[イベント]2023.10.19

JBJA藤原ヒロユキ代表が考える日本オリジナルのビアスタイルとは?日本オリジナルのビアスタイルを探る旅Vol.17

ゲストを招いて日本オリジナルのビアスタイルの可能性を探るオンラインイベント「日本オリジナルのビアスタイルを探る旅」。2023年9月は、日本ビアジャーナリスト協会代表であり、与謝野ホップ生産者組合副組合長の藤原ヒロユキさんを招いて開催した。

ビールについて幅広く伝えている藤原さん。京都府与謝野町でホップ農家としても活躍しています。今回は日本産ホップが日本オリジナルビアスタイルになるための課題についてイベント発起人であるCRAFT BEER BASEの谷和さんと一緒に聞いた。

最も日本オリジナルのビアスタイルになる可能性があると感じたのがホップだった

「海外のビール審査会に出席すると、海外の審査員から『日本らしいビールはどのようなものか』と聞かれます。残念ながら明確な回答をすることができないでいました」

日本のビールの質が高くなっていることを評価される一方で、たびたび日本オリジナルのビアスタイルについて問われることがあったと言う藤原さん。自信を持って回答できないもどかしさを抱きつつ、ヨーロッパのような歴史がない日本では仕方がないと思う気持ちもあったと言う。

しかし、アメリカはヨーロッパほどの歴史がないにも関わらずアメリカンスタイルで世界のクラフトビール界を席巻して明確な地位を築いていることに気づく。

「なぜ、アメリカンスタイルが浸透したのか。それは強烈な個性をもったホップを生かしたビールを造ったからだと思いました」と藤原さん。

日本オリジナルのビアスタイルになり得るものは色々あると考える中、最も可能性を感じたのがホップだったと言う。

日本産ホップの課題

藤原さんは、2015年からホップ栽培に関わって8年が経過。その間も他の地域を視察して精力的に日本産ホップの発展に取り組んできた。

日本でホップ栽培が広まり、世界から注目されるためには多くの課題がある。どんな課題を藤原さんは感じているのだろうか。

イベントの中で3つの課題が浮き上がってきた。

品質

現在、日本各地でホップ栽培が行われるようになり、各地で収穫されたホップで造られたビールが登場してきている。しかし、「試しに育ててみた」で使用されたホップもあり、決して品質が良いものばかりではないと藤原さん。これについて谷さんも「育ててみたホップでビールを造ってほしい」と相談を受けると言い、残念ながらビールとして使用できる品質に至っていないホップもあると打ち明ける。

ホップに関心を持ち、日本各地で栽培されるようになったことは喜ばしい一方で、藤原さんは「ただ育てるのではなく、商品として使用できる品質のホップを育てられる環境や知識、そして何よりも『良いホップを育てる』意識が必要です。もう日本でホップ栽培をする人が増えて喜ぶところから高品質なホップを育てられるかにフェーズを移す時期がきた」と話す。

アメリカンスタイルが世界で人気になったのは、アメリカンホップの個性だけではない。ブルワーが使いたくなる品質の高さもあったと思う。どのようにして品質を高めていくのか。1つ目の課題として挙がった。

価格

「今、与謝野ホップは、1㎏あたり4,000円で販売しています。高いと思われるでしょうが、この価格でも継続していくのが大変です」

後日改めて谷さんに海外産ペレットホップの価格を聞いてみると「大体1kgあたり2,500〜4,000円」と教えてくれた。日本のメーカーを調べてみると、ペレットホップで1kg約8,000円。乾燥ホップは8,000〜35,000円と割高だった。

ちなみに一般的にビール醸造に使われるホップは、粉末状にして円柱状に圧縮加工したペレットホップである。藤原さんが栽培している与謝野ホップは冷凍ホップで販売していて、ペレットホップよりも多く使用する必要があり、必然的にコストが上がってしまう。

日本産ホップが日本オリジナルのビアスタイルになるためには、普段使いされないと広まっていかない。今後、ブルワリーが使いやすい環境をつくることができるのか。価格も重要な課題となってくる。

人材

全国各地で広まっているホップ栽培。しかし、ホップ農家として生計を立てている人達は少なく、試験的に栽培している人たちが増えているのが現状だ。

中には岩手県遠野市のようにホップ農家を目指す人を地域や行政でサポートする取り組みを始めているところもあるが、数としては少ない。

「これからホップ栽培をしていく人をどのようにして増やして育てていくのか。品質の良いホップを育てるには、良い人材がいないと成り立ちません」と藤原さん。

持続的にホップ生産を行うためには、興味だけでは続かない。どうしたら生計を立てていけるのか。ビジネスモデルの構築も課題だ。

今回、藤原さんの話を聞いて、改めて日本のホップ産業は課題が多く、クリアするには高く厚い壁だと感じた。しかし、遠野のように進展をみせている地域もある。決して可能性がないわけではない。次回の「日本オリジナルのビアスタイルを探る旅」では引き続き藤原さんに登場いただき、今回挙がった課題解決に向けた話を聞いていく。開催は2023年10月26日(木)21時からの予定だ。

こちらのイベントは無料で参加できるので関心のある方は参加してほしい。イベントの情報は「日本オリジナルのビアスタイルを探る旅」のFacebookページを中心に告知する。

今回のイベントの様子は、Podcastで配信しています。

日本オリジナルのビアスタイルを探る旅藤原ヒロユキ谷和

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
PodcastSpotifyでも聞けます。

【メディア出演】
<TV>
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<Web>
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