[ブルワー,新商品情報]2019.3.20

「最初の1杯」をどう選ぶ? その瞬間に全てを捧げた1杯目専用ビール「八ヶ岳ビールタッチダウン ファーストダウン」

「最初の1杯」って、どんな基準で選びますか?

醸造所やお店の看板商品?
季節限定や数量限定のレアもの?
有名な審査会で1位をとったビール?
あるいは日本初上陸の目新しい味?

馴染みのお店であれば、珍しいコラボビールや面白い試みのあるもの、ブルワーの自信作など、その人にとって付加価値の高い1杯が選ばれることでしょう。迷う場合は、専門店であればプロが好みや気分、ビールのコンディションに応じて最適解を導き出してくれます。

私は「最初の1杯」を決めるのに時間がかかります。とてもとても迷います。
お店で飲む機会がそれほど多くはないので、貴重な外飲みで失敗したくないからです。

いずれにしても、「最初1杯」
ビアラバーにとって、これほど重要なものはありません。

初めて訪れる店であれば、そのままそこで飲み続けるか、しばらくやり過ごして2軒目に期待を寄せるか、その1杯がその後の行動を決めますし、そもそもあまり飲まない人の場合は最初の1杯での失敗は致命的。まず次の機会はないでしょう。味覚や嗅覚がクリアで酔いもない、正常な判断能力がある状態で味わうビールが最高においしいものであれば、その後の幸せも約束されたようなもの。だから「1杯目専用ビール」とこれほどまでにストレートで言われたら、そのネーミングの潔さに胸を打たれて迷わずそれを選ぶでしょう。

長い前置きへのお付き合い、ありがとうございました。
本題はここから。

それだけ大事な「最初の1杯」を「最高の1杯」にするために、培った経験と技術と知識、材料と、全てを注ぎ込んで「1杯目専用」に振り切ったビールを造ろうとするブルワリー。

「八ヶ岳タッチダウンビール」で知られる、山梨県北杜市清里「萌木の村」にある八ヶ岳ブルワリーが、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でビールプロジェクトを始めました。

「世界最高賞の職人の1杯目専用生ビールで清里を元気に|八ヶ岳ビールファーストダウン」

 

おかわり禁止の1杯目専用ビール「ファーストダウン」

プロジェクト詳細やブルワリーについてはプロジェクトページでご確認いただくとして、企画を要約すると、

「地元米と八ヶ岳の名水、最高級のザーツホップのみを使い、定番商品を超えるピルスナーで地域の強みを最大限に引き出して、多くの人に清里を訪れてもらいたい」

というもの。
かつてはリゾート高原ブームでにぎわった清里ですが、バブル崩壊とともに観光客は激減。周辺の店が次々と閉店して閑散とする中、ブルワリーレストラン「萌木の村 ROCK」は創業から20年に渡り清里のシンボルとして人気を集めています。2016年8月の火災全焼からわずか1年で復活を遂げることができたのは、清里高原を開拓したポール・ラッシュ博士から受け継ぐスタッフの不屈の精神に加えて、八ヶ岳タッチダウンビールの品質の高さも大きな要因。八ヶ岳ブルワリーの看板商品である「タッチダウン ピルスナー」は、今年1月に開催された現役ブルワーによる審査会「JAPAN BREWERS CUP 2019」のピルスナー部門で第3位に輝いています。

――と、ここで賞レースの実績を並べても、味なんて飲んでみないと伝わらないもの。
それでも伝えたいのは、自分がクラフトビールを好んで飲むようになったきっかけは他でもない、タッチダウンのピルスナーだということ。ビールの多様性を感じる他のビアスタイルでもなく、とりあえずビールの1杯、いわゆる当時の大手ピルスナーを格段に上回る、突き抜けたおいしさ。クリアで雑味のない、清里の空のように澄み切ったピルスナーでした。
今回は、それを超える最高のビールを造ろうとするプロジェクトです。

ここまで書いて、皆さんにある種の疑問が芽生えるのもわかります。

「結局、定番商品とどう違うの?」
「どんな定義をもって『最高』と言えるの?」

気になりますよね、わかります。
なんだかんだいっても、飲み手として重要なのは投資するだけの価値を感じられるかどうか。大事なのはそこです。妄信的なファンのゴリ押しに聞こるのは不本意なので、八ヶ岳ブルワリーの松岡風人ヘッドブルワーに「ファーストダウン」について聞いてみました。

最初の1杯を、最高の1杯にするために

――「八ヶ岳ビール ファーストダウン」、どんな味わいのビールか教えてください。

松岡氏「スタイルはピルスナーです。お米を使用しているので、あえて言うなら『ライスビア』というところでしょうか。お米を使うことで日本人好みのまろやかな味わいに仕上げます」
※タッチダウン ピルスナー(ジャーマンピルスナー)では米は未使用。


―― 「清里ラガー」にもお米が使われていますが、違いはあるんでしょうか?

松岡氏「清里ラガーで使っているのも同じ『梨北米』ですが、清里ラガーはお煎餅や味噌、醤油などの加工品に使う『加工米』を使っています。今回ファーストダウンで使うのは食用米。でんぷん質が豊富でうまみ成分の多い米を使っています。さらに米との相性が良く、優れた酵素活性をもつカナダ産麦芽を使って1杯目にぴったりな爽やかな喉越しとまろやかな飲み口を意識しています」。
※「米」と一口にいっても、主食用として使われる食用米と加工に使う加工米では品質が異なる。加工米は割れや欠けなど見た目のバラつきに加えて、炊いたときの甘さや硬さ、粘りなどの食味も違うため、食用米の方が高価でコストがかかる。

―― では、使うホップは?

松岡氏「基本的に当ブルワリーのビールはすべて、ドイツ産ホップをブレンドして使っていますが、ファーストダウンでは1種類のみ。ラガーとの相性が抜群に良いチェコ産のザーツホップ100%にしました。炭酸もやや強めにして、上品なホップアロマが鼻に抜けやすいように設計しています」

―― 醸造で意識したこと、仕込み段階での印象は?

松岡氏「清里ラガーのレシピをベースにしながらも、よりすっきりさせるのはもちろんのこと、苦味を抑えてキレを出すためのプログラムに変えています。でんぷんを多く含む米を使ったせいか発酵が旺盛ですね。糖化が順調で、想定より早く主発酵が進みました。目指すゴールに向けてビールがおいしく育っている証です!」

「梨北米(りほくまい)」とは、八ヶ岳南麓に位置するJA梨北管内で生産され、ミネラル豊富な南アルプスの名水と甲府盆地特有の寒暖差、日本でトップクラスを誇る日照時間で育てられたうま味の多いお米(※)。日本穀物検定協会主催の食味ランキングで、最高ランク「特A」を10回取得、平成20年にはあの「魚沼産こしひかり」をおさえて、日本一おいしいお米に選ばれたブランド米です(※「JA全農やまなし」HPから要約抜粋)。

そしてイギリスで開催された「World Beer Awards 2016」の「World Best Rice」部門で世界最高賞に輝いた「清里ラガー」。この「清里ラガー」をレシピベースにしつつ、さらに材料を厳選して洗練させたビールが「ファーストダウン」です。

 

「ファーストダウン」で清里を盛り上げたい

リターンは4千円~5万円まで5種類、飲み比べやペアリングセットも

プロジェクトは4月12日(金)23:59まで
目標金額未満でもリターンが実行されるAll-in方式です。

リターンは「八ヶ岳ビール タッチダウン ファーストダウン6本セット」(4千円)から、ROCKの名物カレーやソーセージとの詰め合わせ、定番商品とたっぷり飲み比べられる「八ヶ岳ビール タッチダウン 飲み比べ90本セット」(5万円)まで5種類。支援金は新商品の開発資金やプロモーションに活用されます。予定では「ファーストダウン」が飲めるのは、プロジェクトのリターンとレストラン限定発売とのこと(6月以降は外販も検討)。

「『1杯目のビールとしてどんなビールが最適なのか』、それだけを考えて造りました。僕自身も1杯目のビールが大好きで、ビールが一番おいしいと思える瞬間です。前代未聞の試みで不安もありますが、清里でその瞬間を皆さんと共有できるのであれば、ビール職人としてこれほどうれしいことはありません。ぜひ最高の1杯目のビールを飲んでください! そして今年も山梨県の『Far Yeast Brewing』とのコラボ第2弾や『うちゅうブルーイング』との初コラボ、北杜市産ホップ100%のピルスナーやフルーツビールなど、さまざまなチャレンジを予定しています。少しずつレベルアップしていきますので、よろしくお願いいたします!」

八ヶ岳ブルワリーのヘッドブルワー松岡風人氏【画像提供/CAMPFIREプロジェクトページ】

ブルワーがもてる力のすべてを注ぎ込み、ファーストビールだけに振り切ったビールの完成は5月上旬。
爽やかな初夏の風の中で味わうにはまたとない、「八ヶ岳ビールタッチダウン ファーストダウン」で、最初の1杯目を最高の体験に!

■ブルワリー情報
八ヶ岳ブルワリー 醸造部
住所:山梨県北杜市高根町清里3545 萌木の村
電話:0551-20-7552
FAX:050-3730-5799
公式HP:https://www.yatsugatake-beer.com/
公式FB:https://www.facebook.com/yatsugatakebeer/
メール:beer-td@moeginomura.co.jp

※プロジェクトの進捗はプロジェクトページの活動報告でご確認ください。

クラウドファンディング八ヶ岳タッチダウン八ヶ岳タッチダウンビール八ヶ岳ブルワリー山梨県清里

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

山口 紗佳

ビアジャーナリスト/ライター

1982年愛知県知多半島出身、大分県大分市在住。中央大学法学部卒業。
名古屋で結婚情報誌制作に携わった後、東京の編集プロダクションで企業広報、教育文化、グルメ、健康美容、アニメなど多媒体の編集制作を経て静岡で10年間フリーライターとして活動。現在は大分拠点に九州のビール事情をお伝えします。

【制作実績】
フリーペーパー『静岡クラフトビアマップ県Ver.』、書籍『世界が憧れる日本酒78』(CCCメディアハウス)、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、グルメ情報サイト『メシ通』(リクルート)、ブルワリーのウェブサイトやPR制作等

【メディア出演】
静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」
静岡FMラジオ局k-mix「おひるま協同組合」
UTYテレビ山梨「UTYスペシャル ビールは山梨から始まった!?」
静岡新聞「県内地ビール 地図で配信」「こちら女性編集室(こち女)」等

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