[イベント]2019.8.6

街作りの新しいツールとなるか 風景に溶け込むビール

T.Y.HARBOR BREWERYマルシェ浦和浦和レッズ

 地域を盛り上げる街作りにビールを掛け合わせる取り組みと聞くと、国内におけるクラフトビールの変遷に多少知識がある人であれば、いわゆる地ビール解禁の時に、地域活性化等に伴って生まれた地ビールを連想する人も居るのではないだろうか。
過去に地ビールと呼ばれたものには、地域に所縁のある食材などを使用した、奇抜さや話題性に偏って特化していたり、技術面が伴っていなかったりなど、美味しさや品質が二の次となる商品が増えてしまった過去がある。
結果、「地ビール=美味しくない」を消費者に刷り込んでしまう商品が生まれてしまった、過去の失敗の象徴とも言えるものだ。

 令和を迎えた現在、再び、街作りとビールは各地で多様な可能性を見せ始めている。
その一つとして、浦和で街作りに関連してオリジナルビールを造ると聞いて、仕込みに立ち会ってきた。
 浦和のこの取り組みが、過去の二の舞にはならないと信じさせてくれる、たくさんのエッセンスで溢れている様子を示してくれた。
新しい時代における、街作りとビールの今までとは異なる関わり方を見てみよう。

【発起人がすごい】

 街を盛り上げようとする人たちは、どんな人たちだろう。
多くの場合は役所などの行政関係者だったり、商店街の集まりであったりするかもしれない。
浦和で街作りを企んでいるのは、浦和に住むパパ友4人で構成される「一般社団法人うらわClip(以下、うらわClip)」だ。
構成しているパパたちは、昼は都内に働きに出て、浦和には夜、寝に帰るだけの生活を送っている事に違和感を覚えるようになった。
子どもたちが将来思い出す故郷としての浦和の風景を、自分たちで作り、育てていきたいという気持ちから昨年より活動を開始し、今年2月に一般社団法人化した。

うらわClipのメンバー(両サイド2名)と醸造に参加した鈴木さん(中央)

 街の魅力的な個人商店を始め、浦和に根付いた大手企業も、彼らの活動を支援している。
うらわClip主催で行われる夏のイベント「うらわLOOP☆ナイトマルシェ2019(詳細は後述・以下、ナイトマルシェ)」が8月に行われる予定で、完成したビールはこの時お披露目される。
個人商店はイベントへの出店でナイトマルシェをにぎやかに。
大手企業はナイトマルシェ開催時に使用する電力の供給やイベントの告知など、大手ならではの力でサポートをする。
 浦和に愛着のある人たちが、それぞれの立ち位置で自分たちにできる応援の仕方をしていることがわかる。
街全体を大きく巻き込んだ取り組みへと深化させたうらわClipこそが、今回の街作り×ビールの発起人である。

【サポート面が盤石】

 浦和でオリジナルビールを仕込むべく、うらわClipのメンバーが頼ったのが、浦和にあるビアバー「Beernova Urawa(ビアノヴァ ウラワ)」の店主、小林健太さんだった。
飲む事は大好きなうらわClipのメンバーたちだが、醸造に関しては全くの素人。知識やコネクションなどは当然持ち合わせていない。
業界を熟知し、横の繋がりの広い小林さんがプロデュースに入ることで、オリジナルビールを仕込む具体的な方策が練られていき、うらわClipだけでは成し得なかったオリジナルビール造りが一気に現実味を帯びる。

 醸造の面で支えるのは、T.Y.HARBOR BREWERYでブルーマスターをされている阿部和永さんだ。
なんと阿部さん、南浦和の出身で、小林さんとの交流は、Jリーグの浦和レッズのサポーター同士という繋がりから始まっている。
 またここにも、浦和愛に溢れている人がいた。
数えきれない経験値と、完璧なレシピを基にベテランの醸造家が仕込んだビールなら、品質は約束されたも同然。
 完成が待ち遠しくなる。

ベテラン醸造家によって徹底的に管理され、ビールは造り上げられていく。

【注目度が熱い】

 オリジナルビールがお披露目されるイベント、うらわClipによるナイトマルシェは、今年で第2回。
昨年の第1回は、企画立案から実施までを約1ヶ月で駆け抜けた。
それにもかかわらず、イベント当日は1200人を超える来場者で賑わい、各種メディアからも取り上げられる事態となった。
今年の第2回は、すでに各所からの問い合わせも多く、昨年を上回る来場者を見込んでいる。

 そしてこのイベントに熱い熱い視線を送っている人がもう一人。
元浦和レッズの選手、鈴木啓太さんだ。
 鈴木さんが「Beernova Urawa」に来店した際に今回の取り組みを小林さんから聞き、現在代表取締役をされているAuB株式会社の事業との親和性もあり、興味津津に。
オリジナルビールの仕込みにお誘いし、鈴木さんとのコラボレーションが実現した。
浦和と相思相愛な鈴木さんが仕込みに参加したオリジナルビールが、浦和の土地から愛されるビールになる様子が目に浮かぶ。
 仕込んだビールがお披露目されるイベント当日に、駆け付ける予定でいてくれているのも心強い。
初めての醸造に立ち会った感想を、本人の口から聞ける貴重な機会になり、ますます注目度は高まる。

粉砕した麦芽を投入したところ。
初めてだらけの経験にわくわくされているようで、終始笑顔がこぼれる鈴木さん。

【お披露目イベントへの期待感】

 今回仕込んだスタイルは、この時期らしいセゾンだ。
ハニーモルトを使用し、さらに蜂蜜を加える事で、身体への優しさと同時に女性へのアプローチも意識している。
ドリンカビリティとベルギーらしいスパイシーさを目指し、アルコールは5.5~6%を予定している。

 仕込んだセゾンは、8/7(水)に実施される「うらわLOOP☆ナイトマルシェ2019」にてお披露目される。
このイベントはうらわClipが、大人と子どもが共に楽しめる空間を創りたいと考え、企画された。
 ナイトマルシェへの出店は、浦和で質の高い商品やサービスを提供している個人商店が担当し、焼き菓子やかき氷、生花やコーヒーなど、お洒落なナイトマルシェをみんなで創る。
また、子どもたちが水遊びをできる場所や、子どもたちが主体の屋台も出るとのことで、夏休みの思い出の1ページとなりそうだ。
 さらに当日はJAZZセッションがライブ演奏され、マルシェを盛り上げてくれるのも楽しみなコンテンツの一つだ。

 そんな空間で、夕暮れが美しいマジックアワーに飲む一杯。
その一杯のクラフトビールが、このナイトマルシェを「子どもたちだけが楽しむ」お祭りではなく、大人にとっても上質な時間を約束してくれるツールとなるだろう。

うらわLOOP☆ナイトマルシェ2019 ポスター
可愛らしい雰囲気に、当日への期待が高まる。

【土地への想いを具現化するということ】

 想いを込められたクラフトビールは、今までとは違った形で街の繋がりを作ろうとする人たちにとって、新しいコミュニケーションツールとして映るのだと思う。
乾杯によって、その場に居る人との間に絆ができたり、誰かの中では大事な思い出になっていたり。
乾杯の瞬間には、見えない何かを生み出す力が秘められているのかもしれない。
 夏の夕暮れというエモーショナルな時間を自分にとって所縁のある場所で過ごす時、手元にはその土地を愛する人たちが造ったクラフトビールを。
今後はそんな風景がもっと広がっていくかもしれない。

うらわLOOP☆ナイトマルシェ2019
日時:2019年8月7日(水) 15:00~20:00
場所:埼玉県さいたま市浦和区常磐6-4-4(さいたま市役所本庁舎東憩いの広場)
WEB:https://urawaclip.localinfo.jp/ お問い合わせ:urawaclip@gmail.com
主催:一般社団法人うらわClip 
後援:さいたま市
※小雨決行。荒天時は中止とすることがございます。
※鈴木啓太さんのイベントへの来場は予定となります。変更になる可能性がありますので予めご了承ください。

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乾杯ちゃん(大澤亜季乃)

この記事を書いたひと

乾杯ちゃん(大澤亜季乃)

ビアジャーナリスト

1991年東京生まれ(町田市)
立教大学文学部卒業
普段は都内OL アフター5は宅飲みが定番
全国地ビールフェスティバル一関にて国内のクラフトビールの盛り上がりを目の当たりにし、ビール好きが一気に加速。
特に若年層にビールの楽しさを広めたいと考え、主にInstagramにて、ほぼ毎日ビール愛に溢れた投稿活動を行う。クラフトビールが文化になるお手伝いを目指し、乾杯を重ねていきます。
Instagram:aki.b.94

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