[イベント,コラム]2019.6.20

新しい創造性から生まれる夢のビールに出会える素敵な機会 【Hood to Fujiからコラボレーションの意味を考える】

HOOD TO FUJIコラボレーションビール

こんなにも早く日本でこのイベントが実現するとは思わなかった。2019年6月8日と9日の2日間開催された「Hood to Fuji」だ。

昨年4月にポートランドで初めて開催されたオレゴン州と日本のブルワリーがコラボレーションするイベント「Fuji to Hood」。複数のブルワリー、しかも異国のブルワリーが一同にコラボビールをつくるという斬新な企画は、現地のビアギークを大興奮させた。

オレゴン州、特にポートランドといえば日本のファンの間でもクラフトビールが盛んな地域として有名である。このイベントが日本で開催されたら業界がもっと発展するのではないかと期待を寄せていた。それぐらい価値ある試みだと思っていた。

結果からいうと日本でも大盛況だった。どんな感じだったかはSPRING VALLEY BREWERYのブログを見てほしい。

そもそも何のためにコラボレーションをするのか?

素晴らしいビールが揃った「Hood to Fuji」。楽しかったというのが正直な感想だ。と、同時にイベントに参加していて「コラボレーションをする意味は何なのか?」という疑問も湧いてきた。

最近では、ブルワリーのコラボレーションは珍しくない。「〇〇とコラボしました」というビールはよく見かける。「へぇ〜、そうなんだ」と思うのもあれば「うわぁ、このビールは飲んでみたい!」と思うものもある。自分の中にあるこの差はなんだろうとイベント中にブルワーや来場者に「コラボレーションで得られるものは何か」を聞いてみることにした。

16のコラボビールと1のサイダー。どれもコンセプトが明確でメッセージが分かりやすかった。

自分たちの知らない技術や価値を知ることができる

ブルワーに聞いて両国に共通していたのは「自分たちが知らない技術や普段やらないテクニックを学べる」ことだった。ブルワリーそれぞれにコンセプトがあり、それに基づいたビールを醸造している。

しかし、それだけだと常に似たようなビールになってしまう。そこに普段使わない技法を取り入れることで、今までにないビールをつくりだすことができる。新しいビールを生み出すことができれば、ブルワリーにとっても新たな価値を築くことができる。

オレゴン州のブルワーからは「新たな価値をつくれれば、今まで自分たちに関心がなかった顧客の獲得にもつながる」とメリットを話す。

ブルワー同士のコミュニケーションも頻繁にみられた。

もう1つ興味深かったのが、向こうのブルワーが話をしてくれたビジネス的な視点。

「普段、自分たちではつくらないスタイルのビールを醸造することでマーケティングにもなります」。

コンセプトであるビールをつくることが基本であるが、趣味ではなく商売としている以上、経営のことは考えなくてはならない。趣旨の異なるブルワリーと醸造することで、飲み手がどんなビールを求めているかを知る上でコラボは貴重な機会になるという。コラボレーションには、どんなスタイルや味が好まれているのかを知るチャンスであるわけだ。

Hood to Fujiでは、ブルワーも一緒に飲みながら楽しむスタイル。他のビールイベントよりも近い距離でブルワーとコミュニケーションをとることができたので、お互い思いを伝えやすかったのではないだろうか。

新しいチャレンジにより今までにないビールが楽しめる

一方、飲み手はコラボレーションについてどのように思っているのだろうか?

会場で、お客さんに聞いてみると「普段とは違うスタイルのビールが飲めるが楽しみ」「ホップの使い方が上手いとかサワービールをつくるのが上手など長所の異なるブルワリーが組むことで、新しい試みを楽しめる」「自分の知らないブルワリーを知ることができる」と多くはブルワリー側と一致した回答だった。

来場者も色々なブルワリーの特徴を知るいい機会になったと思う。

話が脱線するが私自身は格闘技が好きで、良く「〇〇選手と〇〇選手が試合したら面白そうだなぁ〜」と空想をしていて、ビールについても「〇〇ブルワリーと〇〇ブルワリーがコラボしたらどんなビールが生まれるのだろう」と考えている。普段、交わることがないもの同士が手を取り合うことで生まれる反応は確かに胸が躍るものがある。

会場にいたビアジャーナリストにも聞いてみると「コラボレーションにより生まれる期待感」(神山タクロウ)や「美味しいビールが飲めるうえ、ブルワリーの新しい側面を垣間見たり、さらなるブルワリーを知ることができたりして、一石二鳥以上の体験ができる」(キノシタカナコ)という意見が聞かれた。

逆にみるとファンが意義を見出せないコラボレーションは、つくり手同士の技術を深め合うことは可能であるが、商品としては良い反応が得られない恐れもある。

コラボビールのメリットをまとめると

【ブルワリー側】

・自分たちが知らない技術を学ぶことができる

・普段つくらないビールを醸造することで、マーケティングになる

・認知度が高まる

・新たなファンを獲得し、コミュニティが広がる

【飲み手】

・ブルワリーのコンセプトとは異なるビールに出会える

・長所の異なるブルワリーが組むことで、チャレンジを楽しめる

・知らないブルワリーを知ることができる

「Hood to Fuji」は、日本とオレゴン州のブルワリーによるコラボレーションであったが、今後、国内同士はもとより他国のブルワリーとの協業もあるだろう。すでに次のコラボビールについて話をしているブルワリーもあるという。会場のいたる所では、ブルワー同士が会話をする姿が頻繁にみられた。「レシピとか内情を惜しげもなく伝えあっているのが信じられない」と、その風景を見ていた人は驚いた様子だった。ライバルでありながら業界を支え合う仲間としての意識が強いこともクラフトビール業界の良さである。

互いの発展のために積極的な交流が生まれるのはクラフトビール界の特徴の1つと言っていいだろう。

コラボレーションビール。それはつくり手にも飲み手にも夢が広がるワクワクするビール。次は、どんなコラボビールが私たちの期待感を膨らましてくれるのか。楽しみにしたい。

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05007木暮 亮

この記事を書いたひと

木暮 亮

ビアジャーナリスト

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは2000種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ ●DIME
<Web>
●SUUMOジャーナル

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