[ビアバー,ブルワー]2018.6.25

【ビールのある場所】「愛され度世界一」のビールに!「松本ブルワリー」始動!!

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2018年6月18日、長野県松本市に「株式会社 松本ブルワリー」の自社醸造所がオープンした。2016年に設立した同社は、これまで国内クラフトブルワリーで委託醸造にてビールを生産してきたが、この日、晴れて自社醸造所での悲願の初仕込みが行われた。

醸造所オープンを2日後に控えた6月16日、同社代表取締役の林 幸一社長に、醸造所開設までの道のりやビールに乗せた夢、松本ブルワリー開設への想いなどのお話をうかがった。

「ないなら、つくろう」松本ブルワリーができるまで

国宝松本城をバックにビールを飲む。市のシンボル松本城公園で初めて「ビアフェス信州」が開催されたのは、2014年のことだった。青空に映える、白と黒の松本城。遠くにはアルプスの山々。最高のシチュエーションで、初年度は16,000人、翌年は20,000人以上ものビアファンが、思い思いにビールを楽しんだ。

林さんらが実行委員として携わる「ビアフェス信州」。ちょうどこの場所で思い思いにビールを楽しむことができる。

イベントは大盛況のうちに幕を閉じたものの、実行委員を務めていた林さんらにはくすぶる思いがひとつ残っていた。来場者の「松本のビールって、ないんですか?」という声に応えられなかったのだ。そこで2016年1月、林さんは同じく「ビアフェス信州」の実行委員、亀原 和成さん(同社専務)、福澤  崇浩さん(同社常務)、采女 隆博さん(同社醸造顧問)とともに「株式会社松本ブルワリー」を設立。「ないならつくろうということで、松本のビールをつくることにしたのです」(林さん)。

その後、林さんらは松本市内に醸造所候補地を探しながら、いわゆるファントムブルワリーとしてビールをつくり続けてきた。しかし、委託醸造では供給が安定しない。折しも「マツモト トラディショナル ビター」をはじめ、醸すビールはたちまち人気となり欠品が相次いだ。

松本ブルワリーを取り巻く人たちにとって悲願だった自社醸造所が遂にオープン。

醸造所の候補地が決定したのは2017年の7月。「この場所が決まったときは、本当に嬉しかったですね。ようやく自社でビールがつくれると思いました」と、当時を思い出しながら感極まった表情を見せる林さん。2018年3月には無事に醸造免許を取得し、米国からABT社の最新鋭の醸造設備を輸入。そして2018年6月18日、「あなたにAle(Yellエール)を 地域に潤いを!」というブランドコンセプトのもと、松本ブルワリーの新たな歴史がはじまった。

推進力はビールがつなぐ人の縁

「株式会社松本ブルワリー」の社長 林 幸一さんは、松本市内に「MAIN BAR COAT」と「パブリックビアハウス・オールドロック」の2店舗を経営し、自らバーカウンターに立つ。過去には国際的なカクテルコンペティションで優秀な成績をおさめ、松本のバーシーンを牽引してきた。

自分のことを「じっとしていられない性格」と評する林さんは、やわらかな笑顔の下に並々ならぬ情熱を秘めている人物だ。そこに吸い寄せられるかのように、自然と人が集まってくる。

2日後に控えた自社醸造所オープンを前に、終始笑みがこぼれる林さん。穏やかな口調だが、内に秘めたる熱量はすごい。

例えば、松本ブルワリー醸造アドバイザーに就任したロブ・ロブレグリオさん。アメリカでブルワー・オブ・ジ・イヤーをはじめ多くの賞を受賞したロブさんは、自らが立ち上げた醸造所によって、かつて治安が悪かった街を活気あふれる健全な場所に変えた。林さんは「ただビールをつくるのではなく、ビールを通して地域をつくる、街を元気に変える。それこそが我々の理想です」と、ロブさんと志を同じくする。

こうした『仲間』との出会いが、松本ブルワリーの推進力となっている。

地域に愛される「松本のビール」

同社に醸造設備を取り次いだ有限会社マザーバインズの清澤 哲也さんは、松本ブルワリーの今後について「すでにブランドが確立されていて、販路を持っているのが強み」と話す。これまで、松本市内の飲食店・宿泊施設・酒販店を中心に販路を拡げてきた同社のビールは、地元の人からの支持も熱い。困難と思われた資金調達についても、地元の人たちや林さんらのファンが「一緒に夢を実現させましょう」と快く投資に協力してくれたという。

「松本山雅FCの試合の日は、スタジアムに最大で20,000人近くもの人が集まるんです」とは林さんの弁だが、人口約24万人の都市にあってそれだけの人々が地元のクラブチームに熱狂するほど、松本は地域愛の強い街である。そうした場所だからこそ、”おらが街のビール”が必要だ。

名実ともに「松本のビール」を名乗ることができるよう、仕込み水はもちろん、フルーツ王国信州ならではのフルーツを使ったビールや、地元産大麦麦芽、ホップを使ったビールづくりなど、松本ブルワリーはすでに次のステップを見据えている。また、信州が誇る美食 「安曇野放牧豚」にビールの仕込みで出たモルトカスを飼料として与え、そのお肉を使った料理を直営店(タップルーム)で提供するなど、ビールを起点に産業のつながりを生み出そうともしている。

いつしか「地ビール」から「クラフトビール」に呼び名が変わって久しいが、松本ブルワリーには地域に根ざした「地ビール性」と、ビールを愛してやまない人々がつくりあげる「クラフトビール性」両方の側面が見てとれる。なによりも、定義や呼び名はどうでもいい、ひとくち飲めば笑顔になれる、「これは『松本のビール』なのだ」、と林さんの眼差しは物語っている。

北アルプスを望むテラスで至福の1杯を「松本タップルーム本町店」

メインストリートに面した信毎メディアガーデン。松本の今を発信するアンテナショップで買い物をするのも楽しい。

現在、松本ブルワリーは松本市内に2箇所の直営店を持つ。その1つがここ、2018年4月にオープンした「松本ブルワリータップルーム本町店」だ。松本市のメインストリート、本町通りに面した信毎メディアガーデンの3Fに位置するタップルーム本町店からは、松本市街と北アルプスを望むテラスにアクセスできる。

マツモトトラディショナルビター。りんごのような甘やかかつ爽やかな香りが心地いい。

晴れた日は、信州のそよ風に吹かれながら、この地の水が育んだビールを飲む。

これこそ、「松本のビール」の至福の楽しみ方だ。

 

 DATA
名称:松本ブルワリータップルーム 本町店
住所:長野県松本市中央2-20-2 信毎メディアガーデン 3F
営業時間:11:00~22:00
定休日:毎週水曜日
URL:http://matsu-brew.com

 

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宮原とも子

この記事を書いたひと

宮原とも子

ビアジャーナリスト/ビアライター

1979年、愛知県の自然豊かな山あいの里に生まれる。大学進学をきっかけに京都で十数年を過ごしたのち、UKロックとウイスキー好きが高じてイギリスへ。1年間の遊学中にイングリッシュ・エールとパブ文化の虜となる。帰国後、出産を機にフリーライターとなり、お酒、旅行、ビジネスコンテンツなどをウェブメディア等で執筆中。ビールを介して出会う人、場所、物語を通じて、「ビールは楽しい」を伝えていけたらと思っています。

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