[イベント]2011.1.21

石川雅之氏インタビュー:『もやしもん』誕生の瞬間とクラフトビールへの期待

もやしもん』は、食品に付着したり空中に浮遊したりする普遍的な「菌」を取り上げたこと、さらにそれを擬人化したユニークな作品だ。当初は農大生を登場させることは決まっていたにしろ、菌が出る予定はまるでなかったという。それは担当編集者のひと言が決め手だった。

■菌登場漫画、誕生の瞬間

『もやしもん』は、その内容より先に、2004年7月20日発売の隔週刊青年漫画誌『イブニング』への連載が決まった。編集長(当時)からは、「5話分考えろ。それが全部OKになったら1話からペン入れしろ」と言い渡されていた。そこで何度もネームを考えて提出するも、まったく通らない。漫画家本人と担当編集は面白いと思っているのだが、編集長からボツをくらう、の繰り返しだ。

「時間も差し迫ってきたし、『何が悪いんですか』と担当に喰ってかかると『俺もわからんよそんなん、菌を見えるようにでもすればいいんじゃないの』と。ナンだそれと思いながら、丸描いて目をちょんちょん、ファクスでバッと編集部に送ったら、編集長がその場でOK出しました。いま考えれば、あの編集長ってすごかったんだなと思いますね〜」

連載開始後も、編集長から厳しい注文が相次いだ。「事件は起きないの?」「警察がこの話に出てないじゃないか」「リアルな菌より、世界を滅ぼし人類を脅かす謎の菌を出して」等々。

「そんなことしても全然おもんない(面白くない)のに…。悔しいから、僕たちだけで『アンケート1位を取ろう』と決めたんです」

チャンスはほどなくして訪れた。編集長が突然、休暇でドイツへ行くという。「いない間に僕たちだけで、死ぬ気でプロットを考えた。その回、連載を開始して初めて1位に。旅行から戻った編集長が『今週の1位は何だ?』と聞いた瞬間は快感でした(笑)」

■国産クラフトビールはもっと面白くなる

連載開始時はまったく菌の知識がなかったという石川さんだが、現在は酒関連のイベントに招かれたり、菌を研究する博士たちによるシンポジウムに呼ばれたりすることもあるという。

「菌の権威である教授達の前で、丸書いてちょんちょんで『酵母です』というときの恥ずかしさ。いたたまれませんよ…」

菌にまつわる話を幅広く、そして菌をとりまく群像を豊かな感性で描き続ける石川さん。『もやしもん』8巻で取り上げた国産クラフトビールへの課題と期待を以下のように語ってくれた。

「作中でも描きましたが、普通の人が『ヴァイツェン』と言われても何かわからない、という感じはあると思う。僕もビールの調べて描き進める中で、地ビールのことをもっともっと知ってもらうにはどうすればいいのかなと考えていました。でも、僕はあくまでも漫画家でしかない。だから、認知や普及に関しては地ビールメーカーやこれから作っていく人たちがやっていくべきことだと思うんです。

今後の展開はすごく楽しみですよ。こんなに美味しい地ビールが日本にもたくさんあるんですから。日本以外では、例えばケルシュはケルンでしか造りませんが、日本は結構あちこちで造っているでしょう。しかも、旨いところも多い。それをもっと知って、みんなで好きになればもっとビールは面白くなると思うな」■

もやしもんインタビュー石川雅之

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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