[イベント,コラム,ブルワー]2023.8.30

【ビールのある風景in岩手㉜】4年ぶりに会場開催された「全国地ビールフェスティバルin一関」の3日間

「全国地ビールフェスティバルin一関」は、岩手や東北をはじめ全国の地ビールが味わえるビール好きにはたまらないイベントです。
今年は8月18日~20日の3日間、2019年の第22回以来4年ぶりに以前と同じ形で開催されました、全国の55のブルワリーによる150種類以上のビールが集まり、地元の美味しい料理が提供され、特設ステージではイベントに加え1時間ごとの乾杯も行われ、人々の笑顔が飛び交った3日間になりました。

ここでは、この日を迎えるまでの4年と今年のイベントの3日間の様子を振り返りたいと思います。今年参加していない方も、ぜひ来年以降足を運んでみていただけると嬉しいです。

◎改めて一関市について…
岩手県の南に位置し、宮城、秋田の両県に隣接しています。人口は約10万6千人、面積は約1,260㎢で、市域は東西に約63km、南北に約46kmの広がりがあります。人口は岩手県内で第3位、面積は第2位の規模です。
四季折々に多彩な表情をあらわす豊かな自然に恵まれています。市内には3県にまたがる栗駒山、猊鼻渓や厳美渓の名勝地、一関温泉郷などの観光地があり、世界遺産の平泉や三陸方面への拠点ともなっています。

猊鼻渓入り口(2023年5月撮影)

仙台と盛岡の中間地点にあり、首都圏から約450 km。新幹線を使えば日帰りも十分可能です。

この4年間を振り返る

今回のイベントは「第25回&第26回全国地ビールフェスティバルin一関」として開催されました。
会場でのリアル開催ができなかった間も、一関では「中止」とはせずに、状況に応じてオンラインでのイベントの開催に加え、市内でクラフトビールを飲むイベントも開催してきました。

*第23回の様子はこちら(【ビールのある風景in岩手⑨】~地域を盛り上げるために!~ 形を変えて開催中!「お店で乾杯!!第23回全国地ビールフェスティバルin一関」)から・・・

*第24回の様子はこちら(【ビールのある風景in岩手㉒】10月20日まで延長! 「お店で乾杯!!第24回全国地ビールフェスティバルin一関」に行ってきました!)から・・・

昨年8月に会場での開催として第25回が開催される予定だったのですが、市内の状況の悪化により直前で延期することが決定。秋以降の開催も検討されましたが、会場の都合等もあり別時期の開催が難しく今回のイベントと合わせての開催という形になりました。
でも昨年の8月も何もしていなかったわけではなく、急遽市内の3店舗でクラフトビールを飲むイベントが行われ、この頃一関に新しく出來たばかりで地ビールフェスティバルに初出店予定だったNOYMOND BREWERYのビールも提供されていました。

この3年間の現地の様子を追ってきて感じるのは、諦めずに出来る範囲でのイベントを現地で続けることで、地域の経済を回すことにつながり、「全国地ビールフェスティバルin一関」に出店してきたブルワリーと一関とが切れることなくつながったままでいたということです。

イベントに参加して…

「第25回&第26回全国地ビールフェスティバルin一関」基本情報


開催日時:2023年8月18日(金)14:00~20:00・19日(土)11:00~20:00・20日(日)11:00~18:00
場所:一関文化センター前広場(一関図書館前広場及び一階駐車場を含む) 一ノ関駅から徒歩5分
出店地ビール:35社
限定地ビール:20社(提供は土・日のみ)
*ビールの購入には専用チケット(1枚200円)が必要。チケットは前売り券だと2000円綴りにプラス100円とお得。おつまみはチケットのほか、現金も使用可。
*ビールはプラコップでの提供だが、今年から限定でリユースカップも販売。また歴代の地ビールフェスティバル記念グラスを持参して注いでもらうことも可能。

1日目(前夜祭)

金曜日のこの日は前夜祭として14時から開始。盛岡駅を11時54分に出る2両編成の列車は、普段よりもかなり人が乗っていました。同じ目的で乗っている人の率が高かったようです。
一ノ関駅13時半に到着。以前と同じ装飾が迎えてくれて気持ちが高まってきます。


会場に到着すると、開始時間前にもかかわらず、テント席で出入りがしやすく日が差し込んでこない場所はもうすでに埋まっていました。そこでやや日が当たっている一番外側の列に席を取りましたが、これが大正解。ビールブースにビールを買いに来る方々がよく見え、知り合いを見つけやすかっただけではなく、近くにちょっと座っていく方も多く、初めてお会いした方々ともお話が弾み嬉しかったです。
首都圏をはじめ遠方から来ている方だけでなく、近所だから歩いてきたという地元の方もいらっしゃいました。楽しかったのに加え、おつまみを分けていただいたり、「明日も来るなら使って」とチケットの余りを譲っていただいたりと、ありがたいことの連続でした。
お会いした方のほとんどが、「平日なのにこんなに混んでいるとは思わなかった」とおっしゃっていました。

14時から20時近くまでのほぼ6時間いて、開始前に購入したリユースカップを使い飲んだビールは9社11杯。

岩手県内からだけでも参加ブルワリーが多く、いわて蔵ビール(一関市)はもちろん、前述したNOYMOND BREWERY(一関市)、さくらブルワリー(北上市)、BrewBeast(花巻市)、315BEER(奥州市)、ヘリオス酒造(沢内醸造所・西和賀町)と楽しめたので、初日は岩手を中心に、すべて東北のブルワリーのビールにしました。

一関市の2つのブルワリーが並んでいます

土日だけしか飲めないビールもあるのですが、平日に時間の都合がつき、初めて会う方や地元の方など…いろいろな方との触れ合いも楽しみたいのであれば前夜祭がお勧めです。

2日目

2日目は土曜日。会場には開始30分前ぐらいには到着していましたが、すでにテント席は半分近く埋まっている状態でした。午後から雨の予報もあったのでまだ空いていた屋根のない場所は避け、舞台からはかなり離れたテント内部に入った席を確保しました。
テント脇には昨日はなかったスタンディング用のテーブルが追加されていて、フラッと来て飲むには困らないようにはなっていました。
土・日は時間限定販売(20社)のビールの提供もあります。以前はブルワリー名だけの紹介でスタイルがわからなかったことがあったのですが、今回はちゃんとスタイルの表示もあり選びやすくなっていました。ブルワリーの名前だけでなくてスタイルもとても大事だと思うので、この改善は嬉しかったです。

この日は、主に記念グラスを使用し個人的に好きなヴァイツェン中心に8社8杯のビールを味わいました。
来場者が多い分、お会いできた方々も前日よりさらに増えました。ただ人が多いのでちょっと見かけた方を後から捜すのが難しく、残念ながらちゃんとご挨拶ができなかった方も。

テント内は入れ替わりはあるもののほぼ満席状態が続き、最高気温が35度近くまで上がったこともあって熱気がこもった状態。もちろん、テントの外にいることも多かったし、アルコール以外の水分補給も十分しましたが、16時までの滞在でギブアップしてホテルに戻りました。

15時過ぎのテント席の様子

ホテルに戻る途中で大雨に、大雨の影響で東北本線の列車も停まってしまうというハプニングもあり、どこかに移動する予定のあった方は大変な思いもされたようです。
暑さに大雨…でも一番盛り上がったのはやはりこの日だと思います。気の合う仲間とワイワイ過ごしたい方、知り合いにバッタリ会えるのを楽しみにしている方は、混みあいますがやはり土曜日(あるいは日曜日)の参加をお勧めします。

3日目

この日は別件があり、会場に着いたのは15時少し前。賑わってはいますが、前日の同じ時間に比べると来場者は若干少ないように感じました。
17時までの2時間限定で、昨年クラウドファンディングに参加した際の返礼として優先席を使用させていただきました。

舞台に近い席だったので、これまで「乾杯!」以外はほとんど目に入らなかったステージイベントも楽しみながら、ビールを味わうことができました。


最終日の夕方だったのでビールの種類が減っていることを覚悟していたのですが。あれば飲んでおきたいと思っていたビールがすべて飲めました。来場者はかなり多かったけれど、暑すぎたのと天気が不安定だったことでビールの売れ行きに影響がでたのではないか…ちょっと心配にもなりました。
最後に残っていたチケットを使いゆったりと2時間で5社5杯のビールを飲んで、私の「第25回&第26回全国地ビールフェスティバルin一関」の3日間は終了しました。今回、初めて3日間すべての日に顔を出しましたが、日によってそれぞれ違った魅力があり飽きることなく楽しむことができました。

フェスティバルが終わって…

月曜日の朝、最後にもう一度会場に寄ってみました。会場は大物以外は片づけられた状態になっていましたが、まだ前日までの余韻を感じました。

イベントを準備して、終わったあとは片付けをしてくださる方がいらっしゃるので、参加者はイベントを楽しむことができます。その裏側には、参加するだけではわからないいくつもの苦労もあったと思います。そのことを忘れないようにしたいと思いながら、一関を後にしました。

私は、首都圏からの参加も含め約10年、この「全国地ビールフェスティバルin一関」に参加してきました。他にもいろいろビールフェスティバルがあるのに、なせ一関へ行くのか…自分なりに理由を考えてみました。
・参加するブルワリーが多く、いろいろなビールが味わえる
・ビールがリーズナブル(だいたい200mで400円)
・一関の食材を使った美味しいおつまみも楽しめる
・近くに座った方との会話が楽しめる可能性が高い
・ビール好きの知り合いに会える可能性が高い
・ブルワリーの方ともいろいろ話せる
・会場が混みあっていても、ビールに長蛇の列ができることはほぼない
・スタッフが一生懸命で感じがいい
・新幹線および東北本線の駅から徒歩5分と行きやすい

一関の食材を使ったおつまみ。野菜も美味しいです!

いろいろ挙げてみると、どれも正解なのですがこれだけではないような気もしています。ただ確かなのは、今年とにかく楽しかったこと、来年の「第27回全国地ビールフェスティバルin一関」も楽しみだということです。
今年は参加できなかった方はここでは伝えきれなかった魅力を探りに、そして今年参加された方は更なる魅力を求めて、ぜひ来年は(も)一関へ。会場で一緒に乾杯しましょう!

全国地ビールフェスティバルin一関岩手

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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