[ビアバー]2014.1.11

台湾のビールは薄いのか?(1)プロローグ―ビアエッセイ

台湾

台湾を訪れるのは何年ぶりだろうか。

前回の訪台はいつだったか思い出そうとしたが、はっきりと思い出すことができなかった。本棚にある台湾のガイドブックを見ると「’99」と記されている。旅をしたルートはある程度覚えているが、どんな観光地をいくつ訪れただろうか。写真を見れば思い出すだろうが、その写真もどこに保管しているかもわからない状態だった。

ただ、2つだけその旅について覚えていることがあった。

その旅は2週間ほどかけて台湾を電車で一周する計画だった。台北へ向かう飛行機で、日本語堪能な台湾人のおばちゃんが隣に座ったので台湾についていろいろと話を聞いていたのだが、おばちゃんは電車で台湾を一周するという意味をまったく理解してくれなかった。意味というと大げさだが、ゆっくりと電車の旅をしてみたかったのだ。おばちゃんの日本語は本当に上手だったので、日本語が理解できていないはずはなかった。やはり、電車に乗ることが目的の旅ということを理解できなかったのだろう。

「飛行機のほうが早いから、まず高雄へ飛行機で行きなさい」
「早く目的地に着いて、観光に時間を使ったほうがいいわよ」

そう言われる度に、
「今回はそういう旅じゃなくて電車で台湾を一周したいんです」
と何度も伝えた。

もうすぐ台北に着くという頃にはおばちゃんも諦めたようだったが、中国語ができない僕を心配してくれたのか、
「困ったことがあったらここに来なさい」
と、台中市にある自宅の住所を紙に書いて渡してくれた。

結局、旅の途中で特に困ることもなく、台中市に寄る予定もなかったこともあり、おばちゃんの家には行かず、台湾一周の旅を楽しんで帰国した。

そして、死者2000人以上にも及ぶ台中市を中心とした大地震が起こったのは、帰国の数日後だった。

もうひとつは、「台湾啤酒」。

その頃は、ビールが好きでよく飲んでいたが、特に詳しいわけではなかった。ラガーとエールの違いも知らないレベルだったと思う。ただ、珍しい物が好きだったので、見たことのないビールを見つけたら必ず飲んでいた。当然、台湾では「台湾啤酒」を飲むことになる。台湾では最大手のビールブランドだ。当時の僕はその「台湾啤酒」を飲んで、
「うっすいビールだなあ」
と思ったことくらいしか味については覚えていない。

「台湾啤酒ライト」という銘柄もあり、それを飲んだ時には、
「普通の『台湾啤酒』でさえ薄いのに、ライトなんて出す意味あるのか?」
とも思った。「台湾のビールは薄い」というイメージを持ち帰った旅だった。

しっかり覚えているのはその2つだ。

そんな旅から14年。再び台湾を訪れる機会がやってきた。僕はある程度中国語も話せるようになっていた。そして、14年前とは比べ物にならないくらいビールにのめり込むようになっている。台湾ではクラフトビールも造られるようになってきているというので、だからこそ、「台湾のビールは薄い」という自分勝手なイメージを、台湾で覆したかったのだ。

今回の訪台はビールが目的ではなかったが、心の中ではそんなミッションを抱えて台湾の地に降り立った。

台湾のビールは薄いのか?(1)プロローグ―ビアエッセイ
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この記事を書いたひと

富江 弘幸

ビアジャーナリスト

1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める。
著書:BEER CALENDAR』(ワイン王国)
連載:あなたのしらない、おいしいビール』(cakes)
執筆:ビール王国』(ワイン王国)、『日本のクラフトビール図鑑』『ビールの図鑑』(マイナビ)、『東京人』(都市出版)など

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