[ブルワー]2019.1.29

ビア女の酒場放浪記(49)宮崎市に「B.M.B Brewery」誕生!クラウドファンディングは大成功

B.M.B BreweryBeer Market BASEクラウドファンディングビア女の酒場放浪記宮崎県

九州の太平洋側に位置する宮崎県は、南国ムードにあふれた海岸や、天孫降臨神話で知られている。
日照時間と快晴日数は全国トップクラス。
この温暖な気候を利用し育てられたマンゴーやタマネギなどの農業や、宮崎牛・地頭鶏などの畜産業も盛んだ。
宮崎市内にはこれらの名産物を使った料理を食べさせてくれる店が数多く軒を連ね、グルメ舌をうならせてくれる。

そんな恵まれた自然と食を持つ宮崎県にビール醸造所が誕生した。
それが「B.M.B Brewery」だ。

宮崎市随一の繁華街、西橘通りにあるビアバー「Beer Market BASE(ビアマーケットベース)」のメンバーがDIYで作り上げた醸造所だ。

左から、スタッフ神崎剛さん/オーナー松田温郎さん/醸造長の里 真彰さん

DIYで作り上げた醸造所は完成間近

醸造所は神武天皇の宮殿があった地とされる宮崎神宮から徒歩3分ほど。神宮の森から湿り気を帯びた木々の香りさえ感じられる場所にある。

静謐な雰囲気が漂う宮崎神宮には参拝客も多い

店舗兼住宅として使われていたという建物はすっかりリノベーションされ、正面の窓からはピカピカの醸造タンクが見える。

2018年5月建物の工事に着手し、同年11月15日に醸造免許がおりたばかり。
訪問した2019年1月中旬、来訪客の試飲スペースであるタップルームは今まさに「工事中」であった。

入口は建物左手の細い通用口。窓の向こうの醸造釜と小さな看板が目印だ

内装の解体から壁の塗装、機材の設置・組み立て、装飾に至るまですべて自分たちの手で行っているという。
時間と労力は掛かるが、経費を削減でき、自分たちのイメージをそのまま表現することができる。

醸造長は里真彰さん(通称・まさあき)。
醸造免許がおりるまでは建物作りが主な仕事であったため、冗談交じりで“棟梁”と呼ばれていた。

「あ、いらっしゃい。まだDIY途中なので足元が悪いですけど、どうぞ見ていってください」

“棟梁”から“醸造長”に昇格した里さんが、はにかんだ笑顔で出迎えてくれた。

「ビールは造っていますが、タップルームのDIYは続いています。まだ棟梁を卒業できませんね」

不要になった配管と木材を組み合わせた扉を開けると、2畳ほどの細いスペースになっており突き当りには4本のタップが並んでいる。
ここで、出来立てのビールを味わうことができるのだ。

タップルームには、切断した車止めパイプと流木を合わせたタップが。建物もビールも廃棄を極力なくしたいという思いから、廃材をうまく活用している

醸造スペースも見学させてもらった。
風呂のタイルが残るモルト粉砕室、樽詰めされたビールを貯蔵する巨大な冷蔵庫、酵母を培養する手造りラボラトリー、新しい機材が並んでいるが、民家の面影がそこかしこに残る。

綺麗に磨きあげられた醸造室には、煮沸釜と4本の発酵タンクが並び、コポコポと発酵の小さな音がしていた。
日本初上陸の醸造システムのため作業は手探り状態だという。
麦汁の出来や発酵の様子をこまめに確認し、適したレシピに変更することも。
臨機応変にアイディアを試せるのが小規模醸造所の魅力だ。

タンクに貼られたステンシルシートにもセンスが光る。「形から入るタイプ。なんでもカッコイイのがいい」と、あつろーさん

もう一人のスタッフ神崎剛さんはもともと、Beer Market BASEのお客さんだったという。

「面白い店長と面白いビールがあるなと思ってお店に通ううちにクラフトビールにはまってしまい、店で働かせてもらうようになりました。さらに醸造所建設にも携わることに。クラフトビールのお陰で人生が変わりましたね」

剛さんは、以前解体の仕事をされていたこともあり醸造所作りの力強い助っ人となった。
力仕事の多いビール造りにも頼もしく、夢のビール造りは加速した。

訪問した1月半ば、民家を買い取り自分たちの手でリノベーションを施した小さなビール醸造所は、大きな夢を詰め込んで出荷の時期を迎えていた。

たくさんの人を巻き込んで、楽しいビールを造る

醸造所と、ビアバーBeer Market BASEのオーナーである松田温郎さん(通称・あつろー)は宮崎市内でビール醸造を始めた動機をこう語っている。

「私は難しいことを考えずに楽しめるのがビールの魅力だと思います。素材の幅が広く多様性があるので地元の食材を使って造ることができるのも魅力です。宮崎県の多様な自然が生み出す産物を利用することで、地域と密につながったビールを造りたかったのです」

農家の畑でギリギリまで完熟させたカボスを自分たちで収穫し、ビールの風味付けに使う。
自家焙煎のコーヒー店「COFFEE ROASTER HAMASAKI」の水出しコーヒーをビールにブレンドする。
醸造所から出るビール粕は、栄養たっぷりの肥料として大葉農家に引き取ってもらう、など地域を巻き込んだビール造りに向けすでに行動をおこしている。

今後は、飲食店のオリジナルビールや、県内の樽工房やワイナリーと協力しての樽熟成ビール、形が悪いなどで出荷できなかった果実を使ったビールなど、夢は尽きない。

コーヒーをブレンドしたビールはすっきりとしており朝からでも飲みたくなる

こうして造られたビールは、1月18日にBeer Market BASEでお披露目された。

●Batch#1 The New Saison Alc 5.9%
セゾン酵母のスパイシーなエステルとNZ産ホップが存分に感じられる
●Batch#2 Nelson Prison Alc5.4%
先輩方から最初は思い切って行け!との言葉をそのままに。口の中でネルソンソーヴィンが弾ける

「今は定番を決めず、この醸造システムと自分たちは何が得意なのかを探っています。みんなを驚かせるような宮崎の特別なビールを日本中に広めたいと思います」と、里さん。

これからも続々と個性的なビールがリリースされる予定だ。
とは言っても、Beer Market BASE以外で飲めるのはまだ少し先になる。

たくさんの支援を得たクラウドファンディング

「まずは醸造所建設のためのクラウドファンディングに協力してくださった皆様へお礼のビールを送る予定です」と、あつろーさん。

資金集めのため昨年6月に行ったクラウドファンディングでは、253名の支援者を集め、目標額4,000,000円に対し5,285,000円(達成率132%)もの資金を得ることができた。

クラウドファンディングの返礼の後に、2月にはタップルームやビアバーでも飲めるようになる予定だ。
しっかりとしたビジョンを持ちながらも、ビールについて語る3人の目は子供のようにキラキラと輝いている。彼らの夢を応援したくなる。
宮崎県のクラフトビアシーンに生まれた熱風をこれからも見守っていきたい。

あつろーさんのビアバー、宮崎県のビール好きが集まる基地(BASE)「Beer Market BASE」では、国内外の8種類以上のドラフトビールと50種類以上のボトルビールが楽しめる

Beer Market BASE(ビアマーケットベース)
住所:宮崎県宮崎市上野町8-25 1F
定休日:なし
営業時間:17:00~27:00
https://www.facebook.com/BeerMarketBase

B.M.B Brewery
住所:宮崎県 宮崎市 神宮東1-7-31
https://www.facebook.com/BMB-Brewery-230315701223800/

クラウドファンディングとビアマーケットベースについての過去の記事はこちら

解体から自分たちの手で施工(クラウドファンディングWEBページより)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※記事に掲載されている店舗のメニューや営業時間、イベント内容などの情報は予告なしに変更される場合があります。店舗のホームページやイベントの告知ページなどをご確認の上、ご来店・ご来場くださいますようお願い申し上げます。

日本ビアジャーナリスト協会 公式facebookページ

公式facebookページの右上にある「いいね」をポチッとしてくださいね。よろしくお願いします!

01001コウゴアヤコ

この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れこみ1年半ドイツで生活したことも。海外生活情報誌「ドイツニュースダイジェスト」や、雑誌「ビール王国」(ワイン王国)、雑誌「an・an」(マガジンハウス)、「クラフトビールの図鑑」(マイナビ)などさまざまなメディアで活躍中。

このエリアに掲載する広告を募集しています。
詳しくはこちらよりお問い合わせください。