[テイスティング,ブルワー,新商品情報]2021.9.10

【東北で出会うビールの世界⑤】 先月出荷開始! 新たに誕生した「八戸麦酒」を探してみました

青森県八戸市に初ブルワリーが誕生

青森県八戸市は、青森県南東部にあり太平洋に面しています。人口約22万人と、県庁所在地の青森市に次いで、青森県では二番目に人口の多い市です。
八戸港は全国の港で常にベスト10に入る水揚げを上げており、特にイカについては長年にわたり「イカの水揚げ日本一」を誇っています。日本一の朝市も名物になっています。
東北新幹線はやぶさに乗れば、東京駅から3時間かからずに八戸駅に到着することも出来ます。八戸駅は、陸中海岸をはじめ、青森県内各地への観光の玄関口です。

そんな八戸市に「カネク醸造」という初めてクラフトビールのブルワリーが誕生し、先月から「八戸麦酒」の出荷を開始しています。

「面白いことをやろう」×「クラフトビールとの出会い」
クラフトビールとの初めての出会いはドイツになります。飲んだ時の印象が忘れられず、これくらい個性的なビールを地元八戸で飲みたいと思いましたが、当時は気軽に飲める場所がありませんでした。今まで培ってきたモノづくりの経験を生かして、自分たちでやってしまおうと思い立ち、「面白いことをやろうよ」という想いと、クラフトビールとの「出会い」という原体験が私達のスタートです。(カネク醸造ホームページより)

8月上旬に初出荷を迎えた「八戸麦酒」はどんな場所で造られているのか、どこで売られているのか・・・現地の状況を確認してみました。

八戸麦酒は今どこで買えるのか?

8月2日に初出荷された八戸麦酒は、「ホワイトエール」「ヘイジーIPA」「アメリカンIPA」、そしてサッカーJ3ヴァンラーレ八戸との提携商品「ヴァンラーレエール」の4種類、合わせて約8,000本です。
まず向かったのは、八戸麦酒を造っているカネク醸造がある八戸市南郷。海に近い八戸の中心部からは10キロあまり離れた、豊かな里山文化が残る地域です。古くから栽培されてきた蕎麦が名産で、約30年続いている「南郷ジャズフェスティバル」によってジャズの里としても知られています。
南郷地区の中心部に近い 以前は地区の給食センターとして使われていた建物に新しいブルワリーが出来ていました。


ポスターが貼ってあって人もいらっしゃいましたが、残念ながらここでは販売は行っていないとのこと。近くの道の駅なんごうでも、取り扱いは10月以降になるそうです。あると思うと教えていただいた地域密着チェーンのスーパーも2軒回りましたが、まだありませんでした。
市内の百貨店の食品売り場でも見つけることが出来ず・・・出荷から1か月経っていなかったこの時点では、想像していら以上に取り扱っている場所が限られているまだレアな存在でした。

結局、私が見つけることが出来たのは次の2か所です。
◎八戸市内の地元の酒屋


地元の方しか訪れないような場所にあった酒屋で、八戸麦酒のアメリカンIPAとホワイトエール、ヴァンラーレエールを売っていました。ヘイジーIPAは醸造量が少なかったのか、当初から入荷しなかったとのこと。地元に出来たビールなので応援していきたいとおっしゃっていました。
最初出荷された4種類以外にも醸造が行われていて、まもなく出荷されるらしいとの情報を得ました。
「ユートリー」1階のおみやげショップ
八戸駅のすぐ隣にある「ユートリー」。ここのおみやげショップでは、青森県内のさまざまな特産品を約2,000点販売しています。
ここでは、八戸麦酒は入り口に目立つように並んでいました。新商品「ヴァイツェン」も入荷済でした。

特に新幹線で来た方は、まずここをのぞいてみるのをお勧めします。おみやげショップの隣には、地元のお祭りの展示もあります。

まだ公式通販サイトなどはないため、遠方で飲んでみたい方がいらっしゃったら、今のところは八戸市内の酒屋で通販にも力を入れているところを探してみることをお勧めします。

実際に味わってみて

手に入れることが出来た5種類の八戸麦酒。すべて充填後の加熱殺菌(パストリゼーション)が行われているため、常温での保管が可能です。

ここでは3種類ほとご紹介します。
◎ヘージーIPA

ホップを大量に使用しているとのことで、香りは豊か。でも味わいは苦みが少なく、上品な味わいです。
クラフトビールをあまり飲んだことのない方、IPAに苦手意識がある方にもお勧めします。

◎ヴァンラーレエール

県産米を使用しているとのこと。香りの良い素朴な味わいのエールでした。
なお売上金の一部は提携しているヴァンラーレ八戸に寄付されるという応援ビールでもあります。

◎ヴァイツェン

香りは穏やかですが、バランスが取れて味わいのあるヴァイツェンです。
飲みやすいので、こちらもクラフトビールをあまり飲んだことのない方にも飲んでみていただきたいビールです。

なお、提携ビール以外のラベルには、猫のイラストが使われています。八戸市南郷には「猫屋敷」という地名があり、たくさんの猫がひとつの家に住み着いていたという話からとったという説があります。地域に根付きなくてはならない存在でありたいという想いが、猫に込められています。

まだ醸造が始まったばかりの八戸麦酒。これからさらに、どんな形で八戸という地域に根付いていくのか楽しみです。皆さまも機会があれば、ぜひ一度味わってみてくださいね。

株式会社カネク醸造
青森県八戸市南郷大字市野沢字屋敷添14-2
Tel 0178-38-5474
Kanekujyouzo.com

カネク醸造八戸八戸麦酒南郷青森

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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