[JBJA活動,ビアバー]2020.3.18

鹿児島と宮崎のビールを訪ねて【旅とビールと】

初めて鹿児島、宮崎の地に降り立ちました。鹿児島、宮崎には様々なクラフトビールがありますが、私のイメージは、焼酎文化が根強いという事。

焼酎が普段使いされている土地で、ビールがどんな風に楽しまれているのか。そんな目線で、2県のクラフトビールを巡ってみました。

鹿児島、宮崎とお酒

改めて調べてみると、焼酎の文化は古く、鹿児島では1700年代ごろには、本格的に芋焼酎造りが行われていたそうです。芋を始め、米、麦、蕎麦など原料の産地である事、水が豊富で清らかだった事、焼酎に使われる麹菌が暖かい地方の酒造りに適していたなど、焼酎造りが盛んになった理由としてはいくつか考えられます。

また宮崎の方言に「だれやみ」という言葉があります。「だれる」=「疲れる」、「だれ」をやめるで、「だれやみ」。一日の疲れを癒す晩酌のことだそうです。その日の疲れは、お酒で癒す。素敵な方言ですね。国税庁発表の平成29年度、一人当たりの酒類消費数量は宮崎が全国4位です。お酒が生活に根付いている事が良くわかります。

鹿児島のクラフトビールを訪ねて

旅の始まりは、鹿児島空港から。空港近くの「霧島高原ビール」が目的です。

施設名は「麹の里 GEN」

こちらはビールの他に焼酎も造っており、焼酎工場は見学コースがあります。主な事業は種麹と言って、焼酎の製造に使われる麹菌の販売をしています。「黒霧」「森伊蔵」「魔王」と言った名だたる焼酎も、この会社の種麹を使用しています。また現在社長を務める三代目は、河内菌とよばれる麹菌の腸内環境改善の影響を研究され、サプリメントも販売。新しい分野へと手を広げています。

なぜそんな会社がビール造りをしているのか。社長が、ビール好きだった事が1番の理由だそう。また様々なビールを飲み比べた時、飲み飽きなかった経験があり、チェコのビール方式を採用したとの事。糖化はチェコ方式のデコクション糖化法を採用、酵母はスタロプラメンというチェコ大手ビール工場の酵母を使用するこだわりです。お店で頂いたのは、ピルスナー。

 

こちらの大きな利点は鹿児島空港から近い事。空港から送迎もしてくれます。車で約3分、徒歩でも充分いける範囲なのが、嬉しいですね。

http://praha-gen.com/page-80/霧島高原ビール株式会社/

 

2つ目のブルワリーは「城山ブルワリー」

こちらはSHIROYAMA HOTEL Kagoshima内で醸造をしています。鹿児島市内が一望出来る高台に立ち、結婚式や地元の会議などで使用される格式高いホテルです。

施設内のBARで飲み比べセットを頂きました。ホテル内のレストランなどでは、同じように城山ブルワリーのビールを飲む事が出来ます。醸造の開始は九州の中でも早く、国内外のビアカップなどの受賞歴もあります。私は、なかなか東京でも出会う機会はありませんでした。この6種類の飲み比べは、貴重な経験でした。

https://www.shiroyama-g.co.jp/brewery/

宮崎のブルワリー

翌日は、宮崎へ移動しました。宮崎で訪れたのは「青空エール」というブルーパブ。今ある店舗の場所が「青空市場」にあるため、そう名付けたそうです。

 

ペールエールや、ヴァイツェンなどの定番商品のほかに、日向夏や苺など宮崎の特産である果物を使用したビールが並びます。料理は、宮崎地場の食材を使った料理を、楽しむ事が出来ます。

「話題だけのためにフルーツビールを造っている訳ではありません。多くの人が本当に美味しいと飲んでもらえるビール造りを目指しています」とオーナーの前田さんは、お話しされていました。

http://www.aozoraale.com/

ビールの楽しみ方

さてさて本題。鹿児島、宮崎の人にとってのビールの楽しみ方とは?

訪れた様々な場所で、様々な人に、「ビールをどういう風に楽しみますか?」と質問をしてみました。みなさん、口を揃えて言うのは「ビールを飲むのは、乾杯ですよね、2杯目以降は焼酎かな」ビールは乾杯の役割で、銘柄も特にこだわりはないそうです。始まりに喉の渇きを求められる存在。なかなかビールの多様性は知られていないのかも、と少し残念な気持ちを持ち始めた頃、青空エールのカウンターでお話しした常連さんの、こんなお話しが心に残りました。

「ここ青空エールのビールは違うんだよね。ビールの色や香りが楽しめるんだ。焼酎を飲んだ後でも、ビールがゆっくりと味わえるなんて初めてだね。」

そんな気付きがある人が増えると、様々な場面や食事と合わせてビールを飲む機会増えるのではないでしょうか

「九州に来たらビール!」という時がくるんじゃないかなーとひそかに楽しみにしています。

 

今回の旅のルートは以下の通りです。

[1日目]羽田空港〜鹿児島空港 送迎バスにて「麹の里 GEN」

鹿児島空港〜鹿児島中央駅 高速バスにて

駅からシャトルバスにて SHIROYAMA HOTEL  Kagoshima

ホテル内 THE CELLAR N

[2日目]ホテルシャトルバスにて 鹿児島中央駅へ

特急霧島にて鹿児島中央駅〜宮崎駅 宮崎駅〜徒歩でホテル

宮崎市内 青空エール・宮崎フェニックス・Beer Market Base    

[3日目]ホテル〜宮崎駅、宮崎駅でレンタカーで、鵜戸神宮など

   ひでじビール 宮崎空港、宮崎空港〜羽田空港

 黒太字はビールを飲んだ場所

 

SHIROYAMA HOTEL kagoshimaひでじビール麹の里GEN,城山ブルワリー, 青空エール,宮崎フェニックス,Beer Market Base

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

高橋朗子

ビアジャーナリスト/ディプロムビアソムリエ/JSA公認ワインエキスパート

横浜生まれ。
「ビールが好き!」「お酒が好き!」「人が好き!」
ビールが自分のコミュニケーションツール。
ビールから広がっていく知識や、人の輪。その楽しさを
たくさんの方々に伝えたいの思いからビアジャーナリストの世界へ。
自らも新しいビール・人の出会いを探しに各地飛び回る日々。

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