[コラム]2023.8.11

山頂制覇のご褒美は樽生ビール!「Hokkaido Beer Porter」

今日8月11日は「山の日」。山頂を制覇し、下界を眺めながら飲むドリンクは格別ですが、もしそれがビールサーバーから注がれる生ビールだったら? 北海道には、山頂で樽生ビールを振舞う「Hokkaido Beer Poter」がいるのです。
日頃は道内各所でブルワーとして働く畠山雅之さん。夏山シーズンの週末は「Beer Porter」としてビールサーバーを担いで登り、山頂で無料でビールを振舞います。

「きっかけは、ネットでリュックタイプのビールサーバーを買ったことでした。初めは何に使おうかを考えていなかったのですが、自分のライフワークである登山と結び付けられるのでは?と気づいて『山頂で生ビールを振舞う』と思いつきました」と畠山さん。

5年前に旭川の大雪山系黒岳で初実施。旭岳、羊蹄山、利尻岳、羅臼岳、斜里岳など、北海道の名だたる名山で実行していきます。片道3時間の行程の高い山が多いのですが、それは「低山だと実はあまり盛り上がらないのです。標高の高い山で振舞うと、とても喜ばれるんです」という理由によるのだそう。

ピーク時は毎週のように行っていて、山の専門誌『山と渓谷』でも紹介されました。

今回は、札幌市内の標高531メートルの山、藻岩山で行われました。以前より取材をしたかったのですが、筆者がハイキング気分の山登りは好きながらも本格的な登山をするにはブランクが開きすぎていたので、低山での実施を待っていたのでした。

NHKの番組「吉田類のにっぽん百低山」でも取り上げられた山です

藻岩山は市街に近く手軽に登れるので札幌市民に愛されますが、それでも片道90分はかかります

山頂の証、三等三角点「藻岩山」

やっとの思いで登ると、涼しい顔をして先に待っていた畠山さん

この日の山頂はあいにくの天気となってしまいましたが、それでも我々を含めて、札幌市内からSNSでの告知を見たご夫婦も訪れていました。

振舞われるビールは一人100ml。登山は下りの方が慎重さが必要になるため、山頂で少し休んでアルコールの酔いを鎮めてもらってからゆっくりと下山するようにお声掛けをします(下山後に車を運転をする方には振舞っていません)。とくに今回は低山のため、下山はロープウエイでするようにお願いをしていました。(私もロープウエイで下山しました)

頂上を征服したあとで飲むビールは格別

ビール樽は自費で購入しています。しかも振舞うのは大手メーカーのビールではなく、クラフトビールのみ。畠山さん自身が醸造者として関わった網走ビール、IWANAI BREWING、澄川ビールが中心です。

「平日はビール造り。週末はビール配り」と畠山さんは笑います。山でクラフトビールと出会ってもらい、下山してクラフトビールを手に取ってもらうという、クラフトビール普及の側面も持っています。

実は畠山さんはいま足に怪我をしていて体調が万全ではないため、これが久しぶりの実施。今年は初めてで、かつ残念ながら唯一になるそうです。

告知は畠山さんのSNSで行われています。来夏の山シーズン、北海道の夏山を登ると山頂でおいしい生ビールが待っているかもしれませんよ。

参考リンク

X(旧Twitter):https://twitter.com/beer_porter

Facebook:https://www.facebook.com/hokkaidobeerporter/

畠山さん提供による過去のビアポーター写真

利尻岳(標高1,721m・日本最北の「百名山」)

羅臼岳(標高1,661m・知床半島)

旭岳(標高2,291m・北海道最高峰)

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

坂巻 紀久雄

ビアジャーナリスト

東京都葛飾区出身。1998年ビアテイスターを取得。2000年に北海道札幌市へ移住。ビール専門店勤務で経験を積み、2013年にビールとモルトウイスキーの専門店「Maltheads(モルトヘッズ)」を開店。
https://maltheads.net/

店は「クラフトビールのお店」でも「世界のビールのお店」でもなく、「ビールの広い世界を実感できる店」をコンセプトとしている。

ビアジャーナリストとしては、北海道の記事を中心に執筆しているが、国内外を問わずビール全般を追っている。

札幌は、日本のビールの発祥地のひとつ。さらに「ビールの都」ドイツ・ミュンヘンと「ビール天国」アメリカ・オレゴン州ポートランドと姉妹都市でもある。そこを「日本のビールの首都」として盛り立てるべく奮闘中。

ビア検(日本ビール検定)1級(2013-14 初の2年連続合格者・2022年3度目の合格)/クラフトビアアソシエーション(CBA)認定ビアテイスター/ウイスキー検定2級

「サッポロ・クラフト・ビア・フォレスト」実行委員
http://www.sapporo-craft-beer-forest.com/

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