[イベント]2020.2.13

【ビールのある風景in岩手④】「遠野醸造×三陸ジンジャーナイト」@箱根山テラス(陸前高田)に参加してきました!

岩手県遠野市。岩手県の南東の内陸部にあり、人口約25,000人。柳田國男の「遠野物語」の舞台であり、河童や座敷わらしなどの「民話の里」として知られる自然豊かなところです。栽培面積が激減したとはいえ50年のホップ栽培の歴史を誇り、毎年ホップの収穫時期である8月下旬に開催される「遠野ホップ収穫祭」には、県内外から多くの人が訪れています。
この遠野市に、2018年5月にオープンしたのが遠野醸造です。遠野駅から徒歩3分で行けるタップルームでは、店内にある醸造設備を眺めながら自家製のクラフトビールを飲むことが出来ます。

その遠野醸造が、陸前高田市の農家とコラボし、無農薬の生姜「三陸ジンジャー」を使ったビール「三陸ジンジャーゴールデン」をこのたび醸造。2月7日の夜に行われた陸前高田でのこのビールのお披露目会=遠野醸造の陸前高田初上陸に立ち会ってきました。

今回訪れた岩手県陸前高田市は、県南東部にある太平洋に面し、三陸海岸の南寄りに位置しています。人口は約18,000人。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震が引き起こした大津波によって、市内中心部は壊滅状態に。沿岸の高田松原にあった松が1本だけ津波に耐えて残り、「奇跡の一本松」として注目され、枯死後も保存されています。
会場となった「箱根山テラス」は、震災後の2014年秋に「木と人をいかす」をテーマに、湾が望める箱根山の中腹に開業した全14室のシンプルな宿泊・滞在施設です。県道から外れ急な細い坂道を車で恐る恐る500メートルほど上ると、地元材・気仙杉をふんだんに使った建物が暖かく迎えてくれました。

お披露目会は、ペレットストーブの暖かな火がホッとさせてくれるラウンジで、立食形式で行われました。

ドリンクとフード。遠野醸造のビールは、「三陸ジンジャーゴールデン」含む4種。フードにはすべて「三陸ジンジャー」が使われています。


「三陸ジンジャーゴールデン」を味わうのは実は2度目。最初にタップルームでいただいたときは、生姜の味と香りがまろやかに感じましたが、時間をおいて味わった今回は、キリリと生姜の味がして、口いっぱいに香りが広がるゴールデンエールになっていました。

生姜農家の菊地さんから紹介された生姜作りや三陸ジンジャーゴールデンの誕生秘話。
◎生姜は、生産量が一番多いのは高知県、二位は熊本県。温暖な県で生産が盛ん。
それでも、岩手県としては比較的温暖な気候と三陸沿岸の季節風「やませ」が吹く陸前高田では、みずみずしく香り高い生姜が出来る。
◎ただ材料を提供するだけでなく、三陸ジンジャーゴールデンのレシピの設計(色、苦み、ボディ感、アルコール感、しょうが感、炭酸感、香りの方向性など)に始まり、実際のビールも一緒に仕込んだ。


会場には、40名ほどが集まりました。すでに以前からの知り合いでグループも出来ていて、最初は入り込みにくさも感じていましたが、いざお話してみると、地元で事業をしている方、地元のご夫婦、移住してきた方、期間限定で仕事をしている方、たまたま出張で来ていた方など様々でした。
生姜づくしのお料理とビール、そしてこの地ならではの会話で盛り上がり、心も身体も暖まりました。

コラボレーションすることで、コミュニケーションが生まれ、コミュニティが拡張する。こうして生まれたコミュニティから、また新たなコラボレーションが生まれていく・・・遠野醸造が目指している「コミュニティブルワリー」を、作り手の情熱から生まれたビールを味わいながら感じた夜でした。都市やその周辺地域ではなかなか味わえない穏やかな、それでいて何か大きな可能性を秘めた空気がそこにはありました。

新しいことを生みだそうとしている人たちって輝いているなあ。新しいことが生まれるのって素敵だなあ・・・そして、こんな出会いがあるビールって、やっぱりいいなあ。

 

◎遠野醸造タップルーム : 岩手県遠野市中央通り10-15  Tel 0198-66-3990

◎三陸ジンジャー生産農家 菊地康智 : 岩手県陸前高田市米崎町字川西96  Tel 090-5795-4861

◎箱根山テラス : 岩手県陸前高田市小友町字茗荷1-232  Tel 0192-22-7088

 

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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