[ブルワー,新商品情報]2021.4.2

【ビール誕生秘話13本目 アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶編】自分好みの泡で家飲みをもっと楽しんで欲しい

2021年4月20日(火)に発売(4月6日(火)コンビニエンスストアより先行発売)するアサヒビール株式会社の「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶(以下、生ジョッキ缶)」。全開する缶蓋を開けると泡が自然発泡する新しい飲み方ができるビールです。

4年の開発期間を経て誕生した「生ジョッキ缶」。そこにはどのような思いが込められているのでしょうか。ビールマーケティング部プロデューサー中島健さん、開発プロジェクト部 プロデューサー伊東泰洋さんにお話を聞くともに「生ジョッキ缶」を試飲させていただきました。

自分好みの理想の泡を探索しながら家飲みをもっと楽しんでほしい

この「生ジョッキ缶」。やはり1番気になるのは、蓋を開けるとクリーミーな泡が自然に発生する仕組みです。開発担当の伊東さんに聞きました。

「缶の中では炭酸ガスがビールに溶け込んでいます。炭酸ガスは液温が低いと液体中に溶け込みやすく、高いと溶け込みにくい性質があります。また、圧力が高いほど液体中に溶け込みやすくなり、圧力が解放されると液体から抜けやすくなります。この性質を利用して缶を開けてガス圧が解放される時に、缶の内側に特別な塗料を使用してコーティングした凹凸がアシストする形で泡がつくられる仕組みになっています」

通常、缶の内面は塗料でコーティングしてアルミ材を保護しています。「生ジョッキ缶」では、特別な塗料を使用して凹凸を付けることで「アサヒスーパードライ(以下、スーパードライ)」に合った泡をつくっていると伊東さんはいいます。

開発プロジェクト部 プロデューサー伊東泰洋さん。「生ジョッキ缶」は、陶器グラスやシャンパングラスの構造が近いと教えてくれた。

綺麗な泡を発生させるコツはあるのでしょうか。

「缶のパッケージにも記載しておりますが、4~8℃の温度帯が1番良い状態の泡が発生します。クリーミーな泡を発生させるためには、冷蔵庫の冷蔵室で冷やしていただきたいと思います」(中島さん)

「振動を与えるとカニ泡と呼ばれるキメの粗い泡が立ちやすくなります。しかし、ビールの温度が4~8℃の中にあればカニ泡の下からキメ細かい泡が発泡されます。ですから購入後でも美味しく飲んでいただけます」(伊東さん)

クリーミーな泡を楽しむためには、温度がポイントになるようです。しっかりと冷やしてから飲んでください。

「『生ジョッキ缶』は、通常の『スーパードライ缶』と中味は同じですが異なる商品と考えています。温度帯が変わると泡立ちも変わります。お客様自身でベストな飲み方を探しながら飲むと家飲みの時間がもっと楽しくなると思います」(伊東さん)

綺麗に発泡させるためには、ちょっと慣れが必要かもしれません。しかし、そこを探索する楽しみが「生ジョッキ缶」にはありそうです。

ビールマーケティング部プロデューサー中島健さん。お話から「生ジョッキ缶」への熱い思いが伝わってきました。停滞するビール市場を変える起爆剤となるのか。動向が楽しみです。

発売まで7ヶ月。泡がまったく立たない

独特な商品である「生ジョッキ缶」。どのような経緯から開発が始まったのでしょうか。

「構想が生まれたのが2017年ごろです。当時は家飲みが増えてきた時期で、新ジャンルや缶チューハイ、缶ハイボールと低価格で楽しめるお酒が増えていきました。その中でお客様に不満要素を聞いたところ『本当は家でお店のような生ビールが飲みたい』という声が多数ありました」(中島さん)

アサヒビールでも様々なお酒を販売している中、1番の強みであるビールでお客様を満足させる商品を実現したい。様々な議論を重ねた結果、缶蓋が全開して自然に発泡する「生ジョッキ缶」に辿り着きます。

「お店で飲むようなビールを家飲みで実現する」

その思いから「生ジョッキ缶」の開発が始まりました。しかし、新しい試みに発売まで多くの課題を乗り越える必要があったと伊東さんはいいます。

「1番の課題は泡立ちの実現でした。研究の段階では順調に開発は進みましたが、2020年6月末に弊社の充填工場で商品に採用する缶で試してみたところ全然泡が立ちませんでした」

発売まで1年を切っている状況。伊東さんは「青ざめました」と振り返ります。そこから試作を繰り返しますが、なかなか理想の泡立ちになりません。「今年の初夢も『生ジョッキ缶』の夢をみました」と泡のことが頭から離れない日々を過ごしたと話します。

それもそのはず。通常の缶では泡を立てないことを追求します。

「缶から泡が吹きこぼれてお客様のストレスなることを恐れていました。開発側からすると泡が吹きこぼれることは防ぎたい心理が働いて大胆な改善ができませんでした。最終的に経営陣の方たちから『泡が溢れるくらいの商品をつくりなさい』と指示を受けました。それで吹っ切れて、思い切った対応をすることができました」(伊東さん)

そして、もう1つ「生ジョッキ缶」の実現を難しくしたものがあります。それが缶の構造です。

「缶蓋と缶胴を巻き締める工程が難しかったです。より精度の高い条件下で巻き締めないと缶を傷付けてしまうことがあります。それと泡が立つ缶ですからビールを充填するときに泡が立ちやすくなります。いかに泡を立てないで充填するかというところも苦労しました」

泡に注目が集まるビールですが、缶蓋にも注目してほしいと思います。

泡に注目が集まる「生ジョッキ缶」ですが、その泡を発生させる缶の仕組みにも注目です。

スーパードライだからこそ1番伝えられると思った

「生ジョッキ缶」の中身は通常のスーパードライです。中島さんによると「開発にあたり、どのブランドで販売するのかを議論しました」といいます。

色々な意見を交わしていく中、ビール市場が縮小を続ける理由を考えたと中島さん。

「家にいてもビールを飲んで過ごす時間より、スマートフォンを見て過ごす時間などの方が高い価値になっているように感じます。お客様にとってビールの価値が下がっていることがビール市場を小さくしてしまっている理由の1つと考えました」

ビールの魅力である人とのつながりを訴求できていない。そう結論づけた中島さんたちは、「生ジョッキ缶」を通じて「やっぱりビールは楽しい」ことを伝えたいと思いを語ります。

「家飲みをもっと本格的に楽しんでほしい」

そう考えたときに「新しいビールよりもスーパードライで挑戦することがお客様に最も伝わる」という結論に至りました。

「生ジョッキ缶」(前)と通常のスーパードライ(後)。「生ジョッキ缶」はジョッキをイメージできるよう左上が金色になっている。
※この「生ジョッキ缶」は見本缶のため、製品缶とは一部デザインが異なります。

クリーミーな泡に、蓋が全開することでゴクゴク飲める爽快感

中島さん、伊東さんのお話を聞いた後に「生ジョッキ缶」を試飲してみました。今回は、「生ジョッキ缶」の特徴と比較するため、通常のスーパードライと飲み比べてみました。

試飲では、

1.生ジョッキ缶

2.缶のまま飲用するスーパードライ

3.グラスに注いだスーパードライ(1度注ぎ)

の3つのパターンで飲み比べました。

※どの缶も1日以上、冷蔵庫の冷蔵室で冷やした状態の缶ビールを使用。

今回、はじめて「生ジョッキ缶」を開けたのですが、缶詰よりも軽い力で開けることができました。缶蓋を開けるとすぐに金色の液体から白いクリーミーな泡がゆっくり湧き上がってきます。「4~8℃の温度帯が良い」とのことでしたが、冷蔵庫から出してすぐの缶は泡立ちがゆっくりで、冷蔵庫から出して2~3分静置した状態の缶は勢いよく綺麗な泡が立ちました。

冷蔵庫で冷やす時間や気温で変わると思いますが、すぐ開けるよりも1~2分待ってから開ける方がきれいな泡が立ちやすいかもしれません。

これは伊東さんが仰っていた通り、自分のベストな飲み方を探す楽しみがあります。「探し出す」という意味では、ビアギーク向けのビールなのかもしれません。

缶蓋を開けるとすぐに発泡してくる。

飲んでみると予想以上にクリーミーな泡でした。明らかにグラスに注ぐよりもキメの細かいクリーミーな泡です。ビールサーバーと全く同じとはいかないまでも特別な機械を使用しないで、ここまで近い泡を実現できるとは思っていなかったので驚きました。

炭酸は、「生ジョッキ缶」が1番強く感じましたが、飲んでいくうちに適度な強さに感じるようになりました。容器の口径が大きい分、炭酸も抜けやすいのかもしれません。炭酸を強く感じていたい方は、通常のスーパードライ缶から直接飲む方が合っているかもしれません。逆に炭酸を弱めたい方は、グラスに注いで炭酸を飛ばして飲むと良いでしょう。

風味を1番感じやすかったのは、グラスに注いだものでした。炭酸が適度に抜けたことで、麦の風味を最も感じやすかったです。

飲み比べ評価(筆者の主観によるものです)
●生ジョッキ缶(右)
泡 クリーミーで滑らか
炭酸 強いが次第に落ち着く印象
香り 適度にホップやモルトの香りを感じるがグラスより弱めに感じる
味わい グラスよりモルトの風味は弱めに感じる
●グラスに注いだスーパードライ缶(1度注ぎ)(中)
泡 プツプツと粗い感じ
炭酸 弱め
香り ホップの爽快な香りとモルトの香りを1番感じやすい
味わい モルトの風味が最も感じられる
●スーパードライ缶(右)
泡 なし
炭酸 最後まで強い
香り ホップやモルトの香りは3つの中で1番感じにくい
味わい モルトの風味は3つの中で1番感じにくい

飲み比べてみて「生ジョッキ缶」で最も印象的だったのは飲みやすさでした。口径が大きいため、口に入る流量も増えますが口を付ける缶の淵がしっかりフィットするので水を飲むようにゴクゴク飲めました(飲みやすいですが、一気飲みは急性アルコール中毒を起こす可能性があります。お止めください)。缶は蓋も飲み口も縁が丸みをもたせて手や口が切れないダブルセーフティー構造になっているので、安心して口を付けることができました。

泡は最後まで再生されて保たれていました。

綺麗なクリーミーな泡をつくることができれば、お店で飲む生ビールに近い感覚が得られると思います。

缶蓋は飲み終わった缶の中に入れることができるのでまとめて捨てることができる。

最後に中島さんと伊東さんからメッセージをいただきました。

「『生ジョッキ缶』には様々なハードルがありましたが、『スーパードライ』の歴史は挑戦の歴史です。この商品も日本初、大きな挑戦をして開発してきましたので、自信を持って発売に臨んでいきたいと思います。そしてこの『生ジョッキ缶』を通じて、お客様をワクワクさせ、ビールの楽しさ、うまさを伝えていきたいと考えています。」(中島さん)

「泡は、視覚的にも味覚的にもなくてはならないものだと思います。お店で運ばれてくるジョッキの白く滑らかな泡を見た後にゴクっと飲んだ時のクリーミーな口当たりと程よい苦味。そして爽快感。ビールは解放的な気持ちになれる必要不可欠な存在だと思います。『生ジョッキ缶』は、お客様の好みで泡立ちをつくれるビールです。お客様の好みの泡立ちを探索してください。皆さんのこだわりを持って楽しめるビールになってほしいです」(伊東さん)

取材時は緊急事態宣言中のため、リモートで行いました。お2人の写真は、広報様に撮影いただきました。今後は、発売後の反応も聞いてみたいですね。

「生ジョッキ缶」が登場することで、好みの楽しみ方の幅が広がると感じました。

この春、注目の「生ジョッキ缶」。ぜひ、お店で味わうような感覚を自宅で楽しんでみてください。2021年4月6日(火)よりコンビニエンスストアで先行発売となります。

アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶 商品概要

品目:ビール

原材料:麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、米、コーン、スターチ

発売品種:缶340ml

アルコール分:5%

発売日:2021年4月20日(火)※コンビニエンスストアは4月6日(火)

製造工場:茨城工場、神奈川工場、名古屋工場、吹田工場

発売地区:全国

価格:オープン価格

ブランドサイト

アサヒスーパードライアサヒスーパードライ 生ジョッキ缶アサヒビール株式会社
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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビアジャーナリスト/ビールイベントプランナー

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは2000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

音声配信アプリstand.fmで、ビアジャーナリストこぐねえのビールRADIOを配信中

【メディア出演】
<TV>
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<ラジオ>
●TBSラジオ「鈴木聖奈LIFE LAB~○○のおじ様たち~」
●JAPAN FM NETWORK系列「OH!HAPPY MORNING」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ(2019年2月11日号) ●DIME(2019年4月号)●GetNavi(2020年2月号) ●週刊朝日(2020年6月12日増大号)●食楽(2020 SUMMER No,116)●週刊プレイボーイ(2020年12月28日号)週刊大衆(2021年4月19日号)
<Web>
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