[テイスティング,ビアバー,ブルワー,新商品情報]2022.8.30

NAMACHAんBrewingの新店舗にて、社長が「過去・現在・未来」を語る

NAMACHAんBrewingは、2018年に醸造を開始した東京都豊島区のブルワリー。フラッグシップの「なまちゃんのラオホ」は、インターナショナル・ビアカップ2020で金賞を受賞、さらにカテゴリーチャンピオンにも選ばれています。最近の動きとしては、北池袋に醸造所を併設した新店舗をオープンするなど、順調に成長を続けています。

運営するのは「株式会社スモークビアファクトリー」社長の山崎健太さんに、新店舗の「NAMACHAんスタンド北池袋店」の位置付けをメインに、今までの振り返りから将来へ向けての展望など、色々なお話を伺ってきました。

きっかけは「燻製」と「ビール」の奥深さに魅せられて

NAMACHAん

社長の山崎健太さん 【筆者撮影】

元々はウイスキーやカクテルなどを提供するバーを営んでいた山崎さん。まず、それに合わせる料理として「燻製」の魅力に魅せられ、同時にビールの奥深さにも気づき「これはお客様が飽きることがなさそうだ」と、この2つを軸に店を開いたのが、1号店の要町店。店名と社名をストレートに「SmokeBeerFactory」としました。2015年のことでした。

この時点で扱うビールは仕入れに頼り、自社での醸造は行っていませんでした。ところが、オープニングスタッフの米澤美里さんが「自分でビールを造りたい!」と社長へ直談判。社長の山崎さんは、それならば、まずビールを売るための店を増やしてから、醸造所を造ろうと決意。2号店の東長崎店を2016年にオープン、そして3号店の大塚店を2017年にオープン。その大塚店に併設する形で醸造所を計画したのです。満を持して、醸造所が稼働を開始したのは2018年のことでした。

ちなみに「NAMACHAん」とは、現在まで醸造長を務める米澤さんの昔からのあだ名。単に生ビールが好きだからとのこと。それをそのままビールのブランド名にする、山崎社長の懐の広さには驚きです。

(醸造長の米澤さんについて詳しくはこちら

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おなじみのキャッチーなロゴマーク 【筆者撮影】

3つ目の醸造所は「オーセンティック」なビールを

2020年には燻製工場兼小売店「くんせい屋」をオープン、燻製商品の製造と小売・外販を強化。2021年には新しいスタイルの店舗「NAMACHAんスタンド椎名町店」をオープン、「ビールのボトルショップ」「燻製おつまみ」「小さなスタンディングビアバー」が合体した複合店舗との位置付け。ここに2つ目の醸造所も開設し、今年の初めに醸造を開始しています。

そして今回紹介する「NAMACHAんスタンド北池袋店」は今年3月にオープン、3つ目の醸造所も併設し先日より醸造も開始しています。

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黒を基調とした大人っぽい雰囲気 【筆者撮影】

これで3つの醸造所が稼働していることになりますが、それぞれのコンセプトを山崎さんに聞きました。

「最初の大塚店は、当社の看板商品でもあるラオホから始まり、とにかく色々なビールを造ってきました。椎名町店は『カワイイ』をテーマに、フルーツ系やサワー系、そして最近はスムージーやペイストリー系など、ビールの多様性を広めて行きたいと考えています。そして今回の北池袋店は大人っぽさを重視した『オーセンティック』なビールを造って行きたいと思っています。」

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どちらも落ち着いた美味しさ 【画像提供/NAMACHAんBrewing】

北池袋の記念すべき1作目はアメリカンペールエールの「北池ペールエール」、2作目は「なまちゃんのジャーマンピルスナー」。どちらも飲んでみましたが、奇をてらうことなく、スタンダードな美味しさにまとまっていると感じました。

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熟成用の木樽 【筆者撮影】


さらに今回はじめてバレルエイジドビールにも挑戦するとのことで、醸造所の片隅には木樽が置かれていました。オーセンティックをテーマとする醸造所からどんなバレルエイジドビールがリリースされるのか、今後が非常に楽しみです。

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燻製商品の人気は「合鴨の燻製」 【筆者撮影】

お得意の燻製商品は店内のフードメニューにもありますが、店頭でも購入することができます。また、他社の缶や瓶のビールのボトルショップとしても、なかなかの品揃えです。

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入口から左に小売用のショーケース、右が注文カウンター、奥のガラス越しに醸造所 【筆者撮影】

気軽に立ち寄れる雰囲気の店舗で、多くの客層に喜んでもらえる店にしたいと言う山崎さん。お話を伺ったのは平日の営業時間外でしたが、改めて日曜の午後に訪れてみると、子連れで缶ビールを買いに来るお父さん、新作のビールを目当てに来る常連客、燻製商品を買いに来る主婦など、多くの人で賑わっており、オープンから半年でしっかりと地域に根差している印象を受けました。

会社としての更なる取り組み「カクテルビール」と「外販」

山崎さんの一貫した考えは「美味しいビールを世の中に広めたい」。そのキーワードの一つは「カクテルビール」。これはNAMACHAんBrewingの造語で、そのようなビアスタイルは存在しません。
一般的な「ビアカクテル」は、ビールと他の飲み物などを混ぜて作りますが、ビールの醸造過程でフルーツなどの原料を入れて造り上げる、カクテル感覚で飲めるビールのことを総称して「カクテルビール」呼んでいます。ビールに抵抗がある客層への切り口として、醸造長の米澤さんが中心に、自由な発想で様々なビールがリリースされています。

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なまちゃんの「レッドアイ」はトマト、出汁、トウガラシ入り 【筆者撮影】


さらに今後はビールの外販を行いたいとのこと。現在は3つの醸造所で造るビールは全て自社内の店舗で売り切っているそうですが、外販の依頼も多く、今までに500件以上の飲食店やビアバーから引き合いがあったとのこと。NAMACHAんBrewingのビールのクオリティーを考えれば当然とも言えるでしょう。

「現在の製造能力では定期的に外へ供給することは難しいので、まずは3つの醸造所を安定して稼働させて、ビールの品質をさらに高めてゆくことに集中したいと考えています。しかし多くの依頼を頂いているからには、それに応えたいという気持ちも持っています。いずれかは規模の大きな醸造所をつくり、外販も行いたいと考えています。」

まだまだ多くの可能性を秘めているNAMACHAんBrewing、今後の動きにも目が離せそうにありません。

NAMACHAんスタンド北池袋店 店舗概要
所在地:東京都豊島区池袋本町4-7-4
営業時間:平日16:00-23:00、土日12:00-22:00
定休日:月曜日
(2022年8月現在)

公式ツイッター
https://twitter.com/namasta_2
公式インスタグラム
https://www.instagram.com/namachanstand_kitaikebukuro/

スモークビアファクトリー ホームページ
https://smokebeerfactory.com/

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

津田 敏秀

ビアジャーナリスト

1972年、東京都出身。獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒業。
外食チェーン企業に15年間勤務の後、独立。串揚げとクラフトビールの店を7年間経営。今までの経験を活かし、飲食店の経営に関する記事を得意とする。
好きなビールはスタウト。趣味は乗り鉄。

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