[コラム]2023.2.17

福島の風光明媚な海幸ビールペアリングはいかが?—あんこうフライ×猪苗代地ビール「ゴールデンエンジェル」編

日本周辺でも、特に漁場として恵まれていると言われてきたのが、黒潮と親潮がぶつかる東北から北関東の沖の海域です。そのほぼ中心である福島県のいわき漁港では、豊富なプランクトンを食べて育った魚が多く水揚げされています。

ちなみに、日本は世界の中で小さな島国のイメージですが、海岸線の長さはおよそ3万kmと世界第6位の長さです。これは、オーストラリアやアメリカ、中国よりもはるかに長い距離で、まさに海洋国家の利を備えているのが日本なのです。
古くから当たり前のように魚を食べて生活してきましたが、近年は日本人の魚離れの傾向が見られ、逆に、世界では健康志向の高まりも手伝って魚食が注目を集めています。日本食の素晴らしさが伝わっていることの誇らしさ反面、漁獲や海流の変化などで、秋になるとサンマが獲れなくなった、などの報道もよく聞かれるようになり、考えさせられることも多くなってきました。

”魚をもっとおいしく食べて欲しい!”。そんな思いを込めた水産業の方々が新商品を開発しています。その中でも、私の大切な友人の故郷でもある“福島”の幸を福島生まれのビールと合わせて楽しむビールペアリングを、地元情報を合わせて、3回に分けて紹介いたします。

福島ではどんな魚が獲れる?

福島県では、マイワシ、サバ、サンマ、カツオ、カレイ等が多く漁獲されています。その他に、深海魚であるメヒカリも水揚げされ、福島のメヒカリとして、魚売り場や居酒屋のメニューでも見かけます。メヒカリは東北から九州まで広く獲れる魚ではありますが、福島周辺の海域で獲れる魚は、豊富なプランクトンをたっぷり食べて、脂ののった魚が多く、それをを”常磐もの”と呼んでいて、他の魚同様に、”常磐もの”のメヒカリも他とは魚の大きさや脂のりが違うといわれています。また、茨城でも穫れるアンコウもいわき港でも水揚げされます。淡水では、猪苗代湖や桧原湖や周辺の河川で、ウグイやギンブナ、ドジョウなどが生息し、希少種となっているメダカなどもあちこちで見られます。冬にはレジャーを兼ねて、猪苗代湖や桧原湖などでワカサギ釣りを楽しむ人も。

奥磐梯には桧原湖の他にミシュラン・グリーンガイド1つ星に認定されている五色沼湖沼群も。毘沙門沼では手漕ぎボート(冬季休業)も楽しめます

アンコウのフライ?「福島ソース」も新鮮なおいしさ

年末〜2月あたりに魚売り場で見かけるようになるのが、アンコウ。アンコウといえば、やっぱり“アンコウ鍋”!私の冬の鍋の楽しみの一つです。ただ、私自身はこれまで鍋に使う以外、他の活用方法は正直思いついたことがありませんでした。

この「いわきフライ」は福島産のアンコウの身をおろし、骨を丁寧にとって、大小さまざまな身を組み合わせて食べやすい四角に整形してあり、まさに、あとは家庭で揚げるだけ、というお手軽が実に嬉しいフライです。一緒にセットされているのは、「福島ソース」。これは福島で採れる、和梨、リンゴ、桃を原料に加えたフルーティでローカルの魅力溢れるソースです。早速多めの油を180℃に温めて、程よく色づくまで6〜7分揚げます。

私が選んだビールは、福島・猪苗代湖にある猪苗代地ビールの「ゴールデンエンジェル」。名峰磐梯山の天然水を誓い、ピルスナーモルトとカラムンチモルトをブレンドした少し赤みがかった色合いのビールです。猪苗代湖の面積は約103㎢と日本第4位の大きさで、私の友人も小さな頃からよく遊びに行ったそうです。湖のほとりにある猪苗代地ビール館の向かいには、千円札に描かれている、「野口英世記念館」があり、現存する生家には、英世が落ちた囲炉裏が残っているそう。また、そこから北にある奥磐梯の桧原湖周辺もドライブにお勧めで、友人は「奥裏磐梯らぁめんや」の塩ラーメンが絶品!と教えてくれました。

桧原湖から望む磐梯山

これぞ、シン・アンコウ!地元の恵み3段重ねのペアリング

ビールラベルの「8」は猪苗代(いなわしろ=17846)の「わ=8」を表していて、「い=1」はピルスナー、「な=7」はヴァイツェン、「し=4」はブラウンヴァイツェン、「ろ=1」はラオホとなっている、ウィットに溢れたデザインになっています。

フライは、衣はサクッと軽やかで、中のアンコウの身はふわふわです。それだけでもシンプルにおいしいのですが、そこに「福島ソース」をかけると、さまざまなフルーツの味わいがフライをドラマチックに変化させて、口の中で驚きと楽しさが広がります。そんな「いわきフライ」をサクッと一口、そしてこのビールを飲むと、ブレンドモルトの厚みとフライのコクが程よいバランスで、モルト由来の甘さがソースのフルーティさと絶妙に混じり合います。ホップの程度な苦味とビールのやや高めな炭酸が口の中をすっきりとさせてくれるので、すぐに次の一口が止まりません…。

結果、私は福島ソースで全て平らげてしまいましたが、今度はソースをポン酢に変えたり、アンコウの肝をソースに使ってみるのも面白そうです。“シン・アンコウ”ペアリング、ぜひお試しあれ!

いわきフライ https://andfish.jp/product/product_kaikou1/
猪苗代地ビール http://inawashirojibeer.com

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いわきフライ桧原湖猪苗代地ビール猪苗代湖福島ソース

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK 2023』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、ぐるなびグルメサイト ippin キュレーター など

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