[ビアバー]2014.1.12

台湾のビールは薄いのか?(2)金色三麥―ビアエッセイ

台湾

台北は相変わらずバイクが多かった。

お世辞にも空気がきれいだとは言えないが、なんとなく懐かしくもある。しかし街並みはやはり変わってしまった――と言いたいところだが、以前の台北がどうだったのか詳しくは覚えていない。ただ、MRTが何路線も整備されていたり、完成当時は世界一の高層建築だった台北101ができていたり、台北がこの14年でかなり発展したのは確かだった。その発展とともに、世界を見るようになったのか、価値観が多様化したのかはわからないが、海外からの輸入ビールが多く入ってくるようになり、クラフトビールも造られるようになってきたという。

今回の本来の目的は昼間にすませ、夜はビアバーに行く予定だった。ただ、昼間は昼間で所用の合間にスーパーを偵察しにいったが、比較的高級そうなスーパーでは、海外のビールが数多く並んでいた。特にベルギービールの種類が豊富だったように思う。日本のスーパーよりも充実しているのではないだろうか。日本では見たことのないビールをいくつか購入することができた。

訪れるビアバーは日本で下調べをしておいた。時間にあまり余裕がないので、行けるのは3軒。気になる店は5、6軒あるのだが、泣く泣く「金色三麥」「Gordon Biersch」「Jolly」の3軒に絞った。14年前には聞いたことのない店だ。もっとも、その頃にはビアバーに行こうなんて気はまったくなかったのだが…。

まず訪れたのは「金色三麥」。

「金色三麥」は、台湾では一番有名なクラフトビールブリュワリーと言ってもいいかもしれない。2004年に創業し、2009年には日本のインターナショナル・ビアコンペティションに初出品。これが初めての国際舞台だったが、「ハニーラガー」が金賞を獲得した。ブリュワリー名と同名の直営ビアレストランも台湾で7店舗あり、今回訪れたのはそのうちの「台北京站店」。

レンガ造りのビアホールといった雰囲気だが、ハロウィンが近いということもあって、店内はジャック・オー・ランタンやお化けの飾りなどでハロウィン風に仕上げていた。普段はどうなのかわからないが、そこまで暗くしなくてもいいんじゃないかと思うくらいの暗さだ。

「金色三麥」の店内。ハロウィン仕様。

「金色三麥」の店内。ハロウィン仕様。

案内してくれた男性店員は黒い衣装を着ていた。おそらく制服ではなく、ハロウィン用の衣装だろう。ハロウィン仕様なのかはわからないが、表情も対応も暗かった。

「金色三麥啤酒組合をください」
「はい」
「あと烤松坂豬肉串をひとつ」
「はい」
「…」
「…」
「ハロウィンなのでそういう格好をしているんですか?」
「はい」

当たり前といえば当たり前の質問をしたこちらも悪かった。「このビールはどんなビールですか?」といった質問をすればよかったのかもしれない。それでもしっかりと答えてくれたかどうかは疑問だが、こういうときにアドリブがきかない自分を悔やむ。

ビールを持ってきたときに何か聞いてみよう、と思ったが、ビールを持ってきてくれた女性店員は先ほどの男性店員とは対称的なハイテンションで、一方的かつ早口でビールの説明をして戻っていった。中国語ができるようになったといっても、ネイティブの早口を聞き取れるほどのレベルではない。内容はさっぱりわからなかった。

「金色三麥啤酒組合」というのは、「金色三麥」が勧めるビール3種類のテイスティングセット。ラガー、デュンケル、ハニーラガーを210mlずつ飲むことができる。これで250元(ニュー台湾ドル、2014年1月現在1NT$=約3.5円)。日本円にすると875円といったところ。そう考えると安いような気もするが、街中では、缶ビールは30元くらいで購入できる。100元程度で台湾名物の牛肉麺が食べられることを考えると、日本同様に台湾でもクラフトビールは比較的高い酒なのだろう。

「金色三麥啤酒組合」。左からハニーラガー、ラガー、デュンケル。

「金色三麥啤酒組合」。左からハニーラガー、ラガー、デュンケル。

「烤松坂豬肉串」。松坂豚? の串焼き。

「烤松坂豬肉串」。松坂豚? の串焼き。

ラガーの細かいスタイルはよくわからなかったが、このラガーとデュンケルは違和感なくスッと飲める。悪い意味でなく、万人受けする味わいだと思う。そしてハニーラガー。ハチミツの香りが優しく漂うが、強くはない。ハチミツのような甘味もほんのわずかだけ感じるが、全体的にはスッキリとまとまったビールになっている。

ビールを飲んでいると、瞬間的に本来の訪台の目的を忘れ、台湾でやっと一息つくことができた。14年ぶりに台湾に来ていることを実感できたような気がした。「台湾のビールは薄い」というイメージを払拭する第一歩を踏み出したようにも思えた。

これが自分にとって初めての台湾クラフトビール。なんとなく気分がよくなり、歩いてホテルに戻ってみようと思った。だんだん慣れてきたバイクの音を聞きながら。

「金色三麥」のレシート。

「金色三麥」のレシート。

台湾のビールは薄いのか?(1)プロローグ―ビアエッセイ
台湾のビールは薄いのか?(2)金色三麥―ビアエッセイ
台湾のビールは薄いのか?(3)Gordon Biersch―ビアエッセイ
台湾のビールは薄いのか?(4)Jolly―ビアエッセイ
台湾のビールは薄いのか?(5)エピローグ―ビアエッセイ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※記事に掲載されている店舗のメニューや営業時間、イベント内容などの情報は予告なしに変更される場合があります。店舗のホームページやイベントの告知ページなどをご確認の上、ご来店・ご来場くださいますようお願い申し上げます。

日本ビアジャーナリスト協会 公式facebookページ

公式facebookページの右上にある「いいね」をポチッとしてくださいね。よろしくお願いします!

01004富江弘幸

この記事を書いたひと

富江 弘幸

ビアジャーナリスト

1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在は日本ビアジャーナリスト協会ウェブサイトや『ビール王国』などで記事を執筆するほか、ビアジャーナリストアカデミーの講師も務める。
著書:BEER CALENDAR』(ワイン王国)
連載:あなたのしらない、おいしいビール』(cakes)
執筆:ビール王国』(ワイン王国)、『日本のクラフトビール図鑑』『ビールの図鑑』(マイナビ)、『東京人』(都市出版)など

このエリアに掲載する広告を募集しています。
詳しくはこちらよりお問い合わせください。