[コラム]2022.11.8

もりあきのお勧めベルギービール(トラピストビール編)

はじめに

私がお勧めしたいベルギービール。今回は、トラピストビールビールを紹介したいと思います。
トラピストビールの定義は「トラピストビール≠ベルギービール」で触れていますので割愛させていただきます。
さて、個人的にどのトラピストビールも好きなので全てがお勧めで悩みました。それで、今回は令和4年度に4つのトラピストビールが復活や新登場しましたので、それを紹介したいと想います。その内、「シメイグリーン」は「がぶ飲みすると危ないよ!ベルギービール」の中で紹介させて頂きましたので割愛させて頂きます。そのため、3種類紹介させて頂きます。

シメイグリーン

関連
トラピストビール≠ベルギービール
がぶ飲みすると危ないよ!ベルギービール

トラピストビール

ロシュフォール・トリプル・エクストラ

このビールの特記として、トラピストビールとしては珍しく、コリアンダーとオレンジピールが入っているため、ホワイトビールの様な、フルーティな香り(オレンジのような柑橘の香り、バナナ、白桃、アプリコットのような香り)とコショウのようなスパイシーな香りや、ほのかにはちみつのような香りも感じられます。
ロシュフォールはダーク系のビールで有名ですが約100年前に3年間ブロンドビールを作ったことがあるそうで100年ぶりに修道士たちが明るい色のビールを造ることになり、生み出されたビールです。
「ロシュロール・トリプル・エクストラ」は、見た目は今までのどのロシュフォールのビールとも違った、ブロンドビールです。にごりのある淡いゴールドで泡立ち、泡持ちともに良いです。
しかし、味わいは他のロシュフォールとおなじく、独特のボディと深さを兼ね備えています。
口に含むと最初にクリーミーな炭酸、なめらかな口当たりが感じられます。柑橘やバナナのようなフレーバーをともなった、苦味、酸味、甘みのバランスが整った味わいがあり、あとにざらざらとした苦味が続きます。
100年ぶりに作られた「ロシュフォール・トリプル・エクストラ」を是非ご賞味下さい。

ロシュフォール・トリプル・エクストラ

ウエストマール・エクストラ

ウエストマールは、ダブルやトリプルが有名です。これは、エクストラの材料を1としたときにダブルは2倍トリプルは3倍使用しているそうです。
1836年から、当時の不衛生な水の代わりに食事に合う軽いビールを醸造していたそうです。当初は褐色のビールでしたが、その後ホワイト・ビールになり、最終的にはウェストマール・エクストラへ進化しました。
仕込みは年に1~2回のみで主に修道士が飲むために(一日1本のみ)、また修道院を訪問したゲスト等に提供されていました。「シメイ・ゴールド」と同じ立ち位置だと思います。

シメイ・ゴールド

このビールは週に一度だけ、何年もの間、修道院で販売されていましたが、2021年に、この魅力的なビールを全世界にシェアすることになりました。そして、今年日本に輸入されました。
色は、ややオレンジがかった、にごりのあるゴールドでとてもきめ細やかな泡立ちで、泡持ちも良いです。
香りは、レモンのような柑橘の香り、りんご、バナナ、洋梨のようなフルーティーな香り、はちみつのような香りがあります。
味は、口に含むと、バナナや柑橘のフレーバーをともなった、フレッシュな酸味、苦味がバランス良く広がります。炭酸ガス強めで生き生きとした味わいのミディアムボディ。後に心地よい苦味が続きます。
是非、1度「ウエストマール・エクストラ」を飲んでみませんか。

ウエストマール・エクストラ

ロシュフォール・6

先程の「ロシュフォール・トリプル・エクストラ」と同じロシュフォールです。このビールは、先程のビールとは違い、毎年製造されていますが全体の数パーセントしか造られていないため、「8」や「10」とは違い限定ビールです。
また、「三輪一記氏のノートル・ダム・ド・サン・レミ修道院訪問記」によれば、ロシュフォール6を造る理由は、年に1度新しい酵母を使うためで、ロシュフォール8や10などアルコール度数の高いビールで使うと酵母へのダメージがかかるため、比較的度数の低いロシュフォール6で酵母を育てるために造られているとのことです。
さて、この数字の「6」や「8」や「10」とは、ベルギーの修道院醸造所が未発酵ビールの麦汁の量を測定するために使用した古いシステム上の数値で、「6」は初期比重が1060であることを表しています。同じく「8」は1080。同じく「10」は1100であることを示しているとのことです。
色は、濁りのある濃いブラウンです。
香りは、ヴァニラのような甘い香り、スモーキーな香りなどオーク樽で熟成させた赤ワインのような香りがあります。また干しぶどうやチョコレートなどの濃密な香りもあります。
ボリュームはそれほどありませんが、「8」や「10」と同じ流れの特徴を持っています。
味は、麦芽からの甘味と苦味のバランスが良いと思います。
是非、1度「ロシュフォール・6」をお試しください。

ロシュフォール・6

さいごに

トラピストビールと言えば、個人的には「ウェストフレテレン・アプト12」が忘れらません。現在はベルギー旅行をして購入するか、ベルギー在住の友人に頼むかをしないと正規購入は出来ません。
かっては、1度だけグラス付きのセットが国内で販売されたことがあり、運よく1セットつ分けて頂いたことと、当時「Dog of Flanders」のオーナーがベルギー帰国時に数本購入したものを飲ませて頂いたことがあり、今では懐かしく思います。このビールは、トラピストビールの規則を厳格に運用しているため、よほどの事がない限り再度日本で飲む事は難しいと思います。
さて、次回は「セゾンビール編」のお勧めをまとめてみたいと思います。

ウェストフレテレン・アプト12

参考文献および引用文献サイト
すがや魅力の麦酒
三輪一記氏のノートル・ダム・ド・サン・レミ修道院訪問記
ベルギービールJapan

ウェストフレテレン・アプト12ウエストマール・エクストラシメイグリーンシメイ・ゴールドトラピストビールベルギービールロシュフォール・トリプル・エクストラロシュフォール・6

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

もりあき(モリテツアキ)

ビアジャーナリスト/ベルギービール・プロフェッショナル

1968年1月福島県で生まれ現在北海道余市郡に在住。ロシア人と国際結婚(妻は現在帰化)。
佛教大学卒業後社会福祉士の資格を取り地元の特別養護老人ホームの管理者を行いながら実家の事業の1つである農業を手伝っている。
ビールはベルギービールを飲むのが主で、たまに道内のクラフトビールやエビスビールを飲む。特にベルギービールは専用グラスで飲むようにしている。
現在の活動は、Facebookで北海道ベルギービール愛好会の立ち上げ、道内でベルギービールが飲める飲食店や購入できるお店や自分の飲んだビールの紹介をしている。
又、産物のハネ品(サクランボ等)からビールを作るプロジェクトを2020年立ち上げ、ハネ品(規格外、交配用、完熟、微量な傷等)を対象にビールの副原料として使い数年かけて検証していく。
今後の取り組みとして現在の活動の他、ベルギービール(道内のクラフトビールを含む)の紹介や考察を書いていきたい。
また、2022年11月23日にベルギービールのランビックビールに特化したフェイスブックを立ち上げた。これは、自身の勉強と今後1つのビールスタイルに愛着を持つ者同士のグループができるとの予測から取り組んでみたいと感じたからである。

北海道ベルギービール愛好会
https://www.facebook.com/groups/1586818794929083
ランビック愛好会
https://www.facebook.com/groups/672595961169437

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