[テイスティング,新商品情報]2025.2.23

100%山梨県産の大麦とホップ!?「Far Yeast 月の出エール / 月の出ラガー」が数量限定販売

月の出エール月の出ラガー

(画像提供 Far Yeast Brewing)

ビールの主な原料となる麦芽やホップは、輸入するケースが多い日本のビール。そんな中、今回Far Yeast Brewingが初めて挑戦するのは、醸造所のある山梨県産の大麦とホップを100%使ったビール造りです。国産原料というだけでなく、なんと県内産!厳選した原料で造る、こだわりのビールが完成するまでの道のりやビールの魅力をお伝えします。

ALL Yamanashiの原料で作ったビールを限定販売

商品並べる

(画像提供 Far Yeast Brewing)

Far Yeast Brewingは、山梨県小菅村に本社兼醸造所をかまえるブルワリーです。初めての挑戦となる、100%山梨県産の大麦とホップを使って作り上げたビール「Far Yeast 月の出エール / 月の出ラガー」を、2025年1月21日(火)より限定販売しました。

原料の大麦は、山梨県大月市内で耕作放棄地の再生に取り組む「梁川地球自給研究所」の有機栽培で育てた二条大麦。ホップは、山梨県北杜市内に自社農園を構え、ホップ栽培の継承と発展に取り組む「小林ホップ農園」の2品種です。

ビアスタイルは、エール酵母を使用したゴールデンエールの「月の出エール」と、ラガー酵母を使用したピルスナーの「月の出ラガー」の2種類。シンプルなビアスタイルだからこそ、麦芽とホップのフレーバーを存分に味わえます。2種類とも原料は同じで、違いは酵母のみ。酵母の違いから生まれる2つの味わいを楽しめる、ALL Yamanashiの原料で作ったビールです。

県内原料100%使用という、初めての挑戦

麦芽の糖化試験からスタートした、大月市産の大麦

畑

(画像提供 Far Yeast Brewing)

梁川地球自給研究所は、山梨県大月市の東側に位置する梁川町にあります。耕作放棄地を米や大麦、大豆などの畑に再生させるとともに、自然の営みを大切にするべく農薬や肥料を使わない栽培に取り組んでいます。

収穫

(画像提供 Far Yeast Brewing)

2024年6月、Far Yeast Brewingのスタッフが実際に梁川地球自給研究所の大麦畑を訪れ、収穫作業に参加。国内での製麦を経て、醸造用に適した麦芽に仕上げました。

普段使用する麦芽はすでに成分データがありますが、今回は初めてビールに使用するということで成分データの作成から始めなければいけませんでした。糖化試験による成分の分析から進め成分データの作成と並行して、麦芽の挽き目や糖化プログラムなどの製造工程も一から見直したそうです。

日本で初めてホップの契約栽培が本格化した、北杜市産のホップ

ホップ

(画像 小林ホップ農園公式サイトより)

山梨県北杜市は日本で初めてホップの契約栽培が本格的に始まった町とも言われており、日本一を誇る日射量や冷涼な気候がホップ栽培に最適な環境。この地で2014年からホップ栽培を開始した小林ホップ農園は、2016年からホップとビール販売を開始しました。

ホップの魅力を伝えるだけでなく、より良いホップを目指して改良などにも注力。収穫から加工、出荷まで一貫して自社で管理し、安心した品質のホップを安定的に供給し続けています。

Far Yeast Brewingで、毎年リリースしているフレッシュホップビールはこちらのホップを使用しているそう。今回使ったのは、柑橘系のアロマが特徴のチヌークとカスケード。ホップ由来のシトラスのような爽やかさとスパイシーなアロマに加え、穏やかな苦味をビールに与えています。

大麦とホップを身にまとった、キュートな熊のラベルイラスト

原料とともに注目して欲しいのが、キュートな熊のラベルイラストです。ビールの原料が山梨県産なだけではなく、ラベルもなんと山梨県内のイラストレーター・オギワラユウさんが手がけました。

月の出エール熊

月の出ラガー熊

熊のイラストをじっくり見てみてください。「月の出エール」は、大麦の冠にホップのマントをまとった熊。「月の出ラガー」は、ホップの冠に大麦の腰ミノをつけた熊。そしてそれぞれの熊が抱えるのは、ビールの名前の月です。

「月の出」の文字の中に隠れている月や山のシルエットなど、散りばめられた工夫を見つけてみてください。

香り華やぐ「月の出エール」とすっきり爽やかな「月の出ラガー」

月の出エール

まずは「月の出エール」から。グラスに注ぐと、華やかな香りが立ち上ります。グラスに顔を近づけると、その香りにつられて顔がゆるみます。口に含むと広がるふくよかな味わい。鼻から抜けるフレーバーが、ビールの後味と共に余韻として残ります。

月の出ラガー

「月の出ラガー」は、エールよりも少し淡い色味で、コクの奥にじんわりと苦味を感じます。軽やかな味わいで、すっきり爽やかな喉越し。クラフトビールを普段のまない方にはこちらの方が飲みやすいかもしれません。

アップ

どちらも穏やかな炭酸感で、食事にも合わせやすい飲み心地のビールです。酵母の違いだけでこんなにビールって変わるんだ!と、改めて驚きました。ぜひ2種類の味わいの違いを、実際に試してみてほしいです。

ペアリングのおつまみも、やっぱりおすすめしたい山梨県産

おつまみ

八ヶ岳甲州ワイン鱒のコロッケ(左上)・竜田揚げ(下)、富士の介の冷燻・燻製(右上)

山梨県産にこだわったビールということで、やっぱり合わせたいのは山梨県産のおつまみ。

今回ペアリングのために用意したのは、山梨県北杜市にある富士自然テックファームの、八ヶ岳甲州ワイン鱒とキングサーモンとニジマスから生まれた富士の介。燻製や冷燻、コロッケに竜田揚げなど、さまざまな角度でペアリングをしてみました。

個人的に気に入ったのは、富士の介の竜田揚げと「月の出エール」のペアリング。ふんわり柔らかな富士の介の優しい甘さがエールのふくよかな味わいとよく合います。

ワイン鱒の燻製と「月の出ラガー」のペアリングもおすすめ。魚の燻製自体、初めて食べましたが、思った以上にふわふわで濃厚。ライトなラガーの苦味と絶妙にマッチして、沁み入るおいしさをゆっくりと噛み締めました。

大月市の魅力を再発見!「令和ビッグムーンプロジェクト」との連携も

ビッグムーン

(画像提供 Far Yeast Brewing)

大月市の魅力を再発見してもらうきっかけ として、「月の出エール」「月の出ラガー」の一部を、「令和ビッグムーンプロジェクト」のオリジナルラベル「BIG MOON Ale Beer」「BIG MOON Lager Beer」として販売しています。

こちらのプロジェクトとは、大月市の”まだ見ぬ魅力”を引き出し、地域の未来を創る活動として、2024年に大月市の有志で始まったものです。

Far Yeast Brewingは市と連携しながら、山梨の魅力を発信する活動に積極的に取り組んでいます。

Brewed with YAMANASHIの地域活性化への取り組み

ラベル

さらにもうひとつのプロジェクトも、この企画に関わっています。

Far Yeast Brewingでは、県産の産物を原料としたビール造りを通して、地域産業の活性化を目指す「山梨応援プロジェクト」を2019年に発足。同年には、地域の事業者との連携強化のために、本社機能を東京・渋谷から現在の小菅村に移転するほど注力しています。

これまでにも山梨市のモモを使った「Peach Haze」や、甲州市ブドウを使用した「GRAPEVINE」など、さまざまな県内の産物を活用したビールを醸造してきました。

2024年には、「地元の応援」からさらに「地元の共創」に向けて、「Brewed with YAMANASHI」と改名。ビールと共に、山梨の魅力を全国に発信し続けているブルワーなのです。

地域性をたっぷり感じられる山梨県産のクラフトビール

缶

通常使用している原料を切り替えることは、そもそもハードルが高いものです。原料を海外産から国内産に切り替えるだけでなく、県内産にこだわり、その中でも厳選した材料を選定。

原料の成分データ作成から取り組んだブルワリーの挑戦の背景には、たくさんのブルワーたちの努力があったろうことが想像されます。

山梨ばかり

多様なビアスタイルに挑戦し続けるFar Yeast Brewingならではの、地域への想いがぎゅぎゅっと凝縮されたビールです。離れた場所からでも、こんなに山梨でいっぱいのメニューがずらりと並ぶと、気分はすっかり山梨に来ているよう。

自分の出身地のご当地品に親しみを感じたり、思わず手を伸ばしたりするような経験は、誰しもあるものではないでしょうか。地元の生産物を使うとなればより地域性が強まるとともに、生産者及び製造者含め、地域の方々の思い入れもぐっと高まります。

そんなクラフトビールを通じた地域の活性化を、これからももっと応援していきたいです。まずはこちらのビールの味わいを楽しみながら、山梨へそっと想いを寄せてみてください。きっともっと知りたくなったり、行ってみたくなったりしますよ。

◾️Far Yeast 月の出エール (ファーイースト ツキノデエール)
【販売開始日】2025年1月21日(火)
【原材料】麦芽(国内製造)、ホップ、糖類
【アルコール度】5.0%
【スタイル】Golden Ale
【品目】ビール
【醸造所】Far Yeast Brewing源流醸造所(山梨県小菅村)
【仕様】350ml缶 / 15L樽
【URL】https://faryeast.stores.jp/

◾️Far Yeast 月の出ラガー (ファーイースト ツキノデラガー)
【販売開始日】2025年1月21日(火)
【原材料】麦芽(国内製造)、ホップ
【アルコール度】5.0%
【IBU】20
【スタイル】Pilsner
【品目】ビール
【醸造所】Far Yeast Brewing源流醸造所(山梨県小菅村)
【仕様】350ml缶 / 15L樽
【URL】https://faryeast.stores.jp/

Far East Breweing国産原料山梨

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

アバター画像

この記事を書いたひと

金子明日香

ビアジャーナリスト/ライター

静岡県生まれ、愛知県在住のWeb編集/ライターです。
大学のドイツ留学でドイツビールに出会い、在独1年間ですっかりビール好きに。ビールを通して、国内外さまざまな出会いやご縁に恵まれてきました。

ビールの楽しさや魅力をもっとたくさんの人に伝えたい!と思い、ビアジャーナリストアカデミー20期に参加。ビールが好きなステキな仲間と出会えたことで、私自身がビール造りをもっともっと知りたくなりました。

農家の娘なので農業×ビールに興味があります。特に国産ホップや大麦など、日本の農業からつながる、国産原料を使ったビールの情報を発信したいです。

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。