[イベント]2011.8.12

国内でもじわじわ浸透? 「ブルーパブ」

現在発売中の雑誌『dancyu』9月号に寄稿した。特集「良心の居酒屋」の最後、3ページにわたってクラフトビールを提供する都内の店舗を紹介している。今回は「ここでしか飲めない」をキーワードに、六本木の「ANT’N BEE(アントンビー)」、渋谷の「Craftheads(クラフトヘッズ)」、洗足の「PANGAEA(パンゲア)」を取り上げた。それぞれに素晴らしい店舗なのだが、今回はパンゲアが転向した「ブルーパブ」について。

パンゲアは、もともとイングリッシュエールや国産クラフトビールを提供していたビアパブだ。店主の小畑昌司さんがひとりで切り盛りしている。ビターやスタウトなど数種類のタップと数十種類のボトルビール、ビールに合うフードを提供していた。

そんなパンゲアが「自家製ビールを造り始めたようだ」という話を聞きつけ、下見に行って驚いた。店舗が自家製ビール(正確に言うと発泡酒)を製造販売するブルーパブへ、完全に転向していたからだ。他社のビールを扱わないだけではない。フードの提供も、サラミやチーズなど市販のおつまみを店内で販売する形式に変わっていた(発泡酒を製造する場所でフードの調理はできないという理由もある)。

ブルーパブを始める経緯やビールの内容などはdancyuに詳しいのでご覧いただければと思うが、かいつまんで言うと「横濱ビールのもとブルーマスターである榊弘太さんのアドバイスに基づいて、発泡酒免許を取得し、道具をそろえ、店を改造して取り組んだ」とのこと。最初に出来上がったときの感想は「本当にできるんだなぁ」だったという。雑味や酸味に直結するため製造管理には大いに気を遣うが、提供する側がお客様に飲んでほしいビールを自分で造り、目の前で飲んでもらえる喜びは、何ものにも代え難いものではないだろうか。

ふと思い起こすと、都内近郊にも店舗主導のブルーパブがいくつか存在する。例えば高円寺の「高円寺麦酒工房」、登戸の「ムーンライト」、銀座の「八蛮」など。来年オープン予定のブルーパブも都内にある。

「自家製麺を売りにしたラーメン屋が増えているのだから、自家製ビールを売りにしたパブが増えてもいいのでは」と小畑さん。クオリティの高いビール/発泡酒が店舗単位で造れ、飲んでもらえることがわかれば日本でもブルーパブは増えるだろう。より豊かなビアカルチャーを日本に根付かせるために、ぜひブルーパブにもがんばってほしいと切に願う。■

*ブルーパブをご存じの方、ぜひ情報お寄せください*

ブルーパブ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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