[コラム,テイスティング,ビアバー,ブルワー]2022.1.20

日本一空港に近い温泉街のブリュワリーパブを訪れた

函館市にある湯の川温泉は、北海道の三大温泉郷のひとつに数えられ、古くから名湯として親しまれてきた。また、空港から温泉街まで車で5分の距離にあるため、日本一空港に近い温泉街としても知られている。羽田空港から函館空港までの所要時間は1時間20分なので、余裕をもって向かったとしても2時間以内に到着できる貴重な温泉なのだ。そんな湯の川温泉で話題になっているブリュワリーパブ「Endeavour」を訪れ、醸造スタッフの下田泰崇さんにお話を伺った。

Endeavour 醸造スタッフの下田さん

Endeavour 醸造スタッフの下田さん

乙部の天然水「Gaivota」から始まったビール作り

筆者:Endeavourを立ち上げたきっかけを教えてください。
下田さん:もともと健康食品を取り扱っている会社が母体で、2015年頃から函館から約80kmほど離れた乙部町の天然水「Gaivota」の販売を始めました。乙部町は、美味しい水の条件が揃っているため、水のまろやかさが際立ち、シリカ等の豊富なミネラルにより美味しいだけでなく健康にも良いです。この天然水「Gaivota」を活用して美味しいクラフトビールを作りたいという思いから、2018年3月、函館湯川ブリュワリー「Endeavour」、6月に乙部町に乙部追分ブリューイングを立ち上げ、2019年には乙部町のブリュワリーに併設レストラン「Guild Endeavour」がオープンしました。

乙部の天然水「Gaivota」

乙部の天然水「Gaivota」

定番ビール3種のボトルは、函館空港や宿泊先など市内各所で購入可能

筆者:醸造を乙部町と湯の川の二箇所体制で行なっていますが、どのように役割を分けているのですか?
下田さん:湯の川(Endeavour)の醸造設備は、200リットルが4機、定番をおかないで地場の産物を使った新しい銘柄を作っています。一方、乙部の設備は、500リットルが2機、1000リットルが2機の体制で、定番ビールを中心に醸造しています。定番銘柄の「IPA」、「Pale Ale」、「White Ale」の3つは、ボトル販売も行っているので、空港や函館市内のお土産物屋、湯の川温泉の宿にて購入できます。

函館市内の各所でボトル販売されています。写真は元町の十字屋食料品店

函館市内の各所でボトル販売されている

地域の歴史文化と産物を活用したビールで縄文文化を感じる

筆者:湯の川の「Endeavour」で作られている新作ビールで、特徴的な銘柄はありますか?
下田さん:栗を副原料に使った「縄文ブラウン」という銘柄に特に力をいれています。この地域の歴史にも深く関係しています。2021年7月27日に「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコの世界遺産に登録されました。登録された北海道・北東北の縄文遺跡群17箇所には、函館市内に存在する大船遺跡(約5000〜4000年前)、垣ノ島遺跡(約9000〜3500年前)も含まれます。日本人のルーツとでも言うべき縄文文化に価値を見出して縄文ビールを着想し、周辺の縄文遺跡から発見された当時の主食と考えられる栗を副原料として使うことにしました。実は、縄文時代にこの地域では、栗が自生していなかった科学的事実があり、故に栗は本州から縄文人が北海道に伝えたという学説が有力とききました。「当時の人々がどのように栗を道南地域まで運んだのか?海洋民族として津軽海峡を往来していたのではないか?」という壮大なロマンのある話にも膨らんでいきます。

縄文ブラウン

縄文ブラウン

筆者:夢のある話ですね(笑)。大変勉強になりました。ランチ時の忙しいところありがとうございました。

下田さんとの会話を終え、その日タップにつながった定番ビール3種と店内で醸造される3種をいただいた。

6種類の飲み比べセット

6種類の飲み比べセット

1.Weizen(醸造:湯の川)
バランスの良いエステルにより、フルーティな香が際立っている

2. Otobbean IPA(醸造:乙部町)
アロマホップによる柑橘系の香りとほのかな苦味、小麦麦芽がまろやかに仕立て上げ飲みやい

3. Otobbean Pale Ale(醸造:乙部町)
カラメル麦芽の琥珀食が特徴。華やかな香りと同時に、程よい苦味が見事に調和し安心して何杯でものめそう

4. Otobbean White(醸造:乙部町)
フルーティでまろやかな味わいが特徴。ライトボディで飲みやすい

5. 洋梨Wheat(醸造:湯の川)
150リットルに対して、20kgの洋梨を使用し、デザート感のあるライトボディ

6. 縄文ブラウン(醸造:湯の川)
地元で生産される栗を副原料とし、栗の程よい甘みが感じられ、最後に栗の上品な香りが広がる

※ 定番ビール(上記2,3,4)以外は、時期によって変更される可能性があります。


今回、下田さんによる縄文文化や「縄文ブラウン」に関するお話は非常に印象的であった。
改めて思うのは、函館空港からの距離が本当に近いこと。タクシーで5分の距離なので、旅の締めくくりに立ち寄るのもオススメだ。次回訪問する際は、「縄文ブラウン」のその後も気になるが、新しく生み出される銘柄も楽しみだ。

<ブルワリー & 店舗情報>

Endeavour 店舗外観

Endeavour 店舗外観

Endeavour
住所:北海道函館市湯川町1丁目26-24
電話:☎ 0138-84-6955
営業時間:
ランチ 11:30-14:00(LO 30分前)
ディナー 17:30-21:30(LO 30分前)
定休日:水曜日
公式ホームページ

Endeavourエンデバーブルワリーパブ函館函館空港北海道湯の川温泉縄文文化
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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

モリイクオ (ikuo mori)

ビアジャーナリスト / Beer journalist

大阪市出身。世田谷区在住。ビアジャーナリスト&ビアテイスター。
学生時代に滞在した北米やヨーロッパで初めてピルスナー以外のビールと出会う。まだ見ぬビールの世界があると思うとワクワクする。主に旅先で出会ったビールを紹介している。

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