[イベント]2010.9.6

「ピルスナー」

「ピルスナー」
 私達日本人にもっとも馴染みの深いビール・スタイルはピルスナーだろう。
 ピルスナーはチェコのピルゼンで1842年に生まれたビール・スタイルである。
 数あるビール・スタイルの中で、このピルスナーのように「いつどこで生まれたか」が明確にわかっているビール・スタイルは意外と少ない。他のほとんどのビール・スタイルは、発生的に「だいたいあの頃あのあたりで生まれた」というものが多い。
 なぜ、ピルスナーの誕生がはっきりしているかというと、1842年にピルゼンの市民(国王から自家醸造を許されていた家長達)によって造られた醸造所が淡色でクリアなビールを創りあげ、それがピルスナーと呼ばれるようになったという明らかなルーツがあるからだ。

 その後、ピルスナーの爽やかでクリーンな魅力は全世界に広がり、多くの国々がその味わいを手本とした。日本もその例外ではなく、特に明治中期以降は「ビール=ピルスナー」といった認識が長く定着している。
 特に、日本の場合は「チェコ→ドイツ→日本」といった流れでビール文化が紹介されたこともあり、「ジャーマンスタイル・ピルスナー」の影響を強く受けている。
 さらに、日本では独自の進化として、副原料の使用、ドライビールの誕生、発泡酒や新ジャンルといったニューカテゴリーなどと広がっているがベースとなるものはどれもピルスナーである。

*同じように、ピルスナーは各国や地域で進化をとげている。
ボヘミアン・ピルスナー(1842年に創られた、原型のチェコ・スタイル)、
ジャーマン・ピルスナー(ドイツ・スタイル)、
インターナショナル-スタイル・ピルスナー(ワールド・ビアカップ:WBCやグレート・アメリカン・ビア・フェスティバル:GABFにおけるカテゴリー)、
クラシック・アメリカン・ピルスナー(「ビア・ジャッジ・サティフィケイション・プロブラム:BJCP=アメリカのビアジャッジ教育プログラム」のカテゴリー)などのサブカテゴリーがある。

 それでは、日本人にもっとも馴染み深い「ジャーマン・ピルスナー」を解説しよう。

「ジャーマン・ピルスナー」
色は透明感のある輝麦わら色から金色。泡は純白でクリーミー。保ちもよい。
ノーブル・ホップと呼ばれる香り高いヨーロッパ産のホップ(品種としてはザーツ種やハラタウ種など)が放つフラワリーでスパイシーな香りが印象的。
発酵度が高くドライなのでモルトの甘味よりもホップの苦味がしっかりと感じられる。
ボディはミディアムライト。
 ジャーマンスタイルの好例として日本で入手可能なドイツ銘柄:ビットブルガー、イェーバー、スパーテン、ホルステン

そして本家のボヘミアンの特徴は以下の通りである。

「ボヘミアン・ピルスナー」
色は淡い金色から濃く焼けた金色、なかには明るい琥珀色に近いものもある。ノーブルホップトモルトのバランスがとれているため苦味を強く感じない。バタースコッチのようなダイアセチルやスイートコーンのようなDMSはごく微量ならばアクセントとしてあってもオフフレーバーとはみなされない。ボディはミディアム。
 ボヘミアンスタイルの好例として日本で入手可能なドイツ銘柄:ピルスナー・ウルケル

ボヘミアンとジャーマンの違いを簡単は述べると、
色はボヘミアンのほうが若干濃く、モルト感も高い。
ボヘミアンとジャーマンの苦味レベルを科学的に測定するとほぼ同じもしくはボヘミアンのほうが高いものもあるが*、ジャーマンは発酵度が高くドライな仕上がりのため甘味が少なく、相乗効果として苦味を強く感じる結果となる。
ボディはジャーマンのほうがややライト。

*ホップのα酸量から計算する苦味を表すIBUは、
ジャーマンがGABFとWBCのスタイルガイドラインでは30~40、BJCPでは25~45
ボヘミアンがGABFとWBCのスタイルガイドラインでは30~45、BJCPでは35~45

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001藤原 ヒロユキ

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。日本外国特派員協会会員。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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