[ブルワー]2019.5.12

ビア女の酒場放浪記(51)平成から令和へ、お伊勢参りで伊勢角屋麦酒【後編】

The International Brewers Awardビア女の酒場放浪記伊勢神宮伊勢角屋麦酒旅ール

【前編】では、お伊勢参りと、直営店で楽しめる伊勢角屋麦酒×地元フードのペアリングをご紹介しました。
お次は、伊勢で世界に羽ばたくクラフトビールを造る伊勢角屋麦酒の醸造所を旅します。

その前に、豆知識。
伊勢角屋麦酒を造る「二軒茶屋餅角屋本店」の創業は1575年!
織田信長・徳川家康ら活躍した戦国時代の末期です。

伊勢神宮へ参拝する海路であった船着場の近くで、旅人をお茶やお菓子でもてなす「茶屋」として始まりました。

古い時代「湊屋」と「角屋」の2軒の茶屋があった。その場所が「二軒茶屋」という地名になり、茶菓子が「二軒茶屋餅」呼ばれるようになった、と伝えられている

1923年(大正12年)からは味噌や醤油を醸造。
現在も昔ながらの天然醸造で、伊勢うどんのつゆなどに使われるたまり醤油や味噌、素朴な餅を作り続けています。

伝統の醸造技術を基に、21代目当主の鈴木成宗さんが伊勢市神久にクラフトビール醸造所「伊勢角屋麦酒」を立ち上げたのは1997年のこと。
造ってもなかなかビールが売れない辛い時期もあったということですが、今では世界が称賛する人気醸造所です。
その秘密を知るべく、醸造所を見学させていただきました。

伊勢市神久の新醸造所

下野の新醸造所でもゴールドメダル獲得

訪れたのは昨年2018年7月に稼働を始めたばかりの、下野新醸造所。
ピカピカに磨かれた2,000リットルのタンクが並ぶさらに奥には、さらに4,000リットルの発酵熟成タンク10本がどどーんと設置されています。
新醸造所では1回につき4,000リットルのビールが仕込めるようになりました。

今年の夏にはさらに8,000Lの発酵・貯蔵タンク4本の増設が予定されている

1回の仕込みに1トン前後の麦芽を使用する。麦芽は20種類ストックされており、液種によって組み合わせている

現在は週に3~4回のペースでビールの仕込みが行われており、10日間ほどの発酵、3週間ほどの熟成期間を経て出荷されています。
設備が大きくなったことで、20種類のビールを同時に造れるようになりました。
年間で40種類ほどのビールをリリースを計画しています。

「とはいえ、一回の仕込み量が多い分失敗は許されません。最初に新商品を仕込むときはいつもより緊張しますね」とブルワーの佐々木基岐さん。

醸造設備はドイツのロレック社のもの。手前から、糖化釜、麦汁濾過槽、煮沸釜、ワールプール槽が連続して並び、熱交換器を通って発酵タンクへ送られる

「使い慣れない設備に当初は苦戦した」とのことですが、新醸造所で造られたペールエールが今年3月に行われたビール界のオスカー賞といわれる「The International Brewers Award」(IBA)で金賞を受賞しました。

伊勢角屋麦酒のフラッグシップ「ペールエール」。通称「いせぺ」

前回大会の2017年にも神久醸造所で造られたものが受賞しており、2大会連続の受賞です。
神久醸造所、下野の新醸造所の2つの醸造所で受賞、さらには平成と令和での受賞になりました!

「The International Brewers Award2109」で2つの賞を獲得!5月1日ロンドンでの授賞式での一コマ。左)出口善一ヘッドブルワー 右)佐々木基岐ブルワー【写真提供:出口善一さん】

伊勢角屋麦酒、唯一無二のビールの秘密

伊勢角屋麦酒では、世界に認められる高品質のビールを造り続けるために、徹底した品質管理を自社で行える仕組みがあります。
審査員資格を持ったスタッフによる官能検査を繰り返し行い、
さらにビール醸造を理論的に捉えられるよう、専門的な知識を持ったスタッフによる検査・分析・酵母培養が行われていました。

ビール醸造の主役「酵母」も然り。
最良の状態で培養、適量を投入し、各工程での検査分析をかけ、繊細なビールへの細やかな品質管理が日々行われています。

また、伊勢角屋麦酒だけの“特別な酵母”の存在もあります。
「ヒメホワイト」に使用された酵母「KADOYA 01」は伊勢神宮別宮の「倭姫宮」(やまとめのみや)近くの樫の木の樹液から取り出したもの。伊勢神宮の神秘的な力も感じます。
こちらも、IBA2019のSpeciality Wheat Beer部門で銅賞受賞です!

柚子の皮が香る「ヒメホワイト」

東京農大により花びらから採取された酵母を使用した「花酵母シリーズ」など、
自然界の様々な場所や植物などから酵母を採取、培養することによって造りだされる唯一無二のビールは人気です。

22周年イベントで挨拶をする社長の鈴木成宗さん。農学部卒の“酵母ハンター”だ。微生物に造詣が深く、伊勢市内の森の木の樹液から採取した酵母をビール醸造に活用し、2017年にはこの研究で博士号を取得している

さらに、最近ビアファンをざわつかせているのは、高品質なホップを駆使したIPAシリーズ。

ホップは、同じ品種でも収穫の年や場所によって香りと苦みの成分が変化するため、細心の注意を払って選び、丁寧に使用している

「Neko Nihiki」は、白濁した外観とトロピカルジュースのようなジューシーな香り、苦みを抑えた柔らかな飲み心地が特徴で、発売と共に予約が殺到する人気商品。
アメリカのカルミネーション醸造所とのコラボビールで、ホップが贅沢に投入されています。

22周年を記念して、22種類ものホップを使用して醸造された「22HOPS NewEngland IPA」

醸造所も拡大してますます活躍しそうな伊勢角屋麦酒
伊勢神宮の雰囲気丸ごと味わって頂きたいところ。
お伊勢参りと一緒に伊勢角屋麦酒参りはいかがでしょうか?

旅に行けない方は、通販でお取り寄せしておウチで味わうこともできますよ。
下野新醸造所の詳細は木暮亮さんのこちらの記事をご覧ください。

神聖な雰囲気が漂う伊勢の内宮

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この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。
ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして雑誌『ビール王国』、海外生活情報誌『ドイツニュースダイジェスト』など様々なメディアで執筆。『ビールの図鑑』『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のビールが飲める120店』(エンターブレイン)など。

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