[ビアバー]2013.9.17

HOPS125(ホップスアンドゥサンク)―いまなぜビールなのか?(2)

ここ1年ほどの間にオープンしたビアバーやビール関係者に話を聞き、「いまなぜビールなのか?」を探ってみようというこの企画。その理由はそれぞれ異なるでしょうが、おぼろげながらもその根底にある共通項を見つけられたら面白いのではないかと思っています。さてどうなりますか。

初回からやや時間が経ってしまいましたが、第2回は恵比寿にオープンした「HOPS125(ホップスアンドゥサンク)」のオーナー石黒威司さんにお話をうかがいました。

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ワインバーからクラフトビールの店へ

以前から疑問に思っていたことがある。ビアバー激戦区の渋谷からひと駅離れただけで、なぜビアバーが激減するのだろうか。渋谷のビアバーの多さに比べて、恵比寿の少なさは異常ともいえる。ビアバー自体がないわけではないが、もう少しあってもいいのではないか。消費者としてはもっと選択肢がほしいところだ。恵比寿にクラフトビールを10種類くらいタップで出す店ができないものだろうか。

と思っていたら、クラフトビール10種類をタップで出す店ができてしまった。「HOPS125(ホップスアンドゥサンク)」だ。恵比寿駅東口交差点から徒歩1分ほど。賑やかではないが、落ち着いた雰囲気の店が並ぶ通りにその店はオープンした。

この看板が目印

この看板が目印

「もともとはワインバーだったんです」とオーナーの石黒威司さん。2004年から続けていたワインバーを、クラフトビールとワインの店に変えた。この場所以外の店舗も含めると、15年近くワインバーを営業してきたという。その店を「1にビール、2にビール、3、4はなくとも5にビール!」というビールを押し出した店に変えてしまったのだ。

では、なぜワインバーをクラフトビールとワインの店に変えたのか。

「ワインバーはうまくいっていました。でも、長く続けていると同じことをやっているような気がしてしまうんですよね」

同じことをやっているように感じる時期、言わばマンネリ化していたという時期に、石黒さんはクラフトビールと出合う。

「クラフトビールの店は、どこに行っても店員さんとお客さんの活気がありました。クラフトビールのイベントでボランティアをしている人たちもたくさんいますが、これはビール業界を盛り上げていきたいという気持ちの表れだと思うんです」

ワイン業界のようにある程度成熟したともいえる業界とは違う。また、ワインとビールそれぞれが持つイメージの違いも、「活気」に影響しているのかもしれない。石黒さんは、そんな活気あるビール業界によい印象を持った。そして、このまま人生終わるのはもったいない、新しいチャレンジがしたい、という気持ちとビールがつながり、2013年6月6日、「HOPS125」をオープンさせる。

HOPS125のオーナー石黒さん。もともとオセアニアワインを扱っていたワインバーをビアバーに変えた

HOPS125のオーナー石黒さん。オセアニアワインを扱っていたワインバーをビアバーに

店内のテーブル席。奥には半個室が

店内のテーブル席。奥には半個室が

道路に面した半テラス席

道路に面した半テラス席

追随できないくらいに先を行く

「HOPS125」では、日本のクラフトビールを「北海道・東北エリア」「甲信エリア」というようにエリア分けし、2カ月ごとにエリアを入れ替えるようにしている。扱っているのは日本のクラフトビールだけ。

「少しずつビールを入れ替えるのもいいですが、長く飲むことで分かることもありますよね。ブリュワーが目指していることは、そのビールを1回飲んだだけでは分からない。これは勉強のためでもあるんです。それと、ずっと海外のワインを扱っていたので、今度は日本の役に立ちたいと思って」

ボトルビールも扱っているが、その時のテーマ以外のエリアのビールも出している。もちろんそれも日本のクラフトビールだ。このように日本のクラフトビールだけを扱うのは、他店との差別化にもなる。ここ1、2年で急増するビアバーの中で生き残っていくには、どうしても差別化が必要になってくるのだ。

タップはこの左側にもあり、全部で10種類の樽がつながれている

タップはこの左側にもあり、全部で10種類の樽がつながれている

また、ビールだけを扱う店にせず、ワインも一緒に扱っていることも差別化のひとつかもしれない。

「ワインを飲む層をクラフトビールの層に取り込みたいんです。クラフトビールを好きな人たちだけで頑張っていても、それ以外の人たちを引っ張ってこないと、クラフトビールの消費者は増えませんからね」

他のビアバーは、クラフトビール好きが集まるか、クラフトビール好きがクラフトビールに興味のない人を連れてくる、というタイプが多い。クラフトビールに興味のない人がふらっと入ってくるということはそれほど多くないはずだ。しかし、「HOPS125」にはクラフトビールに興味のないワイン派も訪れる。これは、もともとワインバーだった強みでもある。クラフトビール業界を広げていく一翼を担いつつも、他店との違いを明確にしているのだ。

「他の店が追随できないくらいに先を行かないといけないんですよ」という石黒さんは、さらに先を行くチャレンジを計画中。近いうちに「おっ」と思うような展開が見られるはずだ。それはどんな展開か…言いたくて仕方がないのだが、ここでは我慢しておこう。

HOPS125(ホップスアンドゥサンク)
【住所】
渋谷区恵比寿1-21-18
【営業時間】
月~木:17:30~翌1:00
金:17:30~翌3:00
土・日:17:30~24:00
【問い合わせ】
TEL: 03-3447-1496

 

第1回はこちら。
いまなぜビールなのか?――Antena America

 

BJA1期生 富江弘幸

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この記事を書いたひと

富江 弘幸

ビアジャーナリスト

1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める。
著書:BEER CALENDAR』(ワイン王国)
連載:あなたのしらない、おいしいビール』(cakes)
執筆:ビール王国』(ワイン王国)、『日本のクラフトビール図鑑』『ビールの図鑑』(マイナビ)、『東京人』(都市出版)など

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