[JBJA活動]2013.7.8

目白田中屋 ビール担当 北山義嗣氏インタビュー①

BJA2期生の池田です。

酒屋さんを愛しております。パブやビアガーデンで飲むビールも最高ですが、皆さんとブルワーをつなぐもう一つの扉、それが酒屋さんなのです。

今後少しずつ素敵な酒屋さんを紹介していけたらいいなあ、と思っています。一緒に楽しんで頂けたら嬉しいです。

今回のインタビューは、奇しくも、李珵寧の韓国レポートとも絡み合いながらのスタートになりそうです。

長時間インタビューのため、何回になるか分かりません。ご了承ください。

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目白田中屋  ビール担当 北山義嗣氏インタビュー①

★韓国からもファンが来る?

-でも、最近韓国でもクラフトビールが流行り始めてるみたいですけど。

北山氏(以後北):そうですね、いろんなビアパブの方が来るんですけど、韓国からうちに買い出しに来る人もいるんですよ。

-ええっ!

北:そういう、ちょっといいビールを提供したいっていうビアパブみたいなお店と、ビアマニアみたいな人は増えてるらしいんですけど、サプライヤーが不足してるみたいです。結局、まだそういう人たちを満足させる商品を提供できる会社・店・人が不足してるみたいで、もう韓国国内では情報がないので、近い日本に来て、みたいな。

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…奥様が韓国好き、という雑談から、衝撃のエピソードに突入したこのインタビュー。

皆さんはクラフトビールを買う時、どこで買ってますか?品揃えでいえば、例えば東京駅周辺ならリカーズハセガワ、府中のビアハウスケン、横浜でアメリカのビールを買うならアンテナアメリカ、あとは百貨店のビール売り場とかでしょうか。

山手線西側エリアであれば、忘れてはならない店があります。

目白田中屋。在庫を合計すれば700種のラインナップ。

田中屋看板 田中屋①

適切に温度管理された一つ一つのビールに丁寧なコメントが添えられています。

 田中屋③-2

ウイスキーやワインなども素晴らしい品揃えのこの店はどうやって生まれたのか?

あのコメントの数々を書いている人の、ビールへの思いは?いろいろビール担当、北山義嗣さんに伺いました。

ちなみに、北山さんの写真はありません。

写真を撮っていいか、と伺ったところ、丁重にお断りのメールをいただきました。

「…理由はいろいろあるのですが、“主役はビール”という信念を持っておりまして、私の写真は必要ないというのが基本的な考えです。」

上記の理由で、基本的に北山さんは取材は受けていません。今回はいろいろあって特別に受けて頂けたということをご報告しておきます。

そんな北山さんのお話に、ぜひ聞き耳を立ててみてください。

かなり長いので、数回にわたるシリーズでお届けします。

第1回は、韓国の話から、店の成り立ちの話、前半です。

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(韓国からもファンが来る?の続きです)

 北:まだ一回しかいらしてないですけど、ブルーパブをやってるんだっていう韓国の方が来てくださいまして、今はジャーマンスタイルしか造ってない、けど実はもっと他のスタイルにも興味があって、いっぱい造ってみたいから、今日は勉強のためにいろんなビールを買いに来ました、っていう。

 -へー、アカデミーの同期生に韓国の人がいるので、話には聞いてましたけど、そうですか!でも、日本だって、いい状態で輸入ビールが入って来るようになるまでには時間がかかってたじゃないですか。昔は常温でドカーンという感じだったから。韓国も流行りだしたといっても、しばらく時間かかりそうですね。

 北:基本的には、韓国のスーパーとか見ても、まず韓国のビール、で、大容量化が進んでるんですね。ペットボトルみたいなのの1.6L とか、ドーンドーン と自分の国の大きくて安いのがまずあって。輸入ビール見ても、今は少しずつ面白いものも入りつつあるようですけど、メジャーなベルギー、ドイツビールとか、日本でもよく見られるようなものが多くて。

 昨日また韓国…うち、実は韓国のお客様凄く多いんですよ、僕が韓国の人に友好的なニュアンスなのが伝わるのかまたリピーターで来てくれるんですけど…彼に本国(韓国)でドイツビールって流行ってるんですかって聞かれて。

 -ええっ?北山さんが聞かれたんですか(笑)

 北:何かドラマ見ても必ずドイツビール飲んでるっていうんですよ。えーっ、そうかなって言って。思い出すと、スーパーに並んでるのも有名どころのラガー、ピルスナーとか、せいぜいヴァイツェンくらいでかなり固定してるから、買える中でもまだ入手できる、若干おしゃれ感のある、他とは違うところのビール飲んでるよ、みたいな感じなのかな、と。

 -日本のトレンディドラマみたいなノリの。

 北:そう、そんな感じじゃないかな、とは言ったんですけど。それと、毎年韓国に行ってるんですけど、韓国だと、高級なワインやウイスキーにお金を出す人はいても、現地のビールに比べてかなり高額なビールに、たくさんの人が手を伸ばしてくれるかっていうのは、どうかなー、と。

 -その割にマイクロブルワリーが作れる法律があるんですよね。

 北:なんか、つい最近できたみたいですけど。よく来て下さる韓国のビアパブの人も、継続して続けるかまだ迷ってるみたいです。

…日本でも、やってて商売になってるとは言いがたい。

★割に合わない商売?

-田中屋さんは商売になってるでしょ、これだけ全国からファンが集まってると。

 北:うーん・・・コストがかかりすぎてる。

 -ああ。

 北:うちが支持されている理由の一つは、まずは品ぞろえが1番だと思いますけど、もうちょっと勉強されてる方の中には、やっぱり品質管理もほかの店で買うより田中屋でって思ってもらってるお客様もたくさんいらっしゃると思うんです。

それに応えなきゃいけないので、当然のごとくストック全部温度管理してますので、その電気代だけで半端ない。で、すっごい広いスペースを使ってるので、そのスペース自体もコスト、それにあの品ぞろえを保つためにやっぱりストックしてるビールの数も半端じゃない。

 -ですよねー。

 北:回転してるのでそうはなってないですけど、常に700種あることになっているので、理屈上では常に700ケースあるっていることになります。

 -確かに。

北:売れてはいますけど、ちょっとコストがかかりすぎていて、労力に見合ってないですよ。お客さんにもいい顔したいので、粗利もたぶんほかのお店の設定よりかなり低いんじゃないかと。ビールで利益を取りたいと思ってるお店は、もうちょっと取らないと、やっていけないと思うんです。もともと単価が、まあビールとしては高いって皆さん言われますけど、ほかのカテゴリーと比べると桁が違うものをちまちま売ってて、これはちょっと労力に見合わないっていうのが感想。

 -ははは。

 北:だから誰もついて来れない、賢明な経営者はやろうともしない。うちの店はほかのカテゴリーがあるので、ビールコーナーは僕に言わせれば賑やかしみたいな。

 -わはは。

 北:売れる数も多いですけど。儲かっているかっていうと真剣にいろんなコストを計算すると、僕の首すら危ういんじゃないかっていう。もっと簡単に儲けようと思ったら、あんなビールなんかやらないほうがいいと思うんですけど。

 ★田中屋がどういう過程を経て田中屋になったか

-そもそも、なんでああいうスタイルの店になったのかっていうことなんですけど。

 北:ああ。

 -田中屋さんて、お酒屋さんとしては昭和30年くらいから、60年くらいやっておられるんですよね?

 北:ああ、あのですね、最初はあのビルを建てたのは今のオーナーのお父様なんですよ。僕はそのお父様に会えてないんですね。僕が入社したころにはもう亡くなってたので。なんですけど、相当優秀な方だったらしいです。

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目白田中屋は、昭和24年に創業。以前は数フロアにわたり果物屋・酒屋・喫茶店などを幅広く経営してきた。以前は酒屋は1階にあったが、2006年に現在の地下に移った。

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北:以前は高級スーパーのなかでお酒にも力を入れていた感じで、お酒がメインになった時期っていうのは店舗が地下に移ってからです。相当おしゃれなことだったんでしょう、輸入洋酒もやり、今みたいな酒専門店じゃなく、高級食材とかをお酒と一緒に。

 -えー、僕が10年くらい前に営業で行ってたあの時のスタイルですよね。

 北:はい。あれがメインというわけじゃなくて、どちらかというと喫茶部のケーキがすっごく有名だったらしいんですよ。

 -それは、僕が言ってた頃にもあった?

 北:いや、ないです。僕が入ったころには、今の地下のスペースが倉庫になってたんですけど、そこで喫茶店をやってて。

 -あ、つまり地下の今の場所で喫茶店。

 北:今の場所で喫茶店やってて。よーくみるとそこかしこに、あの奥のほうに赤い電話ボックスみたいのがあるんですけど。

 -ええ。

 北:それはその当時本当に使ってた。あとランプシェードみたいな、アンティーク調のがそこかしこに架かってる。今度見てもらえばわかるんですけど、それも当時使ってたものをまた付け直してる。

 -そうなんですねえ。

 北:で、(某皇族)様なんかがデートで来てて。

 -学習院がすぐ近くということで。

 北:そういうことで。僕が入ってもうすぐ16年で、やってたのって20年くらい前までなんですけど、いまだに1日に1組くらいは「シュークリームください」っていう人が来て。

 -すごい。

 北:当時は「田中屋のシュークリーム」といえば相当なごちそうだったらしくて。とにかくおいしかったらしいので、ちょっと食べてみたかったですね。僕が入ってきた時には既になかったので。

 -どこかで復刻とかできないんですかねえ。

 北:ケーキ職人さんたちは、田中屋がやめちゃったので、それぞれ独立して店を出したりしていて、そこではその名残的なものはたぶんあると思うんですけど。

 ちょっと違いますけど、ポパイの青木さんが、会うたびに「昔、田中屋の仕出しの仕事を手伝ったことがあるんだよ」って言うんですよね(笑)。全然僕の知らない時代のことも知ってるらしくて。

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第2回は、現在の地下1階に移るときに北山さんが考えこと、あたりから始まる予定です。乞うご期待!

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この記事を書いたひと

池田 大輔

ビアジャーナリスト

ビールを造る人、売る人、飲む人に興味があって、突撃取材で話を聞くのが好きです。 取材を通して、ビールを楽しむシーンがもっと広がる楽しみを皆さんと共有できたら嬉しいです。

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