[コラム]2019.1.24

【ビアライゼ】ドイツのデュッセルドルフで、アルトを楽しもう!

ビアライゼ、それは美味しいビールを求めて、日本や世界各地をめぐる旅。筆者はビールを求め、ドイツやベルギーなど欧州をよく旅しています。2019年の初めにドイツを旅した際、訪れた都市の1つ、 Düsseldorf(デュッセルドルフ)にて、Alt(アルト)ビールをたっぷり楽しみました。その魅力をお伝えします。

ドイツの都市Düsseldorf(デュッセルドルフ)

デュッセルドルフは、ルール工業地帯の南西部に位置する、ドイツ西部Nordrhein-Westfalen(ノルトライン=ヴェストファーレン)州の州都。ライン・ルール地域の中心都市であり、経済、観光、芸術など様々な分野で有名な都市です。ライン川東岸の旧市街が市の中心部であり、そこから東約1.5Kmにデュッセルドルフ中央駅、北約8Kmにデュッセルドルフ空港があります。そのため、水運、陸路、空路とも交通の要所でもあります。

(左)旧市街 マルクト広場の騎馬像、(右)旧市街各所にある観光案内図、トイレの場所記載など親切

デュッセルドルフには、欧州屈指の日本人街があります。デュッセルドルフ中央駅と旧市街の間にある通りの1つである「 Immermann Str (インマーマン通り)」周辺は、日本語の看板が多数あり、店によっては日本語での会話が通じます。日本料理を扱う店も多く、日本食が恋しくなった場合、ここを訪れると良いでしょう。

Immermann Str (インマーマン通り)周辺、日本語の看板をよく見る

Alt(アルト)

アルトとは

ドイツを観光する際、アルト・シュタットという言葉を聞くことがあると思います。アルト=旧い、シュタット=市街という意味で旧市街の事を指し、どの都市でも観光名所が集まる傾向です。Alt(アルト)とはドイツ語で「旧い」という意味であり、ビアスタイル「アルト」の語源でもあります。ラガー系(下面発酵)ビールが普及する前の「旧い(アルト)」時代の醸造方法が、由来と言われています。
アルトは、上面発酵の酵母を、下面発酵の低い温度帯で醸造するビールです。特徴として、外観は赤褐色もしくは赤銅色。フルーティな香り、ホップによる独特な香りと風味。そして、ホップによる苦味があります。銘柄によっては、苦みの強さ、モルト感、甘さなどの差異があります。飲み口は軽く、飲みやすいです。

アルトビール、グラスの形状・サイズは店によって差異がある

アルトとケルシュ

デュッセルドルフとケルンは、ICE(高速鉄道)で約25分、RE(通常の鉄道)で約40分と近い距離の都市です。それぞれの都市のビールである、アルト(デュッセルドルフ)とケルシュ(ケルン)は競合関係にあり、自分の都市のビールが一番だと譲らないことも有名です。アルトとケルシュは、いずれも上面発酵の酵母を、下面発酵の低い温度帯で醸造するビールありながら、その外観や特徴に大きな差異があります。ケルシュは、「ケルシュ協約」により「ケルシュ」と名乗ることが出来る地域・醸造所を制限されており、注ぐグラスの形状まで指定されています。一方アルトには、そのような制限はありません。そのため、デュイスブルクやミュンスターなど、ライン川やルール川沿いの地域で広く醸造されています。なんと、ケルンでケルシュとアルトを醸造している醸造所もあります。

ケルンで、ケルシュ(左から1番目)とアルト(左から5番目)を醸造している醸造所

デュッセルドルフでアルトを楽しもう

飲むアルトの銘柄・お店を決めよう

アルトは、お店で樽生の提供以外に、ボトルや缶でも販売されています。しかし、デュッセルドルフで飲むのなら、お店でフレッシュな状態で味わいたいですね。その場合、ライン川東岸のデュッセルドルフ旧市街をおススメします。観光スポットであり、狭い範囲に複数の醸造所(元醸造所含む)、醸造所の直営店や老舗のビアレストランが集まっているためです。飲むことが出来る場所や銘柄の候補も多く、複数店を飲み歩くことも容易です。どの醸造所のアルトを飲めるかは、入口や看板付近など目立つところに掲載されており、それをもとに判断することも出来ます。

ご参考までに、代表的なアルトの銘柄として、下記があります。
・Uerige Alt
・Frankenheim Alt
・Schumacher Alt
・Füchschen Alt
・Schlüssel Alt
・Diebels Alt
・Schlösser Alt
など

アルトを味わおう

1.入店

入店の際は、Guten Tag(グーテン・ターク=こんにちは)、Guten Abend(グーテン アーベント=こんばんは)、もしくは「Hallo(ハロー)」と挨拶します。入口付近にスタンディング席、奥にテーブル席がある店が多く、食事もあわせて楽しむのなら、テーブル席を推奨します。予約がある場合、店員に伝えて席へ案内してもらいます。予約がない場合、店員に一声かけましょう。店によって、「店員による案内」、もしくは「空いている席に座っていいよ」と言われ、自分で席を探して座る場合があります。

2.アルトをオーダーする

デュッセルドルフのビールは、アルトが主です。 店員に「ビールを下さい(ドイツ語でBier bitte、発音はビアー ビッテ)」と言えば、アルトが来ます。この際、親指を立てて(ケルシュを1杯欲しいことを伝える)、オーダーすると良いでしょう。店によっては、アルト以外も扱っている場合もあり、メニューもしくは店員に確認しましょう。アルトの提供は、ケルシュと同様のシュタンゲ(200mlサイズの細い円柱状のグラス)もあれば、250mlや500mlのグラスなど店によって異なります。

(右)250mlグラスのケルシュ、(右)複数のアルト、複数のサイズ(250ml、500ml)で提供するお店もある

3.アルトをおかわりする

グラスが空になれば、新しいアルトが提供されます。まるで「わんこそば」です。店によっては「おかわりで良いか」を、確認してくれる場合があります。アルト提供の際、コースターにペンで線が書かれます。この線の数が、アルトを飲んだ杯数を表します。この仕組みは、ケルンのケルシュと同じです。

(左)グラスが空になると・・・、(右)新しいアルトが提供され、杯数分コースターに線が書かれる

4.アルトを味わうのを終える

アルトを飲み終える場合は、グラスの上にコースターを置きます。すると、店員が来て、コースターに書かれている線の数(飲んだ杯数)を元に、金額を計算をしてくれます。

アルトの杯数は線で数える、他の注文は直接金額を書かれる場合あり

5.支払い~店を出る。

基本的に、テーブルでの支払いです。金額は、コースターに直接書かれるか、レシートなどで伝えられます。提示された内容を確認し、店員に支払いを済ませましょう。その際は、サービスに応じて、チップを渡すと喜ばれます。そして、店を出るとき、Tschüss(チュース=カジュアルなさよなら)と挨拶しましょう。

デュッセルドルフで、アルトを飲む醍醐味

日本に輸入されているアルトの銘柄もあり、国内でアルトを飲むことは可能です。しかし、フレッシュな状態でアルトを飲むことが出来るのは、現地のみです。デュッセルドルフ旧市街は、アルトを手軽に複数味わえるので、訪れることをおススメします。また、デュッセルドルフ旧市街以外にも、アルトを提供するお店や醸造所はあるので、時間に余裕があれば足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

この記事が素敵なビールとの出逢いに役立てれば幸いです。

例:(左)オーバーカッセルのBrauhaus Alterbahnhof、(右)ニダーカッセルのBrauhaus Joh. Albrecht

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

Atsushi Taguchi(田口 篤史)

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビール大好き!ビールを求めドイツやベルギーを中心にヨーロッパをよく旅していました。
世界にも日本国内にも、素敵なビールはまだまだたくさんありますので、巡りたいところは尽きません。
ビールの素晴らしさ、楽しさを多くの人に伝えていきたいと思います。
Enjoy!Beer!

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