[イベント,ブルワー]2022.9.24

「ソラチエースバースデー」前夜祭の裏側から見えたファンのつくり方とオンラインイベントの良さ

9月5日はソラチエースの品種登録日。サッポロビール株式会社(以下、サッポロ)では2019年より「ソラチエース誕生祭」を開催しています。

最近は、リアルのイベントも再開されはじめ、ソラチエース誕生祭もリアルでの開催が期待されましたが、残念ながら2022年もオンラインでの開催(9月5日の誕生祭では一部オフライン的な内容あり)となりました。

コロナ禍前のような形でのイベントが少しずつ戻ってきた中、「ソラチエース誕生祭」はオンラインイベントを開催し続けるのでしょうか。一般非公開の9月4日の前夜祭を取材させていただきました。

「継続する力」を信じているから。そして、待っている人たちがいるから続ける

「続けることの力を信じているからです」

イベント後、「SORACHI1984」ブリューイングデザイナーの新井健司さんに話を聞くとこのように答えてくれました。

「正直、準備は大変です。何度も心が折れそうなこともありました。それでも一緒にイベントをつくってくれる仲間がいるので、自然と気持ちが奮い立ってきます。何よりも毎年、ソラチエース誕生祭を楽しみにしてくださるファンの方がいます。応援してくださる皆様に楽しんでもらえるコンテンツを提供したい思いも強いですね」

「SORACHI1984」ブリューイングデザイナーの新井健司さん。「ホップでビールを選ぶ」楽しさを伝えるため、日々奮闘している。

「SORACHI1984」は、発売からこれまで「サッポロ生ビール黒ラベル」のような大々的なプロモーションは行なっておらず、サッポロのビールブランドの中で決して認知度が高いブランドではありません。

限られた条件の中、いかにファンを増やして認知を広めていくのか。「SORACHI1984」の発売後、ビールイベントへの出店やSNSを活用してファンをつくり、地道に認知を広めてきました。そんなファンの人たちの期待に応えたい気持ちがオンラインでも続けていく原動力になっていると感じました。

応援してくれるファンの気持ちに沿いたい。だからこそ毎年、様々な企画を考えてファンへ届けている。

初めての場所への不安もチーム力でカバー

今年のソラチエース誕生祭(イベント名:SORACHI NIGHTソラチエースバースデーフェス2022)は、ここ2年とは異なる初めての場所で開催。前夜祭は羽田空港第1ターミナル内にある「ノースカフェ&BEER」で行われました。

その理由について新井さんは、「今年は改めて『SORACHI1984』について考えるイベントにしたいと思い、意識してソラチエース好きのための内容にしました。なので、会場も 『SORACHI1984』を扱っていただいているお店からの配信にチャレンジすることにしました」と話す。

リハーサルをするアルプス音楽団の皆さん。このスペースは、普段はテーブル席になっている。

初めての場所での開催。裏で見ている限りでは大きなトラブルもなく進行していたと思います。企画から出演まで1人で何役も担ってきた新井さん。どう感じていたのでしょうか。

「正直、とても不安でした。会場は配信を前提とした場所ではありませんので、『オンライン配信ができるのか?』からスタートしました。配信スタッフや店舗様と事前にミーティングを重ねてトラブルなく配信ができるように環境づくりから始めました。結果的には、配信スタッフをはじめ関係者の多大なるご協力もあり、改善点はあるものの大きなトラブルなく終えることができました」

通常、イベントを進行するためには、プログラム、タイムスケジュール、出演者交渉など多くの準備が必要になります。オンライン配信の場合、そこに配信環境整備が加わります。

モニターを通して色々な演出を行っていく。

今回、開催前の会場視察にも同行する機会をいただいたのだが、配信スペースやカメラの位置、フードペアリングなど打ち合わせの予定時間を大きく超えて話し合っていました。当日も入念に進行スケジュールを確認し、視聴する人がストレスなく楽しめるよう対応する姿が印象的でした。

大きなチャレンジを経て「貴重な経験になりました」と新しい会場から配信をして心からよかったと話します。

本番に向けて映像や音声、出演者の立ち位置など1つ1つ確認していく。

盛り上がる配信をするためには一緒に取り組んでくれる仲間が必要

リアルでのイベントが再開されている中、新井さんは、どんなところにオンラインイベントの良さを見出しているのでしょうか。

「全国に届けられることが一番です。また、アーカイブとしても残すことができるので、例えばトークショーのようなコンテンツを後から視聴する点ではかなりメリットがあると思います」

書家の小杉卓さん。今年の文字は「飛」。ソラチエースを世界へ飛躍させるという思いを込めて書いたとのこと。

前夜祭では、「SORACHI1984」の愛飲家でもある書家の小杉卓さん、クラリネット&サックス奏者の辻本美博さんのパフォーマンスが披露されました。当日、都合が合わなかったファンの方もオンラインなら自分の好きなタイミングで視聴できますし、繰り返し観ることもできるのでファンにとってはメリットのあるイベント形式だと思います。

また、「最初は視聴者の反応がわかりづらかったですが、今年はチャット欄の盛り上がりを見て雰囲気を感じることができました」と、配信時の対応ができるようになっていると言います。

クラリネット&サックス奏者の辻本美博さん。「SORACHI1984」CMソング「Tailwind-帆風-」を生演奏してくれた。軽快で気持ちが軽くなる曲です。

反対に配信時の盛り上げ方が難しいと言います。

リアルでは、お客さんの反応をみながら対応できますが、オンラインではチャットに頼るしかありません。表情がみえない状況で視聴者を盛り上げるのはとても難しいです。

また、「アーカイブが残っていればいつでも視聴できるため、リアルタイムの視聴者を増やすのはかなり難しいです」と話します。実際にStay Homeを促していた2020年と比較すると視聴数は少なく、リアルタイムで視聴してもらう難しさを会場で感じました。

こうした課題をクリアするためには、多方面からお客様を引き入れる仲間の存在が不可欠だと言います。

「成功のポイントは、一緒に取り組んでくれる仲間を見つけられるかだと思っています。1社だけだと提供できるコンテンツは限られます。同時に、継続してコンテンツの質を上げるオペレーションに長けた配信スタッフを見つけられるかも重要になります」

「ソラチエースバースデー2022」を視聴してもらえると分かると思いますが、複数のカメラを使用することで、ポイントで視点が移りTV番組を視聴しているのと変わらない配信になっています。

臨場感ある映像を撮るため、様々な工夫をしている。

配信スタッフのスペースには、様々な演出をするための機材を導入して配信をしていました。イベント前には、カメラ位置やエフェクト、カメラワークの確認を行い、視聴者が2時間飽きずに楽しめるように繰り返し準備をして臨む姿は格好良かったです。

イベント後に出演者、スタッフで集合写真を撮影。団結して1つのものをつくる素晴らしさを感じた瞬間だ。※撮影時のみマスクを外しています。

来年こそはリアルで乾杯したい!

3年連続でオンライン開催となったソラチエース誕生祭。来年の構想はあるのでしょうか。

「今回、飲食店様と一緒に開催できたことで、ファンの方々との新しいつながり方がみえてきました。実は配信会場には『SORACHI1984』のミッションアンバサダーの方にも来場いただいて、一緒に盛り上がれたのも良かったです。この熱量を全国に広げたいと思っています」

「SORACHI1984」ミッションアンバサダーも駆けつけてイベントをサポート。無観客の中、彼らの反応は出演者にとって心強かったのではないだろうか。

大がかりなプロモーションはしていませんが、口コミや地道な営業によって「SORACHI1984」の取り扱い店舗も増えていると言います。「ここまで続けてきたファンづくりにより着実に全国にファンを増やしています」と新井さん。そして、「来年はリアルで全国一斉乾杯を実現したいなと思っています」と野望を話し、「いつかソラチエースが誕生した上富良野からのイベントも考えていきたい」と魅力を伝えたいと夢を語ります。

オンラインイベント、リアルイベント、それぞれに良さがあります。今よりも通信環境が整えばオンラインイベントも様々な形で届けられるようになるでしょう。日本全国各地の会場と中継を結び、ソラチエースが誕生した1984年にかけた19時8分4秒に乾杯できる日を楽しみにしたいと思います。

イベントの様子は、サッポロの公式YouTubeチャンネルで視聴できます。当日、視聴できなかった方は「SORACHI1984」を飲みながら楽しんでみてください。特に9月5日の誕生祭で配信されたホップ業界のレジェンド対談は必見です。

Photo by 志田彩香(photographer/writer)

サッポロビール公式YouTubeチャンネル

 

ソラチエースバースデー2022前夜祭の視聴はこちらから

 

ソラチエースバースデー2022の視聴はこちらから

SORACHI1984ソラチエースソラチエースバースデー新井健司
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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ/ビアジャーナリスト

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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<Web>
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