[イベント,ブルワー]2020.7.11

Withコロナで行うビールイベント ろまんちっく村ビール&収穫祭レポート

新型コロナウイルスの感染拡大により春先から軒並み中止となっていたビールイベント。2020年5月25日の緊急事態宣言の解除を受け、少しずつ新しい生活様式に準じる形式でのイベントが予定・開催されるようになってきました。

栃木県宇都宮市にある「ろまんちっく村クラフトブルワリー(以下、ろまんちっく村)」でも感染に注意をしながらファンと楽しめるイベントを7月4日(土)・5日(日)の2日間、道の駅うつのみや ろまんちっく村で「ろまんちっく村ビール&収穫祭」を開催しました。

その様子をレポートしたいと思います。

広大な敷地を有効活用してソーシャルディスタンスを保って楽しむ

ご存じない方もいらっしゃると思うので、簡単にろまんちっく村の説明をしますと東京ドーム10個分(46ha)の広大な面積の中に、農産物直売所や地元の食材が楽しめる飲食店のほかに体験農場や森遊び、ドッグラン、温泉、宿泊施設まである滞在体験型ファームパークです。

イベントで会場になったのは、芝生が広がるにぎわい広場。本格的にビールイベントを開催したら50ブースは設置できるくらいのスペースです。

会場のにぎわい広場。画像の右側にも芝生スペースが広がっている。広大な敷地を利用して飲食スペースを離して設置。

今回、参加者は事前予約制を採用。人数を制限しての開催です。来場したら先ず受付で名前を申告して体温を計測します。37.3℃以上の場合、参加はできません。

入場時の検温。問題がなければ、飲食物購入時に確認されるリストバンドが渡される。

受付の横には、イベントルールを掲示。参加者に注意を促していました。

主なルールは、以下のように設定。

1.個別エリアと談話エリア以外は、マスクもしくはフェイスシールド(以下、装備)の着用義務。

2.装備をつけないでの密接場面を作らない

3.隣の方と1m以上できるだけ2m離した指定の場所にロープを置き個別エリアを設定。ブルーシートや日よけのテントなどの設置はOK。ただし、ライブゾーン、プレイゾーンや談話エリアはNG。

4.他者と共有する物品やアトラクションで楽しんだ後は、手の洗浄消毒を実施。

5.ビールやフードの共有は避ける。

6.トイレに並ぶ際は、2mの間隔を空けて並ぶ。

7.使用後は手洗いとアルコール消毒の実施。

この他、所定の場所でテント宿泊や車中泊の利用も可能であることが告知されていました。

任意で厚生労働省の接触確認アプリのインストールを呼び掛けていた。

受付後に山下工場長にイベント開催に至る経緯と、どんなところに注意をしているのかを聞いてみました。

「どんなウイルスか解明されていない部分もありますが、このまま何も行わないのではなく、いまわかっていることに対してしっかり対策をして『何はできるのか』を明確にするために取り組んでいこうと思い開催を決めました。最も注意しているところは、飛沫感染を防ぐことですね。この場で感染者が出てしまいますと、ビールイベントは感染を広めてしまうものと認識されてしまいます。お客様には食べ物やビールのシェアをしないことやソーシャルディスタンスを守っていただくように呼びかけています」

ビールイベントでは同じ体験を共有するため、シェアリングの習慣があります。しかし、感染を予防するためには同じ容器に接触することを避けることが必要です。今後、シェアをしていくのであれば、個々に取り皿やマイカップを持参して手や口を付ける前に移し替えるなどの対応は必須でしょう。

各テーブルもビニールシートで区分けして、一定の距離を空けられる配慮がされていた

畑で収穫した野菜を調理したフードで地産地消を楽しむ

会場では収穫祭ということで、フードは敷地内で採れた野菜を調理したものが販売されていました。そのほかにも地元の料理屋さんが提供するモツ煮や餃子もありました。

採れたての野菜をこの価格でいただけるのは嬉しい。

1本まるごとのトウモロコシや枝豆、ジャガバターの定番からホップの天ぷらとブルワリーらしいおつまみまで小規模での開催にも関わらず豊富なメニューがあったので楽しめました。

ポテトチップスやホップの天ぷらは、目の前で調理をしてくれるので、待っている間も楽しく過ごすことができました。

待っている間は調理風景をつまみビールを飲む。販売する側もしっかり感染対策をして対応。

今回は小規模での開催のため、ろまんちっく村で育てた野菜だけであったが、将来は地元農家に参加してもらえば参加者に地域のことを知ってもらえるきっかけになるし、生産者も自分たちが育てた作物をどんな表情で食べてもらえるのかをその場で反応が得られて大きな励みになるのではないかと思いました。

イベントでは時間と人数を区切っての収穫体験も行われ、ファームパークならではの催しや新型コロナウイルスの影響で移動が困難になり、同敷地内の滞在しているサーカス団のパフォーマンスなども行われ、来場者を楽しませていました。

パフォーマーも可能な限り距離を設けて演技。お客さんも椅子の間隔を広く保ち、マスクやフェイスシールドの着用を義務付けて感染対策をしっかりおこなっていた。

これなら絶対安全という形はない。状況をみながらファンとともに新たな形を模索していく

「難しいのは、やはりアルコールが入ると気が緩みやすいところですね」

山下工場長にイベントを開催してみて大変だった点を訊ねてみると、このように答えてくれました。確かにアルコールを摂取すると気が緩みやすくなります。そうなってしまうとソーシャルディスタンスをはじめとする感染予防対策の意識も薄れやすくなり、感染リスクが高くなってしまいます。こうした事態を予想し、「スタッフがお客様の動きを観察して注意を促させてもらっています」と対策を教えてくれた。

吉清ブルワーが「ソーシャルディスタンスマン」に扮して、参加者が安全に楽しめるように会場を巡回。注意が必要な場合は、笛を吹いて参加者への意識を促す対応が行われていた。ちなみに筆者が会場にいる間は、笛が吹かれることはなかった。

実際に会場に足を運んでみて、主催者側もお客さん側もオンラインの場ではなく、実際に会って交流できることに喜びを感じている様子が伺えました。

山下工場長も「これまでは、都市部のイベントに出ていくことを中心に活動してきましたが、今回の自粛期間を通じて地元での関わり方を見直すいい機会となりました。遠くの方たちと繋がれるオンラインでの交流も素晴らしいですが、同じ場所で過ごす交流はやっぱりいいものです。他のブルワリーとも情報を共有してwithコロナでのイベントのあり方を検討していきたいと思います」と感想を話します。

人数が多くなるに連れて感染リスクも高くなるため、けやきひろばビール祭りのような大規模なビールイベントになると、一層しっかりした対策が求められるでしょう。感染対策も絶対に安全という形はなく、状況をみながらファンとともに新たな形を模索していく必要があると思います。

それでも今回の試みはビール業界における新たな1歩として大きな経験になったのではないでしょうか。

◆ろまんちっく村 ビール&収穫祭 Data

開催日時:2020年7月4日(土)・5日(日)

会場:道の駅うつのみや ろまんちっく村 にぎわい広場

内容:ビール・フード販売、サーカス団パフォーマンス、P.O.Pライブ、ジャガイモ、枝豆収穫体験

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
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【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
●テレビ神奈川「News Link」
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<雑誌>
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<Web>
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