[テイスティング]2012.6.11

サントリー「新ザ・プレミアム・モルツ」工場探訪

藤原ヒロユキの「新ザ・プレミアム・モルツ」工場探訪

 私自身、「ザ・プレミアム・モルツ」は、その前身である「モルツ・スーパープレミアム」の頃から大好きで、日頃から良く飲んでいる馴染みの味である。
 麦芽100%、欧州産アロマホップ100%、天然水100%で、香りと旨味が融合したビールとしてモンドセレクション最高金賞を連続受賞する実力派である。
 
 そんな「ザ・プレミアム・モルツ」が2012年3月13日にリニューアルした。

以前とどのように変わったのか?

 その違いを知るため、私はサントリー武蔵野工場を訪ね、ビール事業部商品開発研究部の岡賀根雄部長にお話を伺った。


お話を伺った岡賀根雄さん

岡さんの話によると
「ザ・プレミアム・モルツの理想的な味わいは、何杯でも飲み飽きない美味しさです。ドイツ語でヴァイタートリンケンと言われています」とのことである。
そのために、華やかな香り、深いコクとうまみがそれぞれアップされている。

華やかな香りを演出するホップについて語っていただいた。
「独自のホップ選別方法を採用しています。安定調達をするためにチェコ、ザーツ地方のホップ農家を支援し、品質保持のために低温コンテナで温度管理をして輸入します。使用する際はアロマホップの投入タイミングを最適化し、より良質な苦みと豊かな香りを得るようにしました」と。

煮沸開始時にホップを投入し、時間をかけて苦みを摘出し、煮沸終了時に新たなホップを加えることで華やかな香りをビールに残すことが出来るのだ。

麦芽にもこだわりがある。
「チェコおよびその周辺国でしか産出されないダイヤモンド麦芽を新たに加えました」

ダイヤモンド麦芽はヨーロッパの伝統的な品種を系譜とする麦芽で、現在は非常に希少な麦芽である。


右がダイヤモンド麦芽だ。

「一般的な麦芽より、コクやうまみに寄与するたんぱく質が豊富な麦芽です」

さらにもう一つ、注目したいのが糖化の方法である。

糖化とは、麦芽の持つでんぷんを糖分に変える作業で、この作業で出来た糖分を酵母が食べて、アルコールと二酸化炭素とうまみが生まれるのだ。
ビールの味わいを左右する非常に重要な工程である。

現在は、釜に麦芽とお湯を入れ、徐々に温度を上げていくインフュージョン製法が主流だが、「ザ・プレミアム・モルツ」はデコクション製法を採用している。
デコクションは、糖化の際にマッシュ(砕いた麦芽とお湯が混ざった粥のような状態)の一部を別の釜に取出し100℃に加熱し、再び釜に戻すことによって温度を上げていく方法である。手間もかかるし、別の釜も使うためスペースも必要になる。


大きな釜が並ぶサントリー武蔵野醸造所。

「デコクションによって、麦本来のコクとうまみが引き出せます。濃厚な麦汁を作ることが出来るのです」
そのうえ、「ザ・プレミアム・モルツ」はそんなデコクションを2度も繰り返す「ダブルデコクション」製法によって糖化されている。

原料だけでなく工程も贅沢である。実に素晴らしい。

 今回、工場見学をした後、試飲もさせてもらった。


いよいよ試飲だ!

 
 以前の「ザ・プレミアム・モルツ」はホップの香りがダイレクトに鼻腔をくすぐる印象だったが、新しい「ザ・プレミアム・モルツ」は口に含んだ時に感じるホップの風味が心地よく感じられる。
 そして、その風味は、デコクションならではの“味わいの厚み”と調和しいる。

確かに『何杯でも飲める』バランスの良さに仕上がっていると感じた。

新しくなったサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は気品と贅沢さを持ち、なおかつ素直で上品な面影をのぞかせるビールである。これからも贔屓にして飲み続けたい。


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001藤原 ヒロユキ

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。日本外国特派員協会会員。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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