメーカーやクラフトブルワリーでビールの醸造にたくさん使われています。代表的なところではサントリーの『プレミアムモルツ』やサッポロビールの『エーデルピルス』など。その美味しさは皆様よくご存知だと思います。

ザーツホップ(SAAZ HOPS)のチェコ語での名称は、Žatecký chmele。

SAAZ(ザーツ)とは、チェコ北西部の都市Žatecおよびその地域、そしてホップの種類の意味をもつチェコ語Žateckýを英語やドイツ語に訳した言葉なのだそうです。チェコ国内には、Žatec地域以外にもAuschaやTirschitzといった地域でもホップが栽培されていますが、ホップの品質保証や管理、輸出などは、Žatec (SAAZ)で行われており、ホップに関わる会社や機関はすべてこの地域に所在しています。

チェコホップ栽培地域

― ザーツホップの歴史

ホップは古代から自生していましたが、中欧でビールを作る為の栽培が始まったのは約1,000年前からとなります。8〜9世紀にはホップを使ってビールを作ったという記録もあり、1101年にはチェコからドイツハンブルグへホップの輸出もスタートしました。それにともない、ザーツホップの良さが国外にも広がり、14世紀頃には他の国や地域でもザーツホップを栽培したいという要望がたくさん来るようになったそうです。チェコは当時神聖ローマ帝国の統治下で、時の皇帝カール4世はチェコのホップの品質の高さに注目し、ホップ根を国外へ出してはいけないというお達しをしました。なんと、その法律を破った者は手をちょん切られるという処罰だったそうで、いかに厳しく守ろうとしたのかがうかがい知れます。

チェコ歴史1

その後16世紀ぐらいには、誰が、いつ、どこで生産したものなのかが解るように番号をふって管理し、いわゆるトレーサビリティができる形で、品種のクオリティを保持向上する活動を生産地域で行っていました。現在は、チェコ国内の保証(左)とともに、PDO(Protected Disignation of Origin/EU(欧州連合)が規定するEU法の原産地名称保護制度)(右)でも品質保証され、検査が完了した商品パッケージには必ず2つのマークが並んで付与されています。

CISTA PDO

1929年にチェコスロバキアは世界最大のホップ生産国となりました。そして、現在は、アメリカ、ドイツ、チェコが主な生産国で、それ以外として中国、イギリス、ニュージーランド、スロベニア、もちろん日本などでも栽培されています。アメリカやドイツはビターホップが主流で、ファインアロマホップの生産はチェコには及びません。ビールには様々なビアスタイルがありますが、チェコのザーツホップはピルスナースタイルのビールには欠かせないスタンダードとなっています。

― チェコホップの種類

Bohemia Hopで取り扱うホップは、現在11種類。

Saaz / Saaz late / Sládek / Kazbek / Bohemie / Harmonie / Bar / Premiant / Rubín / Agnus / Vital

hop

代表的な三種類は以下となります。

◇Saaz   :伝統的なファインアロマホップ。ビールに素晴らしい味と香りをもたらす世界スタンダード品種。チェコ生産のホップの3/4を占める。アルファ酸3.5%

◇Sládek    : インパクトのあるホッピーな香りをもたらす品種。その特徴でアメリカのいくつかのブルワリーでも使用されている。アルファ酸6.0%

◇Premiant  : 心地よい香りと高バランスの苦味がある品種。アルファ酸8.0%

取り扱いホップの詳細はこちらのサイトからダウンロードできます。→http://www.chizatec.cz/en/czech-hop-varieties/?arc=36

 

次回は、栽培から輸出までの流れについてレポートします。

 
チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.2はこちら
チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.3はこちら
 
☆当日一緒に取材いたしましたビアジャーナリスト奥村 剛さんによる、インタビュー動画もぜひご覧ください。→https://www.jbja.jp/archives/7536

 

ビアジャーナリスト二期生 宮原佐研子

ザーツホップチェコピルスナーホップ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK 2023』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、ぐるなびグルメサイト ippin キュレーター など

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