[テイスティング,ブルワー]2021.9.23

【東北で出会うビールの世界⑥】~将棋駒と温泉のまちのビール醸造所~ 山形県天童市の天童ブルワリーとBrewlab.108

山形県天童市~将棋駒と温泉のまち~

山形県の東部に位置し、人口約62,000人の山形県天童市。「将棋駒と温泉のまち」として知られ、将棋駒とラ・フランスの生産量は日本一。市内の天童温泉には、気軽に立ち寄ることができる温泉施設も充実しています。
南は県庁所在地の山形市に隣接し、近年は山形市のベッドタウンとしても発展。東北最大の都市である宮城県仙台市からも近い位置にあります。

天童公園の将棋塔


天童公園から見た愛宕沼と天童市内(天童温泉周辺)

首都圏からは、東京駅から直接新幹線で行くことも可能で所要時間は3時間ほど。また羽田空港から山形空港までは約60分。山形空港から天童市までは車で10分程度で到着することが出来ます。
この天童市にちょっと個性的なビール醸造所があると知り、先日現地を訪問してみました。

~湯上がりにも一杯~ 天童ブルワリー

1999年設立の天童ブルワリーは、天童温泉にある温泉旅館「桜桃の花 湯坊いちらく」の敷地内にあり、全国でも珍しい温泉旅館直営のビール醸造所です。


ここで造られているビールは「桜桃の花 湯坊いちらく」に泊まらなくても飲むことは出来ますが、お勧めはやはり宿泊。「オールインクルーシブプラン」(ひとり3,500円)を利用すると、15:00~22:00までロビーラウンジやテラス、夕食会場でビールや他のアルコール類が飲み放題になります。

チェックインの手続きを終えると、早速ロビーラウンジへ行ってみました。


提供されていたビールは2種類。蕎麦粉を使用したコクとキレが自慢のピルスナー「SOBA DRY」と、佐藤錦(さくらんぼ)を使い程よい爽やかな酸味とほのかな香りの「天使のさくらんぼ」。どちらも山形らしい副原料を使ったビールです。
どちらも飲みやすく、それぞれ味わいに違いのあるビールなので、交互に飲んでいると飽きずにいくらでも飲めてしまいそうでした…

SOBA DRY

天使のさくらんぼ

置いてあるお菓子なども自由につまむことが出来るうえに、時間帯によっては山形名物の冷たい鶏そばもふるまわれます。

夕食時には、天童ブルワリーのビール以外にも大手メーカーのビール、日本酒、ワインなどを自分で自由に注ぐことが出来るようになっていました。

夜の22時までロビーラウンジやテラスで続けて飲むことが出来るので、お風呂上りや寝る前の一杯も改めて味わうことが出来るという、ビール好きにはたまらない温泉宿でした。

以前はここで飲むしかなかったという天童ブルワリーのビールですが、現在は瓶詰めされたビールを売店で買うことも出来ます。希少価値のあるビール、いいお土産になりますね。

Brewlab.108 (ブリューラボ・トウハチ)

天童市内にはもう1か所、2020年に誕生したマイクロブルワリーBrewlab.108(ブリューラボ・トウハチ)があります。
将棋の駒をテーマにした観光施設「将棋むら天童タワー」の一角で 地元の果実や酒粕、デーツ(ナツメヤシの実)のようなエキゾチックな果実など、多彩な副原料を使用したビールの製造を行っています。

館内のレストランで樽生が飲め、瓶もお土産で買えると聞いて寄ってみましたが、残念ながら訪問した日は施設が臨時休館で、今回は外からタンクを眺めることしか出来ませんでした。

道の駅「天童温泉」

今回諦めかけていたBrewlab.108のビールは、庄内地方を結ぶ国道13号線沿いの道の駅「天童温泉」の敷地内にある産直「サン・ピュア」で購入することが出来ました。
広々とした店内には、さくらんぼ、ラ・フランスなどの山形の果物を使ったお菓子や天童の特産品・工芸品などのお土産品、新鮮な季節のフルーツも豊富に揃っていました。
5種類ほど並んでいた中から、今回買ったのは酒粕を使った#069 Itaomiki ~Raising Sun~と天童産ラ・フランスを使った#074 La France ~Midagunashi~。
どちらもはっきりとした色合いのやや個性的なラベルが目をひきますが、意外なほど爽やかなビールでした。

他の山形県のブルワリーのクラフトビールの品揃えもかなり充実しているので、買えなかったビールがあるときはここをのぞいてみることをお勧めします。

この道の駅の屋外には、遊具で遊べる多目的広場や将棋駒の形をした源泉かけ流しの足湯が設置されているほか、夏季には噴水も上がるそうです。買い物したいものが特に思い当たらなくても、休憩を兼ねてちょっと立ち寄ってみるのも楽しそうな場所でした。

清涼な水と豊かな米どころがあり個性的な日本酒の酒蔵が多い…といった、日本酒のイメージがどうしても強めの山形県ですが、今回訪問した天童市はここでしか出会えないビールも楽しむことが出来る場所でした。
東北から車で…ではもちろん、首都圏などからでも意外と交通の便も悪くないので、機会が訪れたら、将棋駒のオブジェがあちらこちらにある町を巡りながら個性豊かなビールを探してみてくださいね。

◎桜桃の花 湯坊いちらく(天童ブルワリー)
山形県天童市鎌田本町二丁目2番21号
TEL:023-654-3311(代)
東北中央自動車道天童ICから車で約10分
山形自動車道山形北ICから車で約15分
JR奥羽本線天童駅から徒歩約17分

◎Brewlab.108
山形県天童市大字久野本字日光1273番地の2 将棋むら天童タワー内
TEL:050-3575-1970
JR奥羽本線乱川駅から徒歩約25分

◎道の駅「天童温泉」
山形県天童市鍬ノ町二丁目3番41号
TEL:023-651-2002
駐車場 大型:26台 普通車:265台
営業時間 9:00~18:00
東北中央自動車道 天童ICから車で約10分
JR奥羽本線天童駅から徒歩約25分

Brewlab.108SOBA DRY天使のさくらんぼ天童ブルワリー天童市天童温泉将棋むら湯坊いちらく

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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