[ビアバー]2015.12.30

オーセンティックバーでクラフトビールを【BAR i.o】

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 もうすぐ1年が終わろうとしていますね。2015年は新しいブルワリーやビアバーもたくさんでき、何より「クラフトビール」という単語を一般のメディアで目にすることがぐっと増えたように思います。クラフトビール飛躍の年だったと言えるのではないでしょうか。
 ところで、ビアLoverの皆さんはいつもどんなお店でクラフトビールを飲んでいますか?「ビールは気取らないお酒」というイメージが手伝ってか、クラフトビールがあるお店といえば、カジュアルなダイニングバーやショットバーの印象が強いですよね。でも、なかにはバーテンダーがカウンター内に控え、静かな雰囲気でクラフトビールを楽しめるオーセンティックバーもあるんです。今回は、そんなお店をご紹介します。

目次

日常を忘れさせてくれる大人の空間

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JR立川駅南口から徒歩約6分。1階に居酒屋が入ったビルの階段を上がると、2階鉄板焼き屋の手前にある「BAR i.o(イオ)」。店のロゴを掲げた木製の重厚な扉が奥に見えるガラス戸を開け、右手のやや幅の狭い廊下を進みます。“日常”から“非日常”へといざなうその廊下を渡りきると目の前が開け、ジャズが流れる開放的な空間が現れます。さあ、大人の時間の始まりです!

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大きく開放的な窓。カウンターの奥には、ウイスキー、テキーラ、ラムなど洋酒のボトルがずらりと並びます。

樽生6タップ 海外のボトルビールも充実

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アクリル板に白文字で書かれたドリンクメニュー。

  大きな窓から差し込むほのかな街の灯りと店内の照明が交わり、何とも幻想的な雰囲気を醸し出す大人の遊び場。そんなBAR i.oはテキーラ、ラム、ウイスキーといった洋酒各種やカクテルも取り揃えたオーセンティックバーです。しかしながら、カウンターの中でひときわ存在感を放つのは、そう!6タップを有するビアサーバーなのです。
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樽生ビールはピルスナーグラスで提供されます。

 取材時のラインナップは、
・ペールエール(ブリマー・ブルーイング)
・宇奈根エール(ふたこビール)
・ピルスナー(地ビール月山)
・ベルジャンエール(ニセコビール)
・ポーター 蝦夷(ニセコビール)
・華玉燭露(アオイブリューイング)
 ブリマー・ブルーイングが常時1タップを占め、残り5タップは随時入れ替わりますが、すべて国内ブルワリーの銘柄です。一方で、ボトルビールはドイツ、アメリカ、ベルギーと海外のものを揃えており、専用グラスで提供されます。
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ビールにもウイスキーにも合いそうなフードメニュー。近いうちにポークソテーもメニューに加わるとのこと。

 フードメニューは上記のラインナップ。メニューに載っていないものもあります。少人数で訪れ、静かな店内で五感を研ぎ澄ませながら、じっくりとビールを味わうのにぴったりです。平日は16時から、土日祝日は13時という早い時間から、いずれも深夜まで営業しているので、ディナー前の食前酒にも締めの1杯にもいいですね。こんな素敵なバーのオーナーに、お話を伺ってみましょう。

脱サラオーナー・大平さんの修業と実力

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カウンターの奥に立っているのが、オーナーの大平巌さん。バーテンダースタイルでいつもビシッと決めていらっしゃいます。

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 カウンターの奥に立つオーナーでバーテンダーの大平巌さんは、ITエンジニアから転身した、いわゆる脱サラ組。25年のサラリーマン生活をしながら、9年間みっちりとお酒の勉強をされたそうです。
「オーセンティックバーは、銀座だと20代後半で始めても遅いといわれる世界。まずはきちんとお酒を知ろうと思い、テキーラ、ウイスキー、ラム、クラフトビール、ベルギービールを座学で学びました。さらに、それぞれのお酒の発祥国にも極力行っておきたいと思ったので、テキーラはメキシコへ、ウイスキーはスコットランドとアイルランド、ラムでは10数ヵ国を訪ねました。もちろんベルギーにも」

と、大平さん。余暇を最大限に生かして、バー経営のために知識面で着々と歩を進めていたわけです。さらに、「サラリーマンのうちに立川のカクテルコンペで優勝すること」も目標のひとつとして掲げ、去年(2014年)にそれを見事に達成。ほかの大会でも2回優勝を経験し、「素人としてやり残したことがなくなった」と感じたことも背中を押して、今年5月のバーオープンに至ったのだそうです。

 

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池袋カクテルコンテストの優勝トロフィーと、立川カクテルコンペ最優秀作品賞の賞状。

 大平さんがお酒の勉強をされている間に、クラフトビールの文化も徐々に成長してきた気がしますよね。
「確かにこの9年は、いわゆる“第1次地ビールブーム”にできた多くのブルワリーが淘汰されて、生き残った実力派と新進気鋭のブルワリーが発展してきた時代だったかもしれません。ブルワリー事情については実はあまり詳しくないので、東京・府中の酒販店『BEER HOUSE KEN』にいらした和田氏には、オープン前にいろいろと教わりました。今はお客さまのお話も参考にしています。また、僕自身がクラフトビールに興味をもつきっかけになった、横浜・関内の『CRAFT BEER BAR』のオーナー・鈴木氏には、店のコンセプトについていろいろご相談しました。平日は16時開店、土日祝日は13時開店というのも、『CRAFT BEER BAR』を参考に。クラフトビールなら、明るいうちから飲んでもらってもいいかなと思うので」
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 確かな知識と諸先輩からのアドバイスを得て、綿密にオープン計画が練られたことがわかります。お話を伺えば伺うほど、「大平オーナーに死角なし」の印象は強まるばかり……! とにかくお酒全般に関する知識の豊富さには恐れ入ります。どんな質問をしても「打てば響く」。1人でふらりと訪ねて、お酒の話をしながら飲むのは、とても楽しいひと時です。
 立川は新宿から中央線の特別快速に乗れば20分強。近くにお立ち寄りの際には、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか?

BAR i.o(イオ)
東京都立川市錦町1-5-25 佐保田ビル2F
Tel:042-595-8805
月~金曜 16:00~25:00
土日祝 13:00~24:00(不定休)
JR立川駅から徒歩6分
【Facebookページ】
https://www.facebook.com/bario0505/
オーセンティックバーブリマー・ブルーイング立川

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

くまざわ ななこ

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビールとカレーと小田急線をこよなく愛するライター/エディター。数多くのインタビュー経験を活かして、ビールに携わる人たちの思いを伝えようと邁進中。最近、健康のために始めた「ランニング&ビール」イベントにはまっている。

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