[イベント,コラム]2024.7.6

手を尽くして大復活!5年ぶりヤッホーブルーイング「超宴」成功の秘密

 今年はビールイベントの開催が目白押しだ。数多のビールイベントの中で、ヤッホーブルーイングが主催する「よなよなエールの超宴」は、北軽井沢で2015年に初開催して以降、神宮外苑、そしてお台場での5000人規模の開催も実現し、多くのファンを楽しませてきた。2019年の北軽井沢での開催後はコロナの影響で開催休止となっていたが、2024年5月25日(土)〜26日(日)(前夜祭24日)、北軽井沢スウィートグラス(群馬県長野原町)で「よなよなエールの超宴2024 in 新緑の北軽井沢」を5年ぶりに復活開催した。

超宴

今回提供されたビールは16種+シークレット無濾過ビールが3種も!

休止の間に新たなスタッフも増え、今や超宴イベントの経験者は少数となった体制での開催だったが、蓋を開ければ、5年の時を忘れるほどの変わらぬ盛況さで幕を閉じた。今回、前夜祭から2泊3日で参加した実体験から感じた、超宴イベントの成功の秘密をレポートする。

ターニングポイントとなる復活イベント

 「今回のテーマは”復活”です。それはもちろん5年ぶりのイベント再開という意味なんですが、裏テーマとして、”スタッフの体験”(の復活)もあるのです」と、今回のイベント責任者であるヤッホーブルーイング(以下、ヤッホー)よなよなエールFUN×FAN団(以下、FUN×FAN団)のハラケンさん。前回開催の5年前からヤッホーのスタッフは倍以上に増加。その多くがヤッホーの得意とする”ファンサービス”に自らも携われることを夢見て入社した人も多いと思われるが、この5年間はオンラインなどでの場はあったものの、リアルの実体験がなく、それは申し訳ない思いだったと話す。

5年前と変わらないエントランスゲート。設営もすべてスタッフでやり遂げた


 待ちに待った開催に手を挙げたスタッフはおよそ160名。社員総勢224名(2024年7月時点)の約7割だ。北は北海道、西は大阪から、手を挙げた人は全て北軽井沢に集結した。「正直、人件費や出張費はものすごいことになってますが、会社としてこれを体験してもらうことはとても重要で、とにかくできる限り参加してほしいという姿勢の結果です」

 初体験の1人ながら今回の超宴のコンテンツ全体担当として、プロジェクトマネージャーをやり遂げたのは、入社3年目のなっこさんだ。具体的には、ステージ采配やアーティスト誘致、セミナー2種類の企画、運営、パンフレット、ビールチケット、名札の制作、「ひらけ!よなよな月の生活」会員向けブースの作成、前夜祭、キャンプファイヤーなどを担った。

超宴

明日への意気込みを笑顔でポーズ!のなっこさん


 「入社してその年の12月にFUN×FAN団に配属となり、半年以上の時間をかけて準備してきました」となっこさん。ちなみに、5年前はまだ大学院在学中で、これまでイベント企画などの経験はなかった。前夜祭が盛り上がる中、今の心境を聞くと、「もう明日なんですか?という感じです」と笑いつつ「5年前に参加いただいた方は、特に楽しかった記憶が熟成していると思います。そんな想いを持った方々をがっかりさせたくないと思っています。いよいよ明日にやるべきことは、参加されるすべての方々を楽しませることですね」と話してくれた。翌日の本番のために全てを着実にやり遂げてきた彼女は、私の想像以上に落ち着いていて、自信が伝わってきた。

手渡しする、手間をかける、手を抜かない

 本番の開会式直前、ステージ前に集まる参加者にまず配られたのは、協賛の1社であるハウスウェルネスフーズ株式会社提供の「ウコンの力」。二日酔いなどへの効果をうたうドリンクを飲んでビールを存分に楽しんでもらおうという恒例の配布だが、ヤッホーのスタッフの顔写真&ニックネームにメッセージが刷り込まれたスペシャルパッケージとなっていて、さらにすごいのは、ドリンクの入った箱を抱えたヤッホーのスタッフが、ステージ前に集まるおよそ1000人の参加者の間にどんどんと分け入り、ドリンクを一人一人に手渡していく。

ローラー作戦のように、ウコンの力の入った箱を抱えたスタッフが50cm間隔ぐらいに並んで、お客様に間に分け入りながら配布する


 渡された参加者は、パッケージの顔写真を見て驚いたり「誰のだった?」と盛り上がったり、身近にそのスタッフがいれば記念写真を撮ったりと、早速会場の熱が上がっていく。
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私が受け取ったのは、ハラケンさんがプリントされたver.。すぐ近くにいたハラケンさんとパシャリ♪


 そして、いよいよ開会式は恒例のよなよなエール缶の乾杯から。こちらも配布するスタッフがどんどんお客様の間に入り、直接1缶ずつ笑顔で手渡し、参加者に並んでもらったり取りに行かせたりすることはない。行き渡ったところでステージからの掛け声で盛大な乾杯となり、てんちょの乾杯の音頭とともに盛大にイベントがスタートした。

恒例の仮装は、慌てて駆けつけたという設定のパジャマのズボンのてんちょ(真ん中)

5年のブランクが嘘のように盛大な開会式の乾杯


 会場では、ひと目でスタッフとわかるグリーンのオリジナルTシャツを着用しているので声がかけやすく、会場内の数カ所で注いでくれるビールを頼めば、手渡しつつ笑顔で話しかけてくれる、また、ビールの原材料に扮したスタッフが会場を歩き回り、声をかけることでもらえるカードを全種類集めると、オリジナルステッカーがもらえる”スタッフラリー”を実施するなど、スタッフとお客様がコミュニケーションが取れる仕掛けが随所に散りばめていて、決して主催側と参加者という対面ではなく、自然に入り混じり、仲間になれる空間づくりがなされている。

酵母に扮したスタッフ。どこで出会えるかわからないので、探し回る人も

スタッフだって全力で楽しむ

 もう一人、イベントの合間に入社して2年目の超宴未体験であるぴろむさんに話を伺った。彼はこれまでに広告代理店などの仕事を経て中途採用での入社で、プロモーションの部署に配属となり、早速、隠れ節目祝いの企画などにも携わっている。しかし、これまでなかなか直接お客様とコミュニケーションをとる機会はなかったという。
「今日はまず”缶人間”としてお客様に乾杯用の缶を手渡しして直接乾杯。そのあとはメインテントでのビール注ぎを担当して、いろんなお客様のビールの感想などを聞くことができるのもとても勉強になるし、楽しいです。また、担当した『隠れ節目祝い by よなよなエール』のステッカーを貼ったお客様を見つけ、うれしくて思わず声をかけて、その方のお祝いを一緒に喜んだり…!この会社に入社して1年以上経っていながらおかしな話ですが、まさに今、この会社に入社したんだ、ということを、頭の理解じゃなくて、体全体で実感しています!」

実は10年くらい前からビールに全く関係ない形で知り合いだった、ぴろむさん。仕事を心底楽しんでいるのが表情からも伝わる、久しぶりの嬉しい再会となった


 ”缶人間”とは、イベントなどで缶を配布する担当を呼ぶ社内の呼び名。そんなネーミングも作業が楽しくなる一つの手立てだろう。
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缶人間として出動?するスタッフの皆様


 今回は運営を全て社内スタッフで行うという体制であったが、以前には、スタッフがお客様とのコミュニケーションに徹することができるよう、運営を一部外部委託していた開催もあり、スタッフも全力で楽しみながら交流できる場になることを会社がしっかり後押ししている。広報のぼかすかさんも「今回はメディア担当だったのでなかなかお客様との時間を持つのが難しかったのですが、ちょっとの時間でもお客様とお話しできたりするのはすごく楽しくて、来年こそはそんな役目をやってみたいです!」と話す。

楽しむ人に人は集まり、手を繋ぐ

 このイベントには協賛が9団体ついている。冒頭の「ウコンの力」もそうだが、それぞれが工夫を凝らし、例えばオリジナルで仮装をしながらゲーム感覚で協賛品を紹介するなど、イベントを一緒に盛り上げて共に楽しむ姿があちこちのブースなどで見られた。ヤッホーが所在する長野県御代田町も協賛先の一つであるが、来場の小園拓志(ひろし)町長は会場で「町長です」というタスキ姿で歩き、また、ありがちな舞台挨拶ではなく、自分で企画したクイズを自ら司会進行して開催するなど、会場を大いに盛り上げていた。

左から、月の生活会員の皆様と一緒に作った限定「月のウラ研究所PRODUCT #1」、超宴2024オリジナル「SAKE KOJI RICE ALE」、「軽井沢ビール クラフトザウルス ブリュットIPA」、新商品「眠れるししし」。その奥のステージでは、御代田町の町長(中央の背の高い方)によるクイズ大会がかなり盛大に盛り上がっていた


 コンテンツの魅力も重要だが、ここまでの形になるのは、ヤッホーが日頃から実践する”フラット”な関係づくりが大きな要因ではないかと改めて痛感する。ご存知のように、社内スタッフは社長のてんちょを筆頭に役職ではなくニックネームで呼び合い、社内でやりたいと思う業務はやりたい人が手をあげ、責任者として取り組む。
 古くからヤッホーのファンであるお客様と新たなお客様に違いはないという姿勢を貫き、例えばイベントで実施するクイズやセミナーなどでも一部のコアファンだけがわかるような内容は排除し、ビールに関するマニアな知識がなくとも誰もが取り組みやすい内容を常に心がけているという。

セミナーとして「よなよなエール大学 ビールグラスセミナー byシュピゲラウ」と「よなよなエール大学院 酵母特化型セミナー~YEAST SIDE STORY~」を開催(画像は大学院)。ここでも初心者にもわかりやすい内容で紹介することに努める


 実際、今回の超宴も半数以上は初参加であり、これまで実施してきた様々なイベントもその割合はほぼ変わらないそうだ。
 お客様もスタッフも、皆、ビールを好きなフラットな仲間である。そんなフィロソフィーが生み出す”共有”だからこそ、誰しもが楽しさを分かち合え、自然と手を繋いでいくのではないだろうか。

次の一手がどうなるのかを楽しみに

 「本番がこんな天気じゃなくてよかったね」と思わず声に出るほど、最終日は前日から季節が2カ月ほど逆戻りしたように気温が下がった。北軽井沢の5月は都心とは違い、まるで初冬のように感じる日もある。そんな中、本番の日を爽やかに成功させるヤッホーパワーは、天にも通じるのかとさえ思えてしまう。参加者は約3割が今回から始まった日帰りバスツアーでの参加者だったが、テントやロッジなどで泊まり込みで最後までイベントを満喫した参加者は、ホップを使ったホップティーを楽しみつつ、〆の閉会式に集まってきた。

超宴

ホップティーの運営状況を確認に回っていたなっこさん


 じっとしていると足が震えるほどの冷え込みであったが、最高のフィナーレで閉会式を終えた後、そんな寒さを忘れるほどに熱いヤッホーのスタッフの盛大なお見送りに手を合わせ、手を振りながら、後ろ髪をひかれつつ笑顔で会場を後にした。

寒さもなんのその!ずらりと並んで、一人一人とハイタッチで手を合わせ、声をかけながらお見送りするヤッホーのスタッフの皆さん


 ”昨夜は疲れ果て倒れるように寝たけれど、今朝お客様の顔を見たら疲れが吹っ飛んだ”というなっこさんに、閉会式を終え大役を果たした感想を伺った。「来年はまた新しい仲間がどんどん入ってくると思うので、今日の経験を踏まえて、私は今年以上に大きな立場でこのイベントを支えたいし、多くのお客様に幸せを届けられるようになりたいと思います」と頼もしい意欲を話してくれた。

閉会式直後のなっこさん。本当にお疲れ様でした!素晴らしい体験の糧を蓄え、今後の更なる飛躍に期待!


 改めて、見事なくらい愚直に手をかけた、かけまくっていたイベントであった。もちろん、他で開催されるビールイベントも、主催者と参加者が交流する姿はよくみられるが、ここまで入り混じった形なのは他ではさほどみられないと感じる。
 時流は効率を求め、なるべく人手を減らし、AIやロボットが人に取って代わる現実が身近になってきている。しかし、人の手で行うからこそ人を動かす感動や厚い絆が生まれることも事実で、それを見事に実践しているイベントであった。

 来年は2週間開催といったこれまでより長い超宴の開催を検討している。北海道の「エスコンフィールドHOKKAIDO『そらとしば by よなよなエール』」では醸造所見学のみならず、北海道版の超宴が実現する日もどうやら近い。また、今回話を聞いたぴろむさんは大阪醸造所の開業準備担当となっていて、今回の体験の感動を必ずや大阪でも実現してくれるに違いない。

 ハラケンさんは「やりたいことはたくさんあって、まだまだ人が足りないんです(笑)でも、こうして復活できたので、来年は”進化”して、そして全国へ必ず広げます」と話してくれた。

よなよなエールヤッホーブルーイング超宴

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK 2023』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、ぐるなびグルメサイト ippin キュレーター など

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