[コラム,ブルワー]2018.1.2

誰かが変えるのを待つなんてつまらない。自分たちが変えていく。

Craft Label SECRET TAPInnovative Brewerアロマホップクラフトビールサッポロビールシトラシークレットタップジャパンプレミアムブリューネルソンソーヴィンモザイク新井健司氏

Innovative Brewerマスターブリュワー新井健司さんは、そう語った。
Innovative Brewerはサッポロビール子会社であるジャパンプレミアムブリュー社から2017年10月に発表されたニューブランド。関東圏のファミリーマートの缶ビールコーナーにさらりと置かれたシャンパンゴールドの缶を手に取ったことはないだろうか?

この一見ビールっぽくないデザインからも、これまでのビールとは異なるなにかを発信しようとする姿勢が伝わる

“すそ野を拡げる”から“自分たちが変えていく”へ

2017年10月、「ビールのある日々に新鮮な驚きと楽しさを」というブランドメッセージを掲げ、新しいブランドInnovative Brewerが始動した。新井さんは言う。“このメッセージを通じて『ビールってもっともっとたのしいよ!』ということを伝えていきたい。”

ナショナルブランドだからこその制約も経験し、“今あるものにハメることには何らかのムリがある”と感じた。“ならばどうやればいいのか?”“本気で旨いもの、しかも飲み易いものを作りたい。そうすればビール文化をもっと楽しくできる!飲み手にも楽しんでもらえる!”。

そうして生まれたコンセプトは「ビールの既成概念にとらわれない独創的な価値提案」であり、最初の提案として提示したのはブランドでもビールスタイルでもなく、「ホップを基軸としたビール選び」である。こうして「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」がリリースされた。

 


【発売情報】 公式サイトはこちら
「Innovative Brewer THAT’S HOP Nelson Sauvinの真髄」と「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」の缶ビールは以下のエリアのファミリーマート・ サークルK・サンクスで販売。
東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・茨城県・ 栃木県・群馬県・山梨県・長野県 ※一部店舗では取り扱いのない場合があります。

「Innovative Brewer THAT’S HOP絶妙のMosaic&Citra」は樽生でも以下のサッポロライオン店舗にて販売。
[都内] 銀座ライオン GINZA PLACE店 B1ブラッスリー/BIER KELLER TOKYO 新橋店/ビヤホールライオン 新宿店/THE DUBLINERS’IRISHPUB(ダブリナーズ アイリッシュパブ) 新宿店/釜焼きピザ・イタリアン ブルマーレ/THE DUBLINERS’IRISHPUB(ダブリナーズ アイリッシュパブ) 池袋店/THE DUBLINERS’IRISHPUB(ダブリナーズ アイリッシュパブ) 赤坂店/THE DUBLINERS’IRISHPUB(ダブリナーズ アイリッシュパブ) 品川店/THE DUBLINERS’CAFE&PUB(ダブリナーズ カフェ&パブ)渋谷店/GASTRO-PUB COOPERS(ガストロパブ クーパーズ)丸の内二丁目店
[横浜] BEER NEXT 横浜赤レンガ倉庫店
[名古屋] CRAFT BEER KOYOEN KITTE名古屋店


マスターブリュワーの密かな野望

そんな新井さんはもう一つのラインナップとして「世界に100種以上あるビールスタイルのどれにも属さない、今の世にないビール」を造っている。もちろん提供もしている。ただしごく限られた店舗でだけ。

それが「Craft Label SECRET TAP-銀座コレクション-」だ。


「マスターブリュワーの密かな野望を形にした」と謳うこのシリーズは、2018年1月現在、「銀座ライオンGINZA PLACE店」の地下1階フロア「ブラッスリー」と愛知県・名古屋駅前にある「CRAFT BEER KOYOEN(クラフトビヤ コウヨウエン)KITTE名古屋店」の2店舗限定で樽生のみで提供されている。いずれも数量限定で醸造され順次入れ替わっていくため、現時点ですべてを体験できるわけではないが、これまでのラインナップは発売順に次のようになる。

  1. Mosaic Session W IPA モザイクとシトラの2種類のフレーバーホップの鮮烈な柑橘の香りと、アルコール分4.5%の飲みやすさ。うっとりする香りに最後まで包まれる幸せのセッションIPA。
  2. ライ麦スタウト スタウトらしいローストされた麦の味わいに、ライ麦の芳ばしさとスパイシーさをプラス。アルコールは低めの4.5%。しつこくない旨さを追求した夏を意識したスタウト。
  3. ZZ Bitter コンセプトは『究極の苦味』。大量のホップを使いながら、オート麦を一部使用して味にまろやかさをつけることで、強いけどすっと消える心地よい苦味を実現。めずらしく無濾過(やや濁り)で提供されたが、それは“ホップの苦味を最大限そのままの形で味わっていただきたい”という意図があってのもの。
  4. Barbe Rouge Berry IPA 『ベリー香る新感覚IPA』。麦芽とポップのみで副原料は不使用にもかかわらず、ベリーのような甘いアロマを持ち少し酸味の効いたスッキリとした味わい。最後に苦味がふんわり。
  5. フラノマジカル Session ALE フラノマジカルはソラチエースと同じく北海道で生まれた正真正銘日本のホップ。マンゴーを思わせる香り。
  6. フラノブラン Session WHEAT ウィートエールスタイル。ライムや白ワインを思わせる香りが特長的な北海道生まれのフラノブランホップ100%にライムの果皮を使用した爽快感あふれるビール。
  7. グレープフルーツ&オレンジIPA ホップの香りを引き出しつつ、グレープフルーツとオレンジの果皮の苦味をON。ホップの喉を刺激する苦味とはまた違う、柑橘系のシャープな苦味が楽しめる。華やかな柑橘の香りは実はホップから。アメリカのモザイクとカスケード、そしてニュージーランドのネルソンソーヴィンの3種類を使用。
  8. フラノローザ Red Pilsner ローストしてないのに赤いビール。ホップはサッポロビールが開発したバラの様なフローラルな香りを持つフラノローザホップ100%。赤い液色はRedXという麦芽によるものでローストはしていないため、赤いビール特有の芳ばしい香りや厚みのある香りが抑えられ、まるでローズヒップティや紅茶に似た心地のすいすい飲める味に仕上っている。色と味が脳内で整合できず何度も試さずにいられない不思議。
  9. Polaris Bitter 【現在提供中】 世界的にも最高レベルの苦味を持つドイツ産のポラリスホップとアメリカ産のアポロホップを使い、ライムの果皮をかじったような、爽やかな苦味と香りが楽しめるビール。ほのかにミントを思わせるアロマが香る。

このラインナップ、どうだろうか?サッポロビール系列だからこそ使える特殊なホップ・バリエーションという優位性はあるとはいえ、いわゆるメジャーなホップの効かせ方、季節を意識したモルトの組み合わせなど、興味をひかれる楽しさではないだろうか。ビールのさまざまなスタイルを知っていて飲むと、脳内に凝り固まった自分のビール・イメージのどれにも当てはまらなくてちょっとしたパニックが起きる。それもまた楽しい。
どのビールも特徴はくっきりと出しながらもしつこくそれを主張することはなく、ゴクゴク飲んでアロマや喉ごしを感じることもできるし、ジックリ飲んで口中に拡がる複雑な味わいや後に残る香りや苦みにうっとりと浸ることもできる。きちんと最後まで美味しい。モルトの甘さや複雑さ、重さや軽さ、酵母の醸す香り。それらをどのホップとどのように調和させるか。まさにマスターブリュワー新井さんの真価だ。

経験から生まれる繊細なバランス

『絶妙のモザイク&シトラ』専用グラスで樽生を

例えば、「絶妙のMosaic&Citra」。この世にモザイク・ホップを使ったビールは数多存在する。非常に華やかなアロマの強いわかりやすいホップでファンも多い。だが、とっかかりのアロマが華やかなだけで、飲み始めてしまうと(おや?)と思うほどホップの印象が薄れさらっと消えてしまうもの足りないビールに出会ったことはないだろうか?

「絶妙のMosaic&Citra」はそのあたりのさじ加減がなんとも心地いい。モザイクの華やかな香りを支える重厚さがきちんとある。

新井さんにそのあたりをお尋ねした。

モザイクはとても香りのインパクトのあるホップなんです。でも、使えば使うほど実は不思議と味がペラペラになっていってしまうんですよ。なのでうまく味のバランスを整える必要があるなと感じました。ちょっと重さというか厚みというか、そういうものを足してやりたいなと。
味の厚みを出す方法にはいくつか選択肢があります。たとえば、アルコール度数をあげる、色の付いたモルトで見た目を重くしてロースト香を足すなどが一般的なやり方なんですが、…。ここで敢えて一般的な方法を採らないで、それ以外のアプローチをやってみようと思ったんです。キャラクターの異なるホップを組み合わせることで感覚をコントロールできないかと。これまでヱビスのエクステンションなどに関わってきた経験の中からどのホップならバランスをとってくれるかを考えました。結果シトラを組み合わせることにしました。いい感じに結果が出たと思っています。このバランスを『絶妙』という製品名に込めています。

シークレットタップの開栓式に行こう!

マスタブリュワー新井氏と開栓式でかんぱい!

シークレットタップを知っている人たちの間では、「次はいつだろう?」とそろそろ話題に出る時期になった。特に次回は第10弾、二桁に突入である。いったいどんな驚きに出会えるのだろう。

樽生を限定提供している2店舗では、開栓日には毎回マスターブリュワー新井健司さんが来店し、ビールの解説や醸造の裏話を聞くことができるイベントが実施されている。興味のある方は、Innovative BrewerのFacebookで開栓日の情報を要チェック!

次回の開栓にはぜひみんなで集まってカンパイし、ブリュワーの頭の中をいっしょに覗かせてもらおうじゃありませんか。

【写真提供 Innovative brewer】

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よしのたま

この記事を書いたひと

よしのたま

ビアジャーナリスト

1965年、南信州生まれ。峻険な南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かなリンゴ農家に育つ。1女1男の母。大学卒業後1年間、まだ東西に分裂していた時代に南ドイツに遊学し、各街々の地ワインにハマる。帰国後は、翻訳会社、雑誌編集、組紐製造など好奇心のままに仕事を転々とし今に至る。その好奇心はビールにも顕れ「好きなビールは?」と訊かれた際の返事が同じだったことがない。目下のところ友人のフォトグラファーが連載中のビアエッセイの影響で、アジアのビールに興味津々。趣味は着物だが、茶道や華道といった着物っぽいことには一切通じていないため、結局のところ着物を着てビールを呑みに行くというのが趣味になっている。

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