[コラム,新商品情報]2020.7.30

これが令和! 10年ぶりにリニューアルの 新旧「キリンラガービール」飲み比べレポート

2020年上半期のビール大手4社のビール類推定シェアで、アサヒを抜いて11年ぶりにキリンビールが首位となりました。そのキリンビールの原点と言われるのが、「キリンラガービール」。軸と言えるこのビールが、この2020年7月、10年ぶりにリニューアルしています。
さあ、どんなビールに生まれ変わったのか、ひと足早く?飲み比べしてみました!
キリンラガービール

もちろん知ってる?キリンラガービールの歴史

遡ること今から130年以上前、このビールは日本にまだビールが広く普及していなかった1888(明治21)年に、キリンビールの前身である、ジャパン・ブルワリー・カンパニーから「キリンビール」というブランドで発売されました。その後、ビールの本場ドイツから設備を取り寄せドイツ人醸造技師を招き、さらなる本格ビールの醸造をを目指します。そして「キリンラガービール」と名称を変更し、以来130年以上飲み継がれてきたという、まさにキリンビールの歴史そのもののビールなのです。

 ↓もっとどっぷり深掘りしたい人はぜひこちらをご覧ください。
 https://www.kirin.co.jp/products/beer/lager/130cp/general/

さあ、実飲!新旧の違いは…?

「キリンラガービール」を私がひと言で表現するならば「苦いビール」。まさにラガービールの特長を体現していると思います。私はこれまで一貫して、このイメージを「キリンラガービール」へ抱いてきましたが、今回のリニューアルは10年ぶりとなり、長く生き抜いてきたこのビールは、時代の嗜好に合わせブラッシュアップを重ねてきました。

〔パッケージ〕
まず正面。パッと見ると一見変わってないようにも錯覚しますが、左が「旧」、右が「新」です。さ〜て、変わったところはいくつあるでしょうか?
キリンラガービール

最初に気づくのは、麒麟の下の中央帯の表記が「LAGER BEER」から「KIRIN LAGER」へと変わったこと。それに伴い上部にあった黒の「KIRIN」が取れています。
帯下のリードも簡潔になり、下部の「SINCE 1888」「ALC.5%」「お酒」が全て金一色に統一。
デザインを囲むオーバルのバナーの下半分から言葉がなくなり、金のデザインが施されました。

「新」は、全体的に目線が中央に集まるような印象で、また、全体的に金を一刷載せているようで、「旧」と比べて、デザイン全体や金色の輝きが増しているように思います。

ちなみに缶のトップも、アルミ色から金色へ。見逃しそうですが、並べると「おおっ」となりますね。
キリンラガービール

裏を返すと、さらに一目瞭然!
キリンラガービール
商品棚に並ぶビールから「いつものラガー、買おうっと」と手に取り、ふと、缶の後ろを見て、「ええ〜っ、新しくなったの?!」…なーんて驚かせる作戦?なデザインに、思わずニヤリとしてしまいます。

このデザインは、10年前のリニューアルも今回も、日本を代表するクリエイティブディレクター佐藤可士和(かしわ)さんが担当しています。

〔中身のビール〕
こちらの写真も、左が「旧」、右が「新」です。
キリンラガービール
これは…私には違いは全く見出せません。
キリンラガービール
上から撮った泡も、全く同じ…。(私の注ぎ方の技量についてはご容赦ください)

〔味〕
さあ、ここです!
まずはそれぞれのグラスに鼻を近づけます。「あれっ、全然違う」
「旧」は、かすかにモルトの香ばしさが香りますが、「新」は、マスカットのようなフルーティな香りが鼻をくすぐります。

そして、実飲。「うわあ〜、違う〜〜!」

「旧」は、まさに私が親しんできた「キリンラガービール」。口に含むとすぐにビールの苦みが口いっぱいに広がり、でもそれが例えばIPAなどにあるような華やかさを伴った苦味ではなく、昭和(10年前のリニューアルだから、平成ではありますが)のビールをイメージするような落ち着きと渋みがあり、例えるなら、漫画「巨人の星」の星一徹のようなビール。一貫した苦みが飲み始めから飲み終わりまで続き、苦みの余韻を楽しめます。(ちなみに10年前にリニューアルした際のCMは、菅原文太さんが、ガツンと物申すお父さんとして登場する内容でした)

それに比べ、「新」は、苦味はありつつも、それはまるでミネラルウォーターを纏ったような苦味。その苦味がみずみずしく口の中で広がり、かすかなモルトの甘味と苦味が心地よく口の中で織りなして、喉の奥に流れ込み、ミネラル感の余韻だけが残ります。

「そうか、これが 令和 だ!!」…これが私の感想です。

今回のリニューアル概要

リリースで発表されている概要を引用いたします。

●中味について
・爽やかな香りと苦味が特長のドイツ産ヘルスブルッカーホップを使用することで実現する、飲みごたえとしまりのある後味
・キリンラガーらしい飲みごたえ・苦味はそのままに、酸味や雑味が突出した印象を抑えることで、よりバランスのとれた飲み飽きないうまさへと進化。

〔リニューアルのポイント〕
①ホップを増量
 キリンラガーらしいホップの効いた飲みごたえと心地よい苦みを実現するために、ホップの使用量を増やしました。
②ホップ配合を調整
 バランスのとれた味わいを実現するために、苦味・渋味の強いホップの比率を減らし、穏やかな苦味をもたらすホップの比率を増やしました。
③仕込工程の最適化
 飲み飽きない味わいを向上させるために、仕込工程で酸味を抑える工夫を施しました。

このリニューアルを担当したのは、マスターブリュワーの田山智広氏と、ブリュワーの山口景平(かげなり)氏です。

入社以来「ラガーのおいしさがわかり、おいしいラガーがつくれるようになれば一人前」と言われ、ラガーと真摯に向き合ってきた田山氏。その指揮の元、平成生まれの山口氏は、キリン伝統のビールのリニューアルという大きなプレッシャーに悩みぬいたとのことです。そこでたどり着いたのが、ラガーの苦味の質。多くのお客様が求めるラガーの好きな部分を調べ抜き、そこから目指した、苦味を弱めずに爽やかで心地よい苦味の追求。
「お客様に自信を持ってお届けできるラガーに仕上がったと思っています。伝統を引き継ぎつつ、おいしく進化したラガーを、ぜひお楽しみください」と山口氏。

さっそくやってみませんか?

新「キリンラガービール」は、7月中旬製造から、順次店頭に並び始めています。
我が家の近所のスーパーやコンビニエンスストアは、まだ6月製造が並んでいますが、在庫がなくなり次第、新「キリンラガービール」がお目見えします。

なので、今こそ飲み比べ準備ができるチャンス!!ぜひ、あなたの舌で時代を味わう体験をお楽しみください!

キリンラガービール 公式HP
リニューアルリリース

キリンラガービール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK 2023』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、ぐるなびグルメサイト ippin キュレーター など

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