[テイスティング,ビアバー,ブルワー]2021.12.21

【Let It Beer】鹿屋と共に生きるクラフトビール

大隅半島

そう聞いて、すぐに場所が分かる方は少ないのではないでしょうか。

九州最南端の鹿児島県は、西に薩摩半島、東に大隅半島が伸びる馬蹄形の九州島部と600を超える離島部からなる自然豊かな火山県。有名な『桜島』や『霧島新燃岳』など、今も活発に噴火を繰り返す活火山は、雄大な大自然や日本第二位の源泉数を誇る温泉などの恩恵を授けています。

Let It Beer 鹿屋市

戦争の歴史を学べる鹿屋市のシンボル的スポット、鹿屋航空基地史料館(写真左)、健康・交流都市が鹿屋市のキャッチフレーズ(写真中)、錦江湾からの雄大な景色、活発に噴火する桜島(写真右上)と美しい三角形を魅せる薩摩富士 開聞岳(写真右下)

そんな鹿児島県にあって、鉄道路線がないこともあり少しマイナーな印象のある大隅半島。
本土最南端の『佐多岬』、最近インスタ映えスポットとして人気急上昇の『雄川の滝』、夜になると満天の星空が広がったりと、風光明媚なスポットに事欠かない、自然を愛するファンには密かな人気エリア。

今回ご紹介する『Let It Beer (レットイットビール)』は、大隅半島のほぼ中心に広がる鹿屋(かのや)市の小規模クラフトブルワリー。

鹿屋市は、西に錦江湾と接し、桜島や開聞岳を望む海岸線と、南北の山地に囲まれたシラス大地に市街地が広がります。2020年10月、その市街地の一角にブルワリーが誕生しました。

ブルワリー誕生までの道のり

Let It Beer自体は2014年に創業しています。なぜブルワリー稼働まで6年も掛かったのか?代表の一人、山内政洋氏(以下、山内さん)に話を伺いました。

Let It Beer スタッフ

店舗前に立つ山内さんと雪丸さん(写真左から)。取材中、突然雪丸さんの髪のセッティングを始める山内さん。二人の仲の良さと絆を感じるシーン。

実は山内さんの本業は美容師。今も本職は美容師だと山内さんは言い切ります。なぜ美容師がブルワーに?と訊ねるとこんな返事が返ってきました。

『クラフトビールが好きだから』

話は2009年に遡ります。
クラフトビールに開眼した切っ掛けは、田沢湖ビールのヴァイツェンとの出会いでした。
この世にこんなに美味しいビールがあるのかとあまりにも感動して、いつかクラフトビールを作ってみたいと漠然と思ったそう。しかし、どうやって作れば良いのか、その当時はまだあまり情報がありませんでした。

月日が流れ、2013年頃から具体的な行動を開始します。
まず最初に取り組んだのは、ビール造りに向けたリサーチ。クラフトビールには100を超えるビアスタイルがあり、自分が惚れ込んだビールが必ずしも全ての人の嗜好に当てはまる訳ではありません。ましてや、慣れ親しんだ焼酎蔵の他にはクラフトブルワリーが一つも存在しない鹿屋市民にとってクラフトビールは海の物とも山の物とも分からない代物。そこで、実際にクラフトビールが飲める場所の提供からスタートしました。2014年に意気投合した雪丸久徳氏(以下、雪丸さん)、松嵜恵三氏と共にLet It Beerを起業。準備期間を経て、2015年『whack a mole』というビアパブ(後にブリューパブ)を開店したのです。

当時既に名を馳せていた志賀高原ビールなど、自分達が出会った様々なビアスタイルを店舗で提供する中で、次第に市民の中にもクラフトビールファンが増えていきます。鹿屋市でもクラフトビールはイケる!との手応えは着実に強くなっていきました。

一方、ビール造りについても地道に勉強を進めていました。ある時、ベアードビールが少量多品種のビールを作っていることを知り、少容量なら鹿屋市でも出来るかもしれないと思い、ビール造りの情報を集めていたところ、島根県の石見麦酒代表山口氏の勉強会に辿り着きました。2日間の講習後、石見式(冷蔵庫とビニール袋で醸す低コストの醸造方式)で取り組むことに決め、2020年10月、遂に最初のビールが完成。

ここに、鹿屋市初のクラフトブルワリーが誕生したのです。
※現在は国の支援を受けてタンク式の醸造設備が稼働しています。

Let It Beer ブルワリー

4基の発酵タンクを含め、ピカピカの醸造タンク群(写真左)、瓶詰機も完備(写真右)

Let It Beer が描くクラフトビールの世界

Let It Beer Bottle Beer

山内さんと雪丸さんが紡ぎ出すビールには、共通したポリシーがあります。それは、ただ美味しいビールを造るのではなく、音楽やアートなどのイベントやカルチャーを繋ぐもの、そして鹿屋市が盛り上がるものであること。
彼らが提供するレギュラービールのひとつ『ロックンロールIPA』は、ラベルデザインがstereo soundsのワタナベマモル氏、音楽に合わせて閃いて作った自信作。そんなレギュラービールを筆者が実際に飲んだ感想と共に紹介します。

Let It Beer ロックンロールIPA

ロックンロールIPA
ビアスタイル:New England IPA
アルコール度数:5.5%

乳糖、オーツ麦を使ったヘイジーIPA
色味は乳白色寄りの濁ったイエロー
泡立ちはかなり豊かで泡持ちも豊か
トロピカリティ溢れるアロマ
口に含むとジューシーフレーバー
パイナップル、マンゴー、グレープフルーツ
更にシトラスやタンジェリンなど
豊潤でトロピカルなフルーティーさが溢れ
キレのある苦味も感じられバランス良し
流石、Let It Beerのフラッグシップビール

Let It Beer 金柑ヱヰル

金柑ヱヰル
ビアスタイル:Fruit Beer
アルコール度数:5%

高隈山と錦江湾を抱く鹿屋市の銘水水神
かのや中央四水心会の地域活性化を図るブランド
鹿屋水心麦酒シリーズ
地元で収穫した金柑『大甘』を使用
色味は少し濁りのあるイエロー
泡立ちは中庸で泡持ちは弱め
金柑特有の甘い香りが漂います
口に含むと金柑の皮のような苦味に
フルーティーでモルティな甘味が広がり
すぐに苦味は引き、柑橘の旨味が滞在します

Let It Beer Whack a Ale

Whack a Ale
ビアスタイル:Pale Ale
アルコール度数:5%

色味はほぼクリアなブラウン
泡立ち泡持ちは共に豊か
鼈甲飴のような甘い香りに
熟した果実や蜂蜜のようなアロマ
口に含むとやはり水飴系の甘味
葡萄、蜜柑のキャラクターもある
そして、後味がほろ苦い
度数以上にボディを感じる一杯

レギュラービールを中心に週1ペースで仕込みつつ、季節やイベントにちなんだ限定ビールも開発中。
どのビールも飲み易く、おかわりしてしまうこと請け合いです。

これからのLet It Beer

2015年にビアパブ whack a mole をオープンし、2020年にはビール醸造がスタート、そして2021年から新しい設備での醸造や初めてのコラボレーションビールの醸造など、チャレンジングな取り組みを続けるLet It Beer。
現時点で仕込んでいる情報を、未確定情報を含めて紹介します。

【年末に向けた限定醸造ビール】
鹿屋産の小麦と桑の実を使用したHazy Fruit Aleを準備中。発酵中のタンクに薩摩琵琶の曲を奉納して聴かせているそう。実は薩摩琵琶には絹の弦が張られており、桑を食べたカイコの繭から紡がれる絹ということで、桑繋がりの意味もあるとのこと。筆者も是非飲んでみたい。ブルワリーのSNSを要チェック!

【鹿屋市のふるさと納税】
鹿屋市ふるさと納税特設サイトでも Let It Beer の新鮮なビールをゲットできます。
鹿屋には中々行けない遠方の方には特にオススメ!
https://kanoya-furusato.jp/public/product/detail?pid=2193
1631 クラフトビール飲み比べセット(6本入り)必要寄附額 12,000 円

【スペシャルイベント開催 ※未確定情報】
山内さんと雪丸さんが初めて出会ったイベント『Gold Beach Lovers Live』。
コロナで開催中止が続きましたが、2022年秋には開催する気満々のようです。
※コロナ禍につき現時点では未確定です。
こちらもイベントSNSをCheck it out! https://www.facebook.com/GoldBeachLovers/

ブルワリー情報

Let It Beer 外観、内観

ブルワリー名:Let It Beer レットイットビール(併設パブ:whack a mole)
住所:鹿児島県鹿屋市西大手町10-1
電話番号:0994-45-7766
営業時間:水曜日~土曜日 20:00~24:00
定休日:月曜日、火曜日、日曜日
※2021年12月21日現在
新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
ビール:自家製ビールのタップでの提供他、選りすぐりの瓶ビールや缶ビールも店内飲料可能
食事:自家製ビール酵母ピザ、鹿屋産生ソーセージ、パスタ等、ビールのつまみも充実

Let It Beer Pizza and Pasta

自家製ビール酵母のピザ(写真左)、最新作!濃厚ホワイトソースジャーマンパスタ(写真右)

その他:ソフトドリンク有り、店内全面禁煙(電子タバコは喫煙可能)
駐車場:有り

・facebook https://www.facebook.com/letitbeer1111/
・Instagram https://instagram.com/infoletitbeer
・Youtube Craft Beer Local クラフトビールローカル

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

この記事を書いたひと

Phantom Zebra

ビアジャーナリスト/ビアジャッジ/出張料理人

福岡県生まれ、饂飩県育ち、東京で麦酒覚醒
30年間趣味で饂飩を打ち続けてきた元サラリーマン
現在、出張料理人 Phantom Zebra として活動中
ビール × 食 × ? = 楽しさ!を追及
ビアジャッジを取得し、日々ビールを勉強中
イベリア半島、映画、ラーメン、スパイス、行脚
城、滝、高層ビル、ドライブ、動物、虫、等々
大好きなことが一杯で体が三つ欲しいです
特技、麦芽カス饂飩、麻婆豆腐、カレー、神出汁
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