[イベント]2010.11.3

レッドビール

レッドビールは、濃い赤紫色で酸味が強いビール。
その味わいの秘密は木製の大きな桶で長期熟成すること。

ワインのようにお酒に木の香りをつけるためだけではなく、ビールの味わいそのものに強い影響を与えるのです。

14~15世紀頃、フランダース地方はブルゴーニュ公国の領土でした。
フランダース地方でも美味しいワインを、と醸造を試みるも冷涼な土地のため、そもそもぶどうが育ちません。
そこで赤ワインに似たキャラクターのビールを造ろうと、ワインの空樽を利用しビールを長期熟成させることにより、木の香りやさわやかな酸味をつけることを考え出したと思われます。

レッドビールの代表的な醸造所にローデンバッハ醸造所があります。
ここでは全部で294のオーク桶があり、醸造所の敷地の多くの部分を占めています。
熟成庫に入ると、最大で60kl入、最小でも12kl入という、天井まで届くほどのとてつもなく大きなオーク製の木桶が備え付けられています。

その様子はまさに圧巻。
一番広い熟成庫には5列に並んだ木桶が合計100個置かれ、列と列との間は狭い通路になっています。
もっとも古い桶は1836年から使用されているそうです。
このようにたくさんの木桶を維持するため、醸造所には桶専用の職人がおり、1900年代の初めから技術を受け継いで今日に至っています。

こうして長い時間をかけて造られる甘酸っぱいレッドビールも好き嫌いの大きく分かれるビールですが、ぜひその歴史を感じながら味わっていただきたいビールのひとつです。

ベルギービールレッドビールローデンバッハ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

三輪 一記

一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会 代表理事

1967年、名古屋市生まれ。
1990年、関西大学商学部卒業。26歳のときにベルギービールと出会い、以来ベルギービールを愛し、仕事でというよりライフワークとしてベルギービール普及に情熱を傾け、毎年ベルギーを訪れている。
2001年よりベルギービールに関する講座、セミナー活動をスタート。
2008年より愛知大学、愛知淑徳大学等でベルギービール講座開講。
「ベルギービールを通じて日本とベルギーの架け橋に」というコンセプトのもと、
講演やセミナーにも積極的に取り組んでいる。
共著に『ベルギービール大全』(三輪一記+石黒謙吾/アートン)、
『ベルギービール大全<新>』(三輪一記+石黒謙吾/アスペクト)。
一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会 代表理事。

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