[ブルワー]2017.11.27

ビア女の酒場放浪記(44)【前編】私をビアマニアに変えた日本酒蔵「石川酒造 多摩の恵」

ビア女の酒場放浪記多摩の恵石川酒造

ビールを愛し、ビールの記事ばかりを書いている私だが、ビールが飲めるようになったのは27歳の時だ。
それまでは、上下関係の厳しい体育会系の部活で、注ぎつ注がれつ気を使って飲んでいたビールは心情的にも“苦いくてまずい”ものだった。

そんな私が突如ビールに目覚め、突っ走るきっかけになったビールがある。
石川酒造が造る「多摩の恵 ペールエール」だ。

 

歴史かおる土蔵を散歩しよう

石川酒造は東京・福生市にある1863年(文久3年)創業の酒蔵。
明治時代にも一時ビール造りをしていたという歴史があり、それから111年後の1998年にビール造りを再開している。

酒やツマミ、酒蔵グッズを販売する「売店 酒世羅」

土蔵の並ぶ石川酒造の敷地は大変趣があるので、プチ旅行におススメだ。
新宿駅からJR中央線・青梅線快速に乗って拝島駅まで直通で54分、そこから徒歩15分。
普段なら”通勤圏内”の時間だ。

ところが、「ここは本当に東京なのか」と驚くほど空気はがらりと変わる。
白壁塀に囲まれた立派なお屋敷の門をくぐれば、江戸時代末から明治時代に建てられた立派な土蔵が並ぶ。
6棟が国の登録有形文化財に指定されている。

少し敷地内を歩いてみよう。
樹齢700年を超えるという欅の御神木、2本の夫婦欅、熊川分水の小川、米の神様・大黒天と水の神様・弁財天を祀る祠。

夫婦欅の下に祀られた祠。米と水の神は酒の神でもある

庭の中心部に据え置かれた大きな釜は戦時に徴収されることなく残った時代の生き証人だ。
秋から春先にかけて、正門の正面に建つ土蔵から日本酒を醸す香りが漂う。
静謐で歴史を感じさせる土蔵散歩だ。
敷地内は自由に散歩できるが、予約をすれば、日本酒蔵の中や敷地内を詳しく案内してもらえる。
ビール醸造は建物の外からみるだけだが、酒好きとしては日本酒造りの様子が見学できるのは得難い幸福だ。

ビールはシンプルだからこそ誤魔化しがきかない

現在、ビールは「向蔵ビール工房」と呼ばれる1896年建造の土蔵の1階で造られている。
こちらも登録有形文化財だ。
正面部分がガラス張りになっており、そこから醸造所の内部を見ることができる。

日本酒にも使われる仕込み水には、地下150メートルの上総層群・東久留米層から汲み上げられた地下天然水を使用。
麦芽とホップも同様に厳選されたものが使われている。
看板商品の「多摩の恵」は副原料を使用せず、またボトリング時に濾過もされない。

「無濾過ですから鮮度は大切です。それに誤魔化しがきかない。ビールはシンプルだからこそ奥が深い」
と、ビール製造部の清水さん。

石川酒造にとって明治時代からの悲願であったビールは、日本酒同様に丁寧な仕事で造られる。
そして土蔵は開かれたスペースとして地域の人の憩いの場になったり、旅人へのもてなしになっている。
蔵で開催される音楽イベントに参加する老夫婦、ランチビールでおしゃべりに花を咲かせる奥様方、欅の大木にカメラを向ける若者。
ここでは酒を介したコニュニティーの広がりを感じることができる。

巨大な麦酒釜の背後にある井戸端でもビールを飲むことができる

今回はここまで。
後編でビールの味と、石川酒造直営レストランをご紹介したい。

【石川酒造】
住所/東京都福生市熊川1番地
http://tamajiman.co.jp/

【見学ツアー】
開催日/通年(年末年始、仕込みの繁忙期はお休み)
開始時間/[1回目]10:30~[2回目]14:00~[3回目]16:00~
所要時間/約1時間弱
見学料/無料
予約/ 電話にて要予約 042-553-0100(平日10:00~17:00)
☆敷地内は予約なしで自由に散策可

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この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。
ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして雑誌『ビール王国』、海外生活情報誌『ドイツニュースダイジェスト』など様々なメディアで執筆。『ビールの図鑑』『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のビールが飲める120店』(エンターブレイン)など。

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